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リーズ・ナブルは此れにて御免 ~元軍人付与士は冒険者として成り上がる~  作者: アゲインスト
ダボンナ王国独立編 ~リーズ・ナブルの人理《ひとり》立ち~
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リーズ・ナブルと式典を

着飾ればここまで化ける系ヒロイン。

遂に式典の会場に到着した二人。

そんな三十二話でございます。


評価、ブクマをよろしく。

 俺はそもそも祭りというものには縁のない生活だった。

 小さい頃からそんなもんに参加できる家庭環境になく、大人になっても仕事仕事の毎日だった。

 そんなもんだから大勢で騒がしくするのは大体酒場とかで、それだって身内のやつらでしかやらなかった。

 だから祭りというか、こういう式典についてはとことん無知なのだ。正直いろいろ教えてもらってありがたかったが、もうちょっと優しくしてほしかったというのが本音ではある。

 しかし、そんなことをここでいうのは野暮というものだろう。

 今の俺はお嬢様の盾なのだ、彼女が楽しめるよう全力を尽くす所存である。

 

 

 

 

 

 

 クラーグさんを背後に、毅然とした様子で広間へと歩を進めてくるリティア。その姿は彼女の家で見たものよりも遥かに洗練されていて、彼女の持つ凛とした雰囲気にとてもよくにあっていた。

 騎士としてではなく、貴族の娘としての公式な姿というのがこうも美しいとは、ドレスもそうだがいつもはしていなかった化粧が彼女の整った顔を際立たせている。

 元がいいのもあるが、そういった全体的なものが合わさり周りがざわめくほどである。

 そんな中をこちら目掛けてくるものだから、注目度がやばい。

 

「ここにいたのかリーズ! 最初の時にいないから探したんだぞ!」

「悪いな、ああいうのは苦手なんだ」

 

 あそこに立ちたいからやったわけじゃないし、無名に近い俺が出ても迷惑というものだ。あそこには所属のはっきりした連中が大きな顔してたほうがいいんだよ。

 

「それにしても……」

 

 近くにきたリティアがまず最初にやったことは俺の格好に目を走らせることだった。

 十秒くらいじっと見られて何を言われるかとドキドキしていると、父親譲りの頷き方で何かに納得する少女。

 

「見れなくはないな」

「着られてんのはわかってんの!! 気にしてんだから言わないで!」

 

 いくら着飾ったところで俺がこの場所に合うような人間ではないのだ。形だけを整えたところで性根の部分でこういった場所は肌に合わないのだからな。

 

「まあまあ、そういうな。私の隣に立つのにあの格好は論外だ、ましになっただけよいではないか」

「……あー、親父さんから?」

「ああ、しっかりと守ってもらうからな」

 

 その顔を見る限り、どうやらダグラス氏からも言い含められているようだ。

 

「エスコートを頼もうか、友よ」

「…仰せのままに、お嬢様」

「そこは友と言わんか」

「女の子にそういうこと何度も言うと鬱陶しがられるって母ちゃんがいってた」

「私は気にせん、どんどん言うがいい」

 

 ああん、男らしい。

 この娘なんでこんなに成長しているのかしらん。

 

「…そいじゃ、手のほう借りるぜ」

「うん」

 

 諦めた俺は言葉に出さない代わりに、あの日のように手を差し出した。俺の手に重なるようにして、リティアも反対の手を絡める。

 

「リーズ様、くれぐれもお気をつけください」

「まあ、ほどほどに」

 

 リティアの後ろに控えていたクラーグさんからさらに念押しされる。そんなに心配なら自分らでやらんかい、とかいったらなますに切られそうだから口にはしないよ。

 頭を下げる彼に見送られながら、俺たちは歩みを共に会場へと進みだすのだった。

 

 

 

 

 

 

「―――リティア=ラインホード様、入場いたします!!!」

 

 会場に足を踏み入れれば、多くの人間が所狭しといるホールに向けて大声で俺たち、というかリティアが来たことを知らされる。

 今回の功労者としては一番地位が高く、何よりも着飾った彼女の姿は華やかさはおそらくここにいるどんな人より美しいだろう。彼女の存在を目にした者が息を飲むのがここからでもわかる。

 

『あれが今回の…』『なんと美しい!』『以前とは段違いだ』

『とても戦場に立つようには見えん』『そこが良いのではないか』

『プリシア様の妹なんですってね!』『凛々しいわぁ!』


 ざわざわと囁き声が漏れ聞こえてくるなか、俺のほうにも当然注目がくるわけだが、まあいいとは言えんわな。

 視線もそうだが、だれかれ構わず俺のことを不振に思っているようだ。

 

「心配するな」

 

 そんな俺の内心の不安が掌越しに伝わったのか、リティアはぎゅっと握りを強くする。

 

「…分かっちゃう?」

「私も最初は緊張した。なに、今回は私が守ってやろう」

「一応盾役は俺なんだけどね」

 

 情けない、自分で決めたことなのにな。

 やっぱり権力者ってのと関わるのも良し悪しだが、俺の友達がこの娘で本当に良かったと心から思うよ。

 

「じゃあ、そっちは頼んだ」

「ああ、お前は私を守れ」

「あいよ、君は俺を守ってくれや」

 

 およそ戦いに行くかのようなものいいだが、心境的にはそんなもんだから大袈裟とは言えない。

 絡み合わせた掌が、強く結ばれ熱を増した。

 それがなんとなく、頼もしく思えて。

 踏み出した足は同時に前へ、このきらびやかな世界へと進みだす。

 これが終われば国を出ていくことを、俺はまだこの娘に告げられないでいる。でも、いつまでもこの心地よい関係に浸ってはいられない。

 隣に誰かがいる頼もしさと、それと別れなければならない寂しさに、それでも俺は前に進むんだと心に決めて、せめて最後まで彼女の友として恥のないように、胸を張ることにしたのだった。

読了ありがとうございました。

感想など大募集しておりますのでよろしくお願いいたします。

評価、ブクマもよろしくお願いいたします。

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