リーズ・ナブルの戦い方
素直に投稿です
どうもアゲインストと申します
ついに主人公の戦いが始まる
そんな十二話でございます
この世界の戦士の戦い方は、およそ二つに別れる。
ユルゲンやお嬢様みたいな物理的な近接型。
魔法を遠くから放つ遠距離からの魔法使い型。
これにいろいろ種類があったりするが、そこまで違いがあるわけではない。どちらにしろ敵をぶち殺すのが目的だからな。
俺は、そういったものとは少し違う技術を扱っている。
支援魔法と呼ばれるものだが、これはあまり使用者がいない。
理由としては効果がまちまちであること。人体に宿る魔力には、外部からの魔力による干渉を阻む効果がある。これは本人の努力でどうにかなることだが、どんなものに対してもそうできるようになるには修練がいる。
当然魔物相手にはまったく役に立たない。あいつらが人類に心を開くことがないからだ。
その中で、俺は付与士という、対象の能力を底上げすることを専門にしている。
だが、当然の如くまともなものではない。
「『ライフ・ポーション』の効果発動。円形に広域展開」
俺のやり方は独学だ。貧民街で生き抜くために身に付けた、邪道なやり方なのだ。
名前のまま、生命を回復させる効果をもつ魔力をもった魔道具。俺はその魔力を利用して、広範囲に回復できる領域を構築する。
緑の陣が俺の周りにいた隊の奴らの傷をだんだんと回復していく。それは一つの魔道具で起こせる規模ではない。
これが、俺の支援魔法。
特定部位還元式付与魔法―――『アナロギア』
地下水道に蔓延るネズミ型の魔物が持つ魔力をどうにか生活に利用できないか、と。
当時その肉を貪りつつ考えていた俺は、ある一部に宿る一番強い魔力に着目し、拙いながらもそれを扱えるようになった結果、俺独自の技術として他人とは違う能力を扱えるようになった。
それをあのナインハルトに見出だされ、俺は軍部に引き込まれた、というわけだ。
「スタミナ回復もしとこう。『ゴブリンの肝』の効果発動。同型に展開」
討伐したゴブリンもこうした使い方ができる。懐に仕舞い込んだ瓶詰めのそれを使い、疲労した者共に活力を与える。黄色い陣が構築され、先程とは違った効果を発揮する。
これでちょっと遠くにいって巻き込まれないようにするぐらいはできるだろう。
俺は決して魔力が多いわけではない。せいぜいが通常の何割か増、といったところだ。それでもこの範囲に効果を広がらせることができるのは、魔物の部位に宿った魔力を使用しているからだ。
「ユルゲン! フォローする! 赤い陣を作るからそれを踏め!!」
個別に宿った魔力には、それに応じた能力がある。
魔草を原料とするポーションには傷の回復効果。
魔物の肝には体力を回復する効果。
では、魔物の爪や牙にはどんな効果があるのか?
「『フォレストウルフの爪牙』の効果発動。三重に小型展開。『ホーンラビットの角』の効果発動。同型展開」
付与の陣はこうしていくらでも重ねることができる。そして種別の違うものを使う時に陣は赤くなる。俺の魔力と魔物の魔力、混ざると何故かこうなるのだ。
種別の判断に困るのでどうにかできないか思考錯誤したのだが、これはどうにもならなかった。
まあ、今は関係ない。
打倒に必要な要素を、俺は淡々と重ねていく。
「おっ! こいつだな!!」
ユルゲンは素直にそれを踏み抜き、俺からの支援を受けとる。体に変化はない。しかし、それはその攻撃によって発揮されるものだ。
「おりゃあああ!!」
豪咆とともに振り抜いた右の拳。
何度も食らってその威力のほどを十分にわかっただろうが、けして自分を殺すような威力ではない、と高を括っているのだろう。ジャバ公は反撃する気満々なのが丸分かりだ。
でも今度の攻撃は、ちいとばかし痛いんだぜ。
「ばん」
バンッッッッッッッッッ!!!
周囲にはそう聞こえただろう。
鱗を剥がし皮膚を裂き筋肉を絶ち骨を砕いた。
それが、爆発したような衝撃でもって鳴り響いた結果がこの音だ。
魔物の牙や爪、角は対象に『貫通効果』を付与する。それを二種、三重にして陣を作った。
下位の魔物の部位であっても、効果を重ねれば通用する。
十分な効果を発揮してくれたようで俺は大満足だ。ジャバオックの前足一本、確実にいただいた。
「―――GYAAAAAAAAAAAAAAAA!!!」
生涯感じたことがないような痛みに絶叫をあげるジャバオックの姿が実にいい気味だ。俺の元部下たちをよくもこんな無様な姿にしてくれたな。これからだってのに、動けなくなったらまた負担が増えんだろうが。総隊長が今度こそ死ぬかもしれん事態だけは避けねばなるまい。
「新人! なにこれ!?」
「貫通効果を付与した! 五分は続くから思いっきりやってくれ!」
「まじかよ!?」
それまで散々殴るも効いた様子のなかった相手が血飛沫を撒き散らして体を振り回している。痛みが脳を焼き、まともな判断ができるようになるまで少しばかり時間があるだろう。
その間、撃ちっぱなしに晒されてもらおうじゃないか。
殴打と断末魔が響くなか、俺は戦いの終息を確信する。
高位魔物『ジャバオック』は、かくして、人の手によって葬られようとしていた。
俺の元職場を巻き込んだ事件は、こうして終わりを告げるのだった。あっけないとはいわないでほしいね。
だって、これが妥当な結果なのだ。
英雄に手を貸して、討伐できない怪物はこの世に存在してはいけないのだから。
直接とは一言も言ってない
終始支援にまわる役柄、これがリーズという主人公
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