リーズ・ナブルを知る者曰く
どうもアゲインストでございます。
今日はまだ、遅いとはいえないときに投稿できました。
リーズの闘い方に驚愕するリティア。
その疑問に丁度よく答えてくれる人たちがいた!
今日はそんなお話でございます。
驚愕、というしかなかっただろう。
リティアは目の前で行われている光景が夢ではないかと疑ったが、肌を伝う振動や周りの騒がしい声が聞こえていることから、ここが現実であることがまず間違いでないことを理解する。
であるのなら、この戦いはいったいどうなっているのだ?
圧倒的に不利であるはずの自分の友が、相手の攻撃に動じるどころか全く効いていないという、まるで予想とは違う展開。
あとから出てきた兵士の数に、その存在を知らされていなかった彼女は血の気が引く思いだった。大声をあげて相手の不正を糾弾したかったが、場の流れその対立を認めてしまっている。手を出すことができずにリーズの身を案じることしかできない自分の無力さを歯を噛み締めて成り行きをみていたら、これだ。
「…いったい、どうなって」
そこではっ、といつかの光景が思い浮かんでくる。
それは今の現象と似ている、というかそのままとも言えるもの。
「―――貫けない肉、か」
「御父様! ではやはり…」
この現象を共に見ていた父、ダグラスが傍らから答えともいえるものを口にする。
少し前に家族と彼とで囲んだ夕食。そこで見せてもらった支援魔法の一部、それは柔らかい肉にフォークが突き立たないほどの硬度を与えるものだった。
「でもどうして?」
あのときとは様子が違う。
あのときは魔力の光がはっきりと見えていた。それが今回は見えていない。
「―――それは付与をしている部分が違うからですよ」
疑問を晴らすために目を見開いていたところに横合いから急に話しかけられた。
少し驚きはしたが、その内容は自分の知りたいことそのものであったため、その発言をした人物に向かって顔を向けた。
「あなたは…」
「どうもラインホード家の方々、顔見せが遅れて申し訳ありません。何分新設の部隊についていろいろとありまして」
いやー、惜しい人材が出ていっていまいました。
などというこの男、討伐のメンバーにいたもう一体の方を任せられていた男。
「総隊長…?」
「如何にも。プライオス=オルスデッドと申します」
なんだかやつれたような印象を受けるこの男。
リーズの上司として軍人としての彼を知る人物としてまさに打ってつけともいえる、何とも丁度いい登場の仕方だった。
「どういうことなんです? 見させてもらったものはどれも魔力の光を放っていたのだが?」
「まあ、確かにそうでしょうね。我々が使う通常の付与魔法でもそれは同じです。でもですね、それはあくまで体の『表層』に掛かっているからです。
見てください、コートの端です」
指を指された先、言われた通りに見てみれば翻ったコートの内側が見え、そこに光を淡く宿す箇所を見つける。
「あれか…!」
「ええ、あの子が着ている服には魔物の素材が縫い込まれています。それに各所に仕込まれた魔鉄製のプレートから魔力を供給して服の裏側から付与を施しているんです」
「なるほど。だが…それだと内側は守れるかもしれんが、服装に傷がついていないことの説明がつかない」
あれほど斬られ、吹き飛ばされたのにも関わらずその傷どころか痕すらない。それは今いったことの説明にはならない。
「―――それは元からそういう素材なのさ」
しかし、その疑問に答えるものがさらに現れたのだった。
プライオスの来たほうからさらなる人物が姿を露にしていく。
「お前は…」
「よう、ご一緒させてもらうぜ」
王国軍人事部長、ナインハルト=デリール。
かつてリーズを軍に誘った男。彼の始まりともいえる新人時代を知る男が、これまた丁度よく現れたのだった。
「面白そうな話をしてるじゃねぇか、混ぜてもらうぜ」
「いや、それはいいんだが…そういう素材とは?」
「そう、あれが着ている服は俺が成人祝いで買ってやってもんだ。耐刃性に優れたやつな、それをあいつときたら勝手に改造してやがるのよ。酷くない?」
軽い口ぶりながらさらっと重要なことを話すこの男、体勢を立て直したリーズが相手の集団に近寄っていくのを楽しげに見ている。
その様子は何か見守るようなもの、瞳から熱を放つその姿はまるで父親が子供の成長を確かめているかのようで。
「お疲れさま」
「おお、そっちもな」
そしてその隣に佇む先に来ていた男もまた、それと同じような顔、表情。
如何な共通点があれば、そのような表情を共に浮かべることができるのか、まだ関係を修復したばかりのリティアには伺い知れるものではなく、しかしそれがあるからこそ二人はこの戦いに期待を込めていられる。
子が、親の手から離れ、自由にその力を振るう姿。
それから目を離すまいと、しっかりとその勇姿を脳裏に焼き付けている。
「……あいつはいったい、なんなのですか?」
その姿を見る、リティアの単純な疑問。
これほどの感情を向けられる自分の友の、その一面しか知らない自分の分からないことを知っている二人。
弱くはなくとも、率先して戦うような男ではないと思っていた。
しかしそれは、この光景が否定している。
少なくとも、あの数相手に臆するような男ではなく、余裕すらもって勝負に挑んでいる男。
「リーズ・ナブルとは、いったいどんな男なのですか?」
単純な疑問。
「どんな男…か」
単純な疑問。
「それはそれは…」
単純な疑問。
「それをもう、あなたは聞いているはずだ」
「ああ、その通りだろうな」
それは単純な回答で返される。
「彼は私が選んだ第二部隊の隊長だが」
「あいつは俺が連れてきた男だが」
「「―――そのどちらでもなく、あいつはあいつ。
リーズ・ナブルは安くはない!」」
自身が持ちうる全ての答え。
それは共通して、彼の価値が見たままでないことを告げていた。
その言葉に込められた思いに、リティアは改めて友の姿を見やる。
心配していた友の姿、それは先ほどまでとは比べ物にならないほどに頼もしく見え。
そんな思いとは裏腹に、事態は進んでいく。
一対多。
いまだ健在。
優劣は、いまだ五分。
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