新米小隊、暗闇の初戦
どうもアゲインストでございます。
ついに、ついにダンジョン内部にまで話をもってこれた……!!
導入が長すぎたかと公開しつつそれでも何とか投稿。
今回はダンジョンでの初戦の様子をお送りします。
それではどうぞ。
「―――……ライドっ! 無理に攻撃する必要はねぇ!! 盾役が二体は請け負ってんだ、お前は冷静に攻撃を見極めろ!! 後衛はシェルフィーに方を先に対処しろ、射線のあけ方は声を掛けて確認し合え!!」
「は、はいぃ!!」
「ここはんと暗くて見辛い……照明くらい付けなさいよね!!」
「リーズさん、明かりを移動させます! シェルフィー!」
「承りましたわ」
声を張り上げ指示を出し、連携の確認をしながらパーティーでの戦い方を実戦で学んでいく。
敵はゴブリンが五体、内二体は出会い頭の先制攻撃で俺が倒してしまっている。残りをそれぞれが受け持ち、俺はその動きを見ながらフォローを入れたりしていた。
「いいぞ! その調子だ!!」
「リーズ様、こちらはいいのでライド君の方をお願いしますわ。たかだかゴブリン相手にビビっているようで」
「度胸を鍛えるためだ、もう少しやらせとこう」
「ちょっと聞こえてるんですけど!! ビビってないですからね僕!!」
―――ここはサベクダンジョン第一層。先を見通すことのできないレンガ造りの通路で構成された内部通路にて、俺たちは魔物との初戦を行っていた。
あの後、「砦」内部の見回りを終えたらしいヘレンたちが待つ拠点へと戻り、出発のための準備をするためにそれぞれ行動を始めた。
俺たちの様子に何かあったのかと聞きたげな顔のヘレンだったが、主のシェルフィーの微笑む顔を見て察したのかニヨニヨとした笑みを浮かべるだけで何も言ってこなかった。代わりに親指を立ててシェルフィーを見つめていた。
他の従者もそれで分かったのか「砦」の情報を纏めたものを渡してくるときに何も言わず俺の肩を叩いてきたのが何か鬱陶しかった。表情も妙に腹が立つようなもので若干イラついたが手を出すほどでもないと考えてグッと堪えてその場は書類を受け取った。
ライドたちを待ちつつ内容をある程度確認していたが、やはりダンジョンの前に作られた拠点ということか、なかなか面白いことになっているようだった。
武器防具の類いを扱う店舗の数もそうだが、魔道具関係の店や魔物の素材を買い取るところも普通の街よりも大きな規模で展開しているようだ。
そして何より目を引いたのはここにいる冒険者についてだ。
どうやらジュリウス率いる「ガラドルの戦士団」が他の団体を大きく引き離してはいるようだが、だからといって無視するにはいかないような実力者の存在がちらほらいるようだ。
ギルドの出張所で出会ったナハトという男もかなりの強者のようで、隣の国ではそれなりに名の知れた奴だったようだ。
そういった腕利きたちがこんな範囲の中で顔を合わせることになるのだから色々と問題が起こりそうなものだが、そこはギルドがきちんと対処しているようだ。それにしては先ほどは止めることもなかったが……まあ、ジュリウスのせいってことにしておこう。
そうして内容を頭に入れているとライドたちから準備ができたことを告げられたので資料から顔をあげ、四人の姿を視界に納める。
ライドたちはそれまで持っていなかった武器や防具を身に纏っている。腰にはそれぞれ小ぶりな革袋が括られていてこの中に攻略のために買い集めた道具が色々と入っているのだ。
俺についてはそこまでの用意もなく、同じ内容の革袋を受け取って終わりである。何、俺の仕事道具は中に入ればいくらでも手に入れられるからこれで十分なのだ。
そうして全員準備もできたので、従者たちに見送られつつダンジョンの入り口と思わしき場所へと向かった。
以外にも行儀よく立ち並ぶ冒険者たちの列の一番後ろに並んでいたのだが……前にいる奴等がこちらをチラチラと見てくるのが気になった。
―――後で知ったのだがこの時には既に出張所でのことが広まっていたらしく、その内容も大手との問題を起こしたとでもいうような内容で危険な集団として見られていたらしい。そのせいもあってか遠巻きに見られているだけで何もなかったのはありがたかったが。
とまあ、そんなこともありつつ無事に攻略の第一歩を歩み始めている。
初の戦闘もようやく終わりが見えてきた、シェルフィーたちの方は後衛の二人が上手く処理をして今ライドが戦っているゴブリンで最後である。
「頑張ってライド! 寄ってくるような奴はいないから集中して!」
「それはいいけど援護がほしいかなっ!!」
「ごめんねライドくん、リーズさんに止められてて」
「そういうことだ、男を見せろライド」
「この人意外にスパルタだぁ!!」
さもありなん、難題に挑むためにはこういうことの積み重ねをしなければならんだろう。
「コナクソぉおお!!」
「GYAAAAAAAA……!!」
発破を掛けたのが功を奏したのか、気合い一閃の一撃によってゴブリンを倒すことに成功したライド。
荒い息を吐きつつも、無事に倒すことに成功したは安堵の表情を浮かべていた。
「はー……はー……よしっ!!」
喜色に染まるライドの顔、自分の命を奪おうとする存在を倒すことのできたこと、生存できたことを素直に喜んでいる。
しかし立ち上る血の臭いに意識が覚醒したのかハッと顔を上げてこちらに駆け寄ってくる。
「やりました、僕やしましたよリーズさん!!」
「おう、おめっとさん。最後のは良かったな、気合いがこもってて」
「そ、そうでしたか! いや、自分でもあれはいい感じだったかと」
「逆に言えばそこしか誉めることろがありませんでしたけどね」
「しっ、だめでしょシェルフィーちゃん。男の子が頑張ったんだからまずは褒めとかないと」
「ですがリーズ様、調子に乗ればいいというものでもないでしょう?」
「いーいシェルフィーちゃん、男ってのはね、格好いい姿を見せないと死んじゃう生き物なの。こういう時には調子に乗らせておいて、ミスした時にフォローしてあげるのがいい女のテクニックってものよ」
「あんた女じゃないだろうが!! ていうかそういうのは本人に聞こえないとこでやってくださいよ!!」
気持ち悪いわっ!!、と。
褒められていたかと思えば一転して貶されている状況に正気に戻ったライドからツッコミが入る。
「しかしなぁライド君、ゴブリン相手に時間掛けすぎよ? 複数相手ならまだしも一体だしなぁ」
「ぐっ……言い返せない。やっぱり実戦だとまだ動きが鈍るか」
「まあ、できることからやってこうや。幸い機会は十分にあるんだし、荒療治と思ってこなしてこう。俺も初回でどう動くかを見させてもらったからもっとよくフォローはできる、失敗なんか気にせずまずは自分でやってみな」
はい、と悔しそうな表情で頷かれてつい苦笑を浮かべてしまう。
俺はうつ向くライドの頭に手を起きながら、
「なに、お前には支えてくれる仲間がいるんだ。そいつらに負けないようにって頭の片隅にでも留めといてくれりゃいい」
というと、一応納得してくれたのか頭に手を置かれたまま頷いてくる。その様子を微笑ましいというような表情で見ている女性陣、今後長くからかいのネタにされることだろう。ライド、強く生きてほしい。
「よし、そんじゃあ次いくぞ!!」
「はい! リーズさん!!」
こうして約一名に黒歴史を作りつつも攻略は進んでいくのであった。
読了ありがとうございました。
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