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とりとめのないこと 抜粋  作者: 汪海妹
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里芋が、から始まる日記

里芋が、炊飯器から出てきた。


本日は、訳あって睡眠不足でして、頭脳性疲労マックスのため、肩から全ての力を抜いて、里芋の話をしたい。それでは引き続き里芋の話を。


里芋が炊飯器から出てきて、なんじゃこりゃと思った。


それは、皮さえ剥いていない里芋だ。不可解に思いながら、自分では手を出さずその行方を見つめていると、おばあちゃんがそれを取り出し、皿に載せ、皮を剥きながらせっせと食べていました。


するとそこに主人が来ました。主人も里芋を見つけると何個か皿に出し、せっせと剥いて食べていた。


それは、里芋をせっせと洗った後に、ご飯を炊くついでに蒸したってやつだ。


それを見て、私は思いました。


せ、戦国時代かよっ、おめえら!田舎者というか、なんというか、そんなん料理じゃねえだろっ!原始的じゃねえか、芋を加熱調理して食べるぐらい、縄文時代にだってやってらぁ。


それから、しばし、里芋とか、じゃがいもとか、にんじんとか、さつまいもとか、ブロッコリーとか、カリフラワーとか、さまざまな野菜がどれもあれっとツルッと蒸されただけで、どんどこどんどこ、行進し始めた。(脳内劇場)


我ら、戦国、戦国時代ー、ハラホロヒレー(野菜がこの音楽にのって踊り出す。レッツダンス)


どんだけ?朝から、私の心には、津波のような、我が家族の食の貧しさというかそっけなさに怒涛の怒りが巻き起こる。私も更年期かなんかですかね?とにかく、瞬時にイライラマックス。


里芋がぁあああああ!


それで、私が、おばあちゃんと主人に向かって、里芋蒸しただけで食ってんじゃねえよと説教したか?


……いんや。あのね、家庭を続けるためには、我慢重要。我慢上等!モヤモヤしながらエレベーターに乗り、てくてくと地下鉄の駅へ向かう。


なんというか、その時私が感じたのは、おばあちゃんと旦那の粗雑さというか野蛮さというか、ほんとにもう田舎者なんだから、的なイライラだった。自分が京都人じゃないけど京都人で、東夷のガサツさにヨヨヨとなるような感じだろうか。


それで、その 里芋が 事件の数日後にふとしたきっかけでとある中国人の人と話していて、里芋炊飯器事件の話をしたんです。


「料理かよって思いましたよー」

「あ、それ、中国のフツーの食べ方、みんなやってる」

「え?」

「里芋とか、じゃがいもとか、蒸してそのまま食べる。フツーの食習慣です」

「……」


うちの家族だけが、田舎者だとか、特別に野蛮であるとか、そんなわけではなかったらしい。中国人、みんな、やってる。


でも、でもだよ?例えばキャンプで里芋をまんま蒸すとか焼くとかして、


「え、うそ、このまま皮剥いて食べるの?」

「でも、意外とおいしー」


たまにやる、自然の中で野生に帰ろう、里芋を里芋のまま食してみました、的な?だったらよ、たまに縄文人ってことでええでないか。でも、毎日縄文人はねだろ、料理しろよ、にっころがせよ、にっころ……


妄想を交えながら、それでも里芋が事件を事件として取り扱おうと脳内ですったもんだしていると、彼は素朴な顔で素朴なことを言った。


「え、これがそんな変に思えるんだ。へー、言われなきゃ気づかなかったなぁ」

「うん」

「でも、日本人だって生卵食べるし」

「……」

「あれは、びっくりしたよー」


卵割って、ご飯にかけて、醤油かけて食べるってどうよ。料理してっか?


「……」


さ、里芋の方がまだ、蒸してる分、調理してる?どんだけ野蛮人?火さえ、使ってねえぞ。でもね、


「あれは、うまいんだよー」

「いや、いまだにあれだけは真似できない」


食習慣というのは、国によって結構違う。外から見たら、アッチョンぶりけでアンビリバボなことも、子供の頃からやってると気付けないものだ。


卵生で食ってんじゃねえよ、真冬に氷水飲んでんじゃねえよ。下手すっと肉すら生で食うからな。日本人。……でもね、美味しいんだって。


2026.03.25

汪海妹

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