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リーズ・ナブルは此れにて御免 ~元軍人付与士は冒険者として成り上がる~  作者: アゲインスト
ダボンナ王国独立編 ~リーズ・ナブルの人理《ひとり》立ち~
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リーズ・ナブルの参戦

第十一話は深夜にゲリラ投稿


リーズ、参戦。


そんなお話でございます

 正直に言おう。

 正直に、間一髪であったと。

 全力を出しても追い付けないユルゲンの身体能力に頬をひきつらせていたとき、目標であろう魔物の存在に遠目から気づいた俺は咄嗟にユルゲンに頼んで投げ飛ばしてもらったのだ。

 コントロールは抜群で、申し分ない威力で目標の顔面にぶち当たった。その結果、ミンチになる寸前のハナセを救出することができたのだった。

 内心の冷や汗を全力で隠しながら、俺はハナセに向き直る。

 

「悪い、おそk」

「先輩!!」

 

 おっと。

 疲労と負傷でよれよれのくせに、やけに機敏に抱きついてきやがった。こんなことしてる場合じゃなかろうに。この野郎。

 

「離せ、おい」

「はい! なんっすか!」

「いやだから離せって」

「そうっす俺っす!」

「ハナセじゃねぇよ! 離せって言ってんだよこの野郎!!」

「そんなに連呼しなくったって俺は無事ですよ先輩!!」

「だから違うって言ってんだろうが!!!」

 

 あー鬱陶しい!!

 無理矢理引き剥がしたらそのまま倒れ込みやがった。こんなところで変な気力使わせんじゃねぇよまったく。

 

「さて」

 

 気が抜けて気絶したハナセを置いておいて、まずはお嬢様に確認を取らなくては。ちょうど背後におられたみたいで探す手間が省ける。

 

「ラインホード嬢…おい、聞いてんのか」

「…はっ、あっ! ああ、聞いているぞもちろんだ!!」

 

 …なんだ。やけに赤い顔をして、鼻を押さえている。さっきの突風で怪我でもしたのか?

 目立った外傷はそこまでないし、心配はそこまでいらんだろう。

 

「あの魔物の能力を知りたい。どこまでわかっている」

「…聞いてどうする」

「勿論倒す」

「無理だ!!」

 

 赤くなっていた顔を今度は青く染め、ボロボロの体を引きずって近づいてくる。彼女のいうことも間違っているわけではないが、それは前提条件が違う。勝算がなければ戦おうなんて思わん、こんなデカブツ。

 

「確かに俺だけじゃ無理だな。さすがは高位の魔物だ、あんだけぶっ飛ばしたのにまるで堪えてない。もう立ち上がるだろう」

「そうだ! あの固い鱗にはどうやったって太刀打ちできん!」

「そうだな。だから呼んだんだ、スペシャルゲストをな」

 

 なんて言っている間にも、魔物は体勢を立て直し始めていた。乱入者に対する怒りでこちらを睨み付ける瞳は爛々と輝いている。

 これからってところを邪魔されて、さぞやご立腹でしょうな。

 

「そんじゃあ先輩、お願いします」

「―――まかっせなぁあああああああ!!!」

 

 俺を投げ飛ばし先行させていた大先輩、ユルゲン・ハワードが突風を纏って駆け抜けていく。そして勢いそのままに飛び上がったかと思えば俺を投げ飛ばしたときと同じようなところに拳を叩き込んでいた。

 

「だらっせい!!」

「―――ッGOGYAAAAAAAA!!!」

 

 わーお、やりおるわ。

 豪腕一閃、叩きつけた一撃は容易く魔物の頭を殴り抜いて後ろに仰け反らせる。

 その光景にお嬢様は言葉をなくす。

 

「かってぇええ!? 固いぞこいつ!!」


 嬉しそうにそういいながら、さらに殴りかかっていくユルゲンのことを見ながら、俺はこの魔物の特徴をつぶさに観察していくことに集中していた。

 

 ユルゲンの戦い方は単純なものだ。

 強化した肉体で相手をボコ殴りにする。それだけなのがとにかく強い。本来であれば容易く対象を破壊しているであろう拳を受けて、それでも倒れないあいつが異常なのだ。

 

「さすがは、といったところか」

 

 さすがは高位の魔物。

 同じく高ランクと言われても、人間とはやはり開きはあるものだ。

 だから、ここからが俺の仕事だ。

 

「おい、あんた」

「……」

「…ったく。レティア=ラインホード!!」

「はっ!? な、なんだ!?」

「とりあえず、あの魔物の名前を決めよう。そうじゃなきゃやる気が起きん」

「やる気ってお前…」

「名無しの命を奪って満足か? あんたをこんな風にした相手が名無しで満足か? 納得いく勝利を迎えられるか?」

 

 貴族というのは厄介だ。

 こいつらはまず名誉というやつがなければ生きていけない。それがなんであれ、名前のない存在なんて相手にして満足がいくとは思わない。納得もしないと俺は考えている。

 

「あいつは俺も見たことがない魔物だ。森の深部から出てきただろうから誰もがそうだと思う。ここで一番偉いのはあんただ。だから、あんたにあの魔物の名前を決めてもらう」

 

 倒すのは俺たちだが、その功績はこのお嬢様のものにするつもりだ。わざわざ軍から出てきたというのに目立つこともないからな。全部この人におっ被ってもらおう。

 そんな思惑を隠しながらそう告げれば、お嬢様は少し考えた末、こう呟いた。

 

「…ジャバオック」

「そいつが名前か?」

「昔、姉に読んでもらった本に出てきた怪物だ」

「ほーん。いいんじゃねぇか。ぴったりだ」

 

 現実的じゃない、という点も含めてぴったりだ。こんな化け物にはそのくらいの名前が妥当だろう。

 さて。

 

「対象、高位魔物『ジャバオック』。戦闘評価Sと認定し、支援部隊第二部隊元隊長、リーズ・ナブル。これより戦線へと参加する」

 

 俺の戦いを開始しよう。

読了ありがとうございました

感想など大募集しておりますのでよろしくお願いいたします

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