↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/34

第11話 妻に浮気がバレて修羅場に!まさかのAI言い訳


 俺はマリカとの関係にすっかりハマり、完全に調子に乗っていた。


 自分ではうまく隠しているつもりだったが、周りから見れば、浮かれた中年男の行動などバレバレだったのかもしれない。


「中学の同窓会」


「男友達と朝まで飲み」


 そんな雑な嘘をついては、2週間に一度は外泊していた。


 マユだってバカじゃない。不審に思うのは当然だ。




 ある夜、マユが探るように聞いてきた。


「ねえカズキ。……まさか浮気してないよね?」


 ドキッとしたが、俺は平静を装って笑い飛ばした。


「えー? するわけないだろ! 今更そんなめんどくさいことしないよ。同窓会の連中と盛り上がっちゃってさ、断れないんだよ」


「ふーん……ほんとに? なんか怪しい」




 俺は明らかに目が泳いでいたと思う。


 マユはジッと俺を見て、釘を刺した。


「ま、いいわ。もし浮気してたらどうなるか、わかってるわよね?」


 背筋が凍ったが、喉元過ぎれば熱さを忘れる。


 俺は「バレてない」とタカをくくって、マリカとの密会を続けてしまった。




 そして、運命の日がやってきた。


 日曜日の昼下がり。


 リビングでくつろいでいると、マユが真顔でやってきた。


 空気が、張り詰めている。


「カズキ。二人だけで話があるんだけど、ちょっといい?」


「あ、ああ……いいよ(……ヤバい、バレたか?)」


 ダイニングテーブルに向かい合って座る。


 マユは無言のまま、バッグから数枚の写真を取り出し、テーブルに叩きつけた。


バシッ!!


「……ッ!?」


 俺の心臓が止まった。


 そこに写っていたのは、紛れもない俺とマリカだ。


 ラブホテルの入り口で腕を組む姿。出てきてキスをする姿。


 顔もバッチリ写っている。言い逃れようがない「決定的証拠」だった。


「これ、誰だかわかるわよね?」


 マユの声は、怒りを通り越して氷のように冷たかった。


「カズキと、パパの秘書の沢田マリカ。……信じられない。よりによってパパの会社の人とやる? 恩を仇で返すにも程があるわよ」


 脇汗が滝のように流れる。


 思考が真っ白になる中、俺の口から出たのは、あまりにも情けない、往生際の悪い言葉だった。


「な、なんだこれ……? こ、これ、CGじゃないか!? そうだ、最近流行りの生成AIだよ! ほら、今はAIでどんな画像でも作れちゃうから……誰かの悪戯だよ! 俺を陥れようとしてるんだ!」


 必死に作り笑いを浮かべて訴える俺を、マユはゴミを見るような目で見下ろした。


「……あんた、バカなの?」


「えっ…?」


「もっとマシな言い訳できないの? 最近あんたの雰囲気が変わったから、興信所に頼んだのよ。プロの調査員が撮った写真を『AI』で誤魔化せると思ってるの? 女の勘をナメないで」


「…………」


 終わった。


 俺はガックリと項垂れた。


 何も言い返せない。


「……ごめん。申し訳ない」


 震える声で謝罪したが、マユの目には涙が浮かんでいた。


 それは悲しみではなく、決別の涙だった。


「明日から、パパの会社には来なくていいわ。当然、沢田マリカもクビにする。二人で好きにすればいい」




 マユは吐き捨てるように言い残し、自室へと消えた。


 リビングに一人残された俺は、震える手でマリカにLINEを送った。


『マユにバレた。探偵雇われてた。全部知られた』


 即座に既読がついた。


 マリカからの返信は、あまりにも早かった。


『わかった!! お互い、少し離れましょう!』


 え? それだけ?


「大丈夫?」とか「会いたい」とかないのか?


 俺たちの絆は、そんな簡単に切れるものだったのか?


 スマホを握りしめたまま、俺は天井を仰いだ。


 天国から地獄へ。


 転落のジェットコースターが、動き始めた。




続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。