リーズ・ナブルの闘い方
どうもアゲインストでございます。
リーズ・ナブルの闘い方、タイトル通りのお話。
このお話の主人公とは、これ如何なるものだろうか。
さて、この戦いをするにあたり、疑問に思っている方々がいることだろう。
俺が、一人で戦闘なんて出来るのか?
という、至極もっともな疑問だ。
支援部隊に所属しているような人間だ、今回の討伐で目立ったせいで忘れているかもしれないが、本来俺たちは戦わないことを前提に考えられた部隊だ。
そんな男が、決闘などとは片腹痛い。
と、あいつらは思っていることだろう。
なんら警戒もせず、大袈裟に振りかぶって切りつけてくる。その顔はこれからおこる惨劇を想像してか、残虐的な笑みが浮かんでいるのが見える。
その剣が迫る先に、俺はおもむろに踏み込んだ。
まずは先頭、上段から勢いよく振り下ろされるのはごく一般的な長剣。
俺を両断せんとばかりに迫るそれを、
―――俺は、そのまま体で受けた。
「っ!?」
「残念」
切り裂くはずであった自分の武器が受け止められる。
あまつさえそれがなんの防御もしていない相手に、全くと効いていないということが理解できず思考が固まってしまう騎士の男。
俺はその間抜け面に向けて容赦なく拳を叩き込み吹き飛ばす。
その光景を驚いてしまった二人目は、それでも前進を止めることなく攻撃してくる。
横に飛んでいくやつを避けながら、今度は足に向かって切りかかってくる。
特にどう、ということはなくそのまま攻撃させてやる。
「ふざけやがって!!」
俺の態度が気に入らなかったのか、怒りに震えて一層鋭い勢いで振り上げて腿のところにぶち当たる。
しかし、先ほどと同じような現象によって全く効くことはなく今度は蹴り飛ばすことになった。
先発の二人が一撃のもと吹き飛んだことにより、突撃の勢いがなくなり、代わりに困惑の感情が広がっていく。
「な・・・なんで斬れてないんだ?」
「たしかに当たったはずだろ!?」
そしてそのまま立ち止まってしまった彼らに合わせてこちらも足を止めてやる。無理に攻め込む必要性もないのだから、せいぜいビビってもらおうというわけだ。
「おーい、来ねぇのか?」
「いや…」
「行くかって…なあ?」
しまいには隣のやつと話を始めてしまう兵士たち。
行くかどうか、そんなことを囁き合っていれば、後ろから叱責の声が上がる。
「何をやっとるかお前ら!!」
それはこの中でも特に体格のいい大柄の騎士から発せられたものだ。集団を掻き分けるようにしてゲシゲシと俺の前まで進んでくる。濃い髭面のその男はその体格ににあった大きな剣を背中から引き抜いて構える。
「あいつらは功を焦った愚か者だったが俺は違うぞ! いくらお前が身の守りに自信があろうと、我が剛剣の前には意味を成さんわ!!」
自信満々に体の筋を膨らませ、力強さをアピールしてくるこの男。そういってゴブリンの群れに飛び込んでいって真っ先に怪我を負っていたのだが忘れてしまったのだろうか。
「あの時の屈辱忘れてはおらんぞ! お前の余計な手出しのせいで折角の機会を無駄にしたのだからな!!」
「それって俺のせいじゃなくね?」
「問答無用!!」
どうにも俺がしようとしていた支援魔法にビビったせいで力が発揮できなかったという、言いがかりの類いをそれはまあ真剣に言うもんだから、思わず突っ込んでしまった。
だからなのかは分からないが、それを合図にするようにして突撃してくる。
構えは刺突。
先ほどのことから斬撃は効かないと考えてのことだろう。真っ直ぐに腹を目掛けてくるのは何か狙いがあるのか。
「串刺しにしてくれるわ!」
そんなことなかった。
短絡的というか、まあ直感タイプなんだろう。今まで攻撃されてきたところがそれなりに防御力が高いところなのだと無意識に判断してそれよりも比較的脆そうな腹部を狙った、といったところか。
「さすがに面倒か」
あの速度で突かれたらえらいことになりそうだしな。
俺はあと何歩といったところで当たる、というところでさっと体を横に滑らせた。
目標がずれたことで勢いのままに飛び込んできた相手は止めるわけにもいかず、ぶれた剣先では貫くことも叶わずというところでこいつは思わぬことをしてきた。
「ふんっ…ぬ!!」
「おお!」
無理矢理に前進の力を踏み込みで相殺したかと思えば、握りを調整して横に避けた俺の横っ腹に向けて剣の腹を叩き込んできた。
回避したことによる体勢のせいで踏ん張りが効かず、勢いのままに吹き飛ばされる。衝撃が腹から広がっていくのを感じながら、俺は宙を舞うのに身を任せた。
「はっはぁあ!! どうだ!!」
得意気な声を聞きながら、近づいてくる地面に自分の影が色濃く映っているのが目に入り、その距離を分からせてくれる。
接地面、まずは腕の先から。
勢いに逆らわず触る程度の感覚で。
腕を畳んでいき衝撃を吸収、肩、首の後ろ、反対の肩、といった具合に体を回転させていく。
反対の手も地面に着けたら今度は勢いに沿って腕を伸ばす。
足の動きも連動させて、のびをするようにしてやれば体はもう一度宙へと飛び上がる。
今度は完全に制御された跳躍によって、俺は難なく着地を決めるのだった。
「……あぶねぇな、怪我すんだろうが」
そんな曲芸じみたことを見せられた連中の顔はそれはもう度肝を抜かれたような顔で俺を見ていた。
髭面もまさかというようなものになっており、先ほどまでの威勢のいい表情とはまるで異なった、なんとも言えない表情になっていた。
「いや、まだ始まったばかりだろうが。もっとがしがし来いよ、新卒かてめぇらわ」
停止してしまった戦いの流れ、今起こったことを理解しようと頭を働かせているのはわかるが俺は早いとこ大将と闘いたいんだ。
それならと、俺は自分から攻めることにして、ゆっくりと、疎らな陣へと歩みを進めていくのだった。
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