新米小隊、渦中へ
どうもアゲインストでございます。
投稿頻度が乱れていること、深く謝罪いたします。
実生活のほうで色々とありまして思うように執筆の時間が取れず、ご迷惑をお掛けしていることと思います。
これからも投稿は続けていくつもりですが、正直ここまで滞るとは思っておらず……技量のなさを悔しく思うばかりです。
読んでくださっている方々に多大な失望感を与えていることと思いますが、どうかこれからもお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。
ジュリウスの突然の介入によって、まるで予想していた通りとはいかなくなった訳だが何とか登録を完了することができた。
目的の地図の方も最新版を手に入れ、これで一先ずは挑戦への目処が立ったということになる。
しかし、登録をするのも地図を買うのにもこちらを伺うような視線が着いて回ったのは嫌な気分だったな。
俺がその原因ではあるのだが、ジュリウスと同じような人種であるかのように見られるのは勘弁願いたい。
あんなのと一緒にされては俺が戦いたがりかのようではないか。そんなわけが無いだろう、俺は戦闘職じゃねぇんだぞ。ジュリウスみたいに手段はあっても使うのには十分考えて使うわ。
突っかかってきたナハトももう何かをいうつもりもないのか、こちらを厳めしい顔で睨んでいたものの魔法使い風の格好をしたミラと呼ばれていた女性に手を引かれて登録作業に向かっていった。
そんな風に遠目から距離を離して観察してくる彼らを尻目に出張所から退散した俺たちは、ようやくダンジョンへの挑戦準備を完了した。
そして装備や道具を取りに戻るために拠点へと向かって歩みを進めていた。
道を行く途中でまた視線が集まる。中でのことを知らない他の冒険者たちは俺の後ろを歩くライドたちの様子が気になるのだろう。
彼らも先ほどの殺気から解放され幾らか体調を戻したものの、その顔色は良いものとはいない。
まだあの強力な殺気が忘れられずにいるのだろう。そりゃそうだ、あんなもんに晒されて、むしろこうして歩けているだけマシというものだ。
「悪い、無理をさせたな。もっと穏便に済ませられることだったのに」
「……いえ、リーズさんが悪いわけではないです。僕たちが他の人たちにどう見られているか何て、分かりきったことですから」
俺が出張所でのことを謝罪しようと振り向いて話しかけると、ライドは苦い顔をしながらも気丈に応えてくる。
ライドは自分も辛いだろうにも関わらず、仲間の二人の様子を気遣いながら歩いている。
「僕たちは所詮は駆け出しの冒険者です。あの人が言ったように経験なんて言えるものがあるとは冗談でも言えません」
そう言葉にするライドの表情は、遥か先にいる相手との格差を認識したことによる恐怖が滲んだものだった。
しかし、そこに諦めの感情はない。
「でも、やると決めたんです。今さら誰かに言われたところで止めるつもりはありません」
「そ、そうよ」
そしてそれはライドだけではない。
気持ち悪そうに口元に手を添えていたセルーナもまた、揺れる眼光に決意を乗せ、顔を上げて俺を見る。
「あんな化け物みたいな奴がいるのね……舐めてたわけじゃあないけど甘かったわ、心底甘かった。でもこれでよかったのよ、死ぬ前にこんな経験しちゃ油断や満身なんてできるわけがないんだから」
勝ち気な性格のセルーナは心折れることなく、未熟な自分を認めつつもそれを糧にしてやるという意思を見せている。
その隣でマールまた、決意のこもった表情をしていた。
「怖かった……怖かったけど、やるって決めたんだもん。ダンジョンは私たちの街を変えた、色んな人が来て良くないことが沢山起こったわ。でもみんな、ダンジョンのおかげでお金が稼げるから無視してる。それじゃダメだって分かってるのに、誰も解決しようとしないの。
だから私たちでやるんだ、絶対に。負けたくない……!」
彼女たちの力強いその言葉を聞きながら、俺は何時の間にか隣に来ていたシェルフィーへと視線を移した。
穏やかな顔をした彼女は彼らの様子を見て満足気に頷いている。
「皆さんよい顔をされていますね。本当に彼らを出会えてよかった、勿論あなたともですが」
「あんたがここまでのことを想定してたとは思えないんだが?」
「ええ、それはそうでしょう。本来彼らとは見回りを共にしたところで別れる予定でした。しかしあなたが現れて、その選択は予想もしない形の未来へと変わってしまった」
―――でも。
「これもまた人が人たる由縁です。出会い、そして変わる。それは人生の道行きの中で幾度となく繰り返されてきました。時に傷を付け合うこともある私たちですが、今回はこうして手を取り合い力を合わせることができる。そう考えればこの困難も挑むに値しますわ。何よりここまで気持ちのいい方たちですもの、俄然力になりたいと思いますわ」
ジュリウスの殺気に堪えた様子もなくけろりとした態度で言い切るシェルフィーの姿は年下ということを伺わせない。とても頼りになる笑みは自信もあってのことだろう。流石は数々の異名を持つ女性ということだろう。
「当然ですが、リーズ様には一番頑張っていただきますからね?」
「……誠心誠意やらせてもらうさ。そうじゃなきゃ格好がつかない」
「あら、さっきのことも格好つけるためなのかしら。だったらとんだとばっちり」
「はっ、可愛い顔して冗談キツいんだな、結構意外だぜ」
「ご免なさい、お付き合いならできませんの」
「おっと洒落も利いてるときた。こりゃ口じゃあ勝てねぇな」
意図したやりとりではなかったのだが、シェルフィーとの掛け合いは他のメンバーの強張りを解きほぐす効果があったらしい。
若干言い負けた感のある俺の態度が面白かったのか、クスリと笑われ場が幾らか穏やかになる。
「そんじゃあ、みんなの足手まといにならないようにしないとな。精一杯頑張らせてもらうよ」
「ははは、リーズさんにそんなこと言われちゃ僕たち前衛ももっと頑張らないといけませんね」
「支援職に負けるようじゃ後衛の名折れだわ。マール、気合い入れていくわよ!」
「任せてセルーナちゃん! ライド君たちにだって負けないんだから!」
「久々に腕が鳴りますわ。『盾』が決して守りのためだけにあるのではないことを見せてあげましょう」
俺の言葉に応えるようにして各々のやる気を改めて言葉にしてみれば、自然と足が進みが早くなる。
それまで地面に向きがちだった視線が前を向き、暗かった顔も明るくなっていく。
何のかんのといったとこで、やっぱりこいつらも冒険者なのだ。この道を選んだのは、そこに共通する望みがあるからだ。
―――それ即ち、『未知への好奇心』
そうでなければいくら街のためといってもここまで来ることはなかっただろう。
物資の準備もでき、心構えも出来上がった。
こうなれば最早どうこう言うことはない。後はやり遂げるだけ、そしてそれは俺がどれだけ彼らに貢献できるかに掛かっている。
「そんじゃあ仕事をするとしますかね。何、実に妥当な働きをご覧にいれようじゃないか。過不足なく、停滞のない、当たり前の勝利を約束しよう。それができるような準備をしてきたんだ、俺とお前らならでやり遂げよう。
―――さあ、ダンジョン攻略の始まりだ」
読了ありがとうございました。
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