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第10話 遂に俺たちは一線を越えてしまうのか!?


 ネオンが毒々しく光る歌舞伎町の裏通り。


 俺たちは、あてもなく歩いていた。


 周囲にはビジネスホテルやラブホテルが立ち並んでいる。


 俺の下心はパンパンに膨れ上がっていたが、あくまで紳士ぶって、気づかれないように振る舞っていた。


「……風が気持ちいいね」


「そ、そうだね……」


 マリカが夜風に髪をなびかせながら呟く。


 その横顔を見ているだけで、胸が苦しくなるほど高鳴った。




 しばらく歩いた時だった。


 マリカが立ち止まり、俺の袖を少し引っ張った。


「ねえカズキ。……ちょっと、休憩しない?」


 ドクン、と心臓が跳ねた。


 これは誘っているのか?それとも本当に疲れたのか?いや、ただ酔っ払っているだけか?


 俺の脳内で緊急会議が開かれるが、答えは一つだ。俺は覚悟を決めた。


「マリカ、俺の腕につかまりな」


「うん! ありがとう」


 彼女の柔らかな胸が、俺の二の腕に押し当てられる。


 その熱と感触に、もう理性は吹き飛んだ。


「……ここで、少し休もう」


 俺は目の前にあったホテルの看板を指差した。


 マリカは拒まなかった。


 無言で小さく頷き、俺についてきた。




 部屋に入り、ドアがカチャリと閉まった瞬間だった。


 どちらからともなく求め合い、俺たちはむさぼるように熱い口づけを交わした。


「あんっ……カズキ……!」


 何度も、何度も唇を重ねる。


 そのまま雪崩れ込むようにベッドへ倒れ込んだ。


 理屈も倫理も消え失せ、俺たちは獣のように激しく愛し合った。


 事の後、甘い倦怠感が部屋を包んでいた。


 俺はシーツにくるまるマリカを抱き寄せながら、不思議な感覚に囚われていた。


 初めてのはずなのに、体の奥底が震えるようなこの感覚。


「なぁマリカ……変なこと言うけどさ」


「ん?」


「なんかさー、前にもマリカを抱いたことがあるような気がするんだけど……気のせいかな?」


 自分でもクサい台詞だと思った。


 だが、マリカは驚いたように目を丸くした。


「えっ! ……私も、今そう思ってたの」


「え?」


「カズキに抱かれて、何だかすごく懐かしいような気がしてたの!」




 背筋に電流が走った。


 女神ノアの言葉が蘇る。


『ツインレイを探しなさい』


 まさか。いや、間違いない。


 この懐かしさ、この引力。マリカこそが、俺の求めていた魂の片割れなのか!?


 俺は興奮を抑えきれずに聞いた。


「ねえマリカ、『ツインレイ』って知ってる?」


「ツインレイ? なにそれ? ……聞いたことないわ!」


 マリカはキョトンとして首を傾げた。


 俺は少し拍子抜けしたが、すぐに打ち消した。


「あ、いや……知らなきゃ別にいいんだ、ゴメン!」


 彼女が知らなくても関係ない。


 俺が分かっていればいいんだ。


 俺たちは元々一つの魂だったんだ。だからこんなに惹かれ合い、出会うと幸せな気持ちになるんだ。


「マリカ、好きだよ」


「私も……」


 そんな運命(思い込み)を信じて疑わないまま、俺たちは朝まで何度もキスをし、抱き合った。


 少しだけ眠って迎えた朝。


 まだ甘い余韻が残る中、軽く朝食を取ってホテルを出た。


「じゃあ、また会社でね」


「うん、また」


 そのまま別れたが、俺の心はもう完全にマリカに奪われていた。


 疑問を残しながらも、俺たちの情事は続いていった。


 日に日にマリカを好きになる。


 会っている時間はすごく幸せで、世界が輝いて見える。


(やっぱり間違いなく、マリカは俺のツインレイなんだ!)


 こんなに早く運命の相手に出逢えるなんて、夢みたいだ。


 俺はそう信じて、この沼の底へと沈んでいった。




続く

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