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2話「貴方は何者?」




「証拠がないならこいつは殺させない」



彼はそう言ってくれた。

例え相手の人たちがそんなわけがないと断言をしていてもだ。


正直に嬉しかった


だって今までの約17年ずっと否定され続けてきたから

いや1人を除いて。


私には才能がないし特別性格がいいわけでも顔がいいわけでも頭がいいわけでもない。何もないのだ。こういうのを自己嫌悪というのだろうか?


いや自業自得というやつなのかもしれない。私は自分が他人よりも才能がないと知っておきながら努力を怠っていた。


だからそんな私が嫌だ


勝手に被害者ぶってる私が嫌いになってくる



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「お前、名前は?」


私を追っていた2人を倒してくれた殺し屋の人は私を人通りの少ないところに連れて行ってくれていた。


「シズクです...」


「で、シズク。色々話したいことはあるが、まず一番最初に聞きたいことは本当にお前は何もしてないんだな?」


確かめるように。されど、疑いの目ではなかった。


「も、もちろんです!私は何もやっていないしなんで追われてるのかも分からないんです」


「うむ。本当に何もしていないんだったら別に大丈夫だ。それよりも本当に身に覚えはないのか?」


「はい、でも私は無能力者というよりも能力がまだ発動していないので、そんな無能いらないとでも思われたんじゃないんでしょうかね?」


半分冗談、半分本気で言ってみた


実際にこの世界には無能力者というのは一定数いる。無能力はいつでも虐げられる存在だ。あまりよく思わない人もいる。


そんなことを思っていたら


「何を言う。それだったら俺も狙われてるだろ」


「え?どうゆうことですか?」


「俺も一応無能力者としてやらせてもらってる」


一瞬頭がフリーズした


あの圧倒的な実力で?しかも彼は見た目で言えば私と同い年くらいに見える。その年であれ程までにしかも素の実力だけであの強さだと言うのだろうか


と私が考えていると


「いいか?確かに能力は大事だ。だけどそれ以外にも大事なことなんて沢山ある。近接用の能力じゃなければナイフの技術、格闘技術、遠距離の攻撃がなければ銃の技術を上げる。」


「ーーーー」


「何も能力に固執をする必要はないということだ。まぁあるに越したことはないがな」


「でも流石にあれほどの実力を能力無しに身につけたというわけですか?」


「まぁ無能力者なりに頑張ったんだよ」


凄い。それしか出てこなかった。私にはできなかった努力、そして恐らく能力の才能はなくともそういう才能はあったのだろう。


そこに私も頑張ろうと思わなかった辺りほんとに私は怠惰なのだろう。


「す、すごいですね。私にはそんな努力できなかったので」


「何言ってんだ」


「え?」


「これからシズク、お前を特訓する」


あまりの唐突すぎる言葉に固まってしまう。


「な、なんで?ですか、?」


「シズクは弱い自分が嫌なんだろう?」


「それはそうですけど」


「それにお前、これからどうするつもりなんだ」


「なんとかして生きていきます」


あまりにも説得力のない言葉だった。しかもさっき殺されていたかもしれないというのに、まだ変な虚勢を貼り続けることに自分自身に怒りを覚えるレベルだった。


「バカを言え。今のお前じゃ無理だ」


「……」


「でも俺が特訓をすれば1人で生きていけるレベルには強くなれるだろう。そしてついでに能力も覚醒させる」


「わ、るくないんですか?」


「なにがだ」


「だ、だって、私は無能だし弱くて物覚えが悪くて何もできないから、、、」


「無能?何故それが言える。やってみないと分からない。やってないだけで、その能力を覚醒させればとてつもない能力かもしれない。才能が埋もれてるだけかもしれない」


「……」


「物覚えが悪い?だったら俺が覚えるまで叩き込んでやるよ。無能力者だが教えるのが上手いで評判なんだ」


「なんですかそれ」


少しだけ嬉しかった。

あまりにも自分に優しく接してくれる彼に。

やはり私は少しばかりちょろいのかもしれない。


「それに俺はお前の言葉を信じて守ったんだ。匿う理由くらいある」


「だからこれから世界を見返してやろうぜ」


ニコッと笑ってくれながら、差し出された右腕。


それを拒むことなんて私にはできなかった



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





「そういえば、名前を聞いていなかったですね。名前はなんていうんですか?」


少し落ち着いた私は彼の名を聞いていた


「シン、それが俺の名だ」


「シンさんはなんで殺し屋なんてしているんですか?」


「なんてとはなんだ、なんてとは。まぁ殺し屋になったのは成り行きだ。何か特別な理由があるわけでもない。」


本当にそうだろうか?と思ったが口に出さないようにした。


「そうなんですね、それでこれから特訓といっても何をするんですか?」


あんまり人のプライベートに踏み込むものではないと思ったので話題を変える事にした


「特訓といっても俺は師匠的な存在じゃない。まぁ先生に近いものだ。お前にこれからこの世界での生き方を教えてやる」


「生きかた、?」


「そうだ、この世界では最低でもDランク以上ないと1人で生きていくのは厳しい」


Dランク、、、この世には6つのランクが存在する。一番上はS。そしてA、B、C、D、E、Fの順にある。


政府はこのランクごとにそれぞれ報酬を与えており、A以上は働かなくても一生遊んで暮らせるような報酬がもらえている。


もちろん私はFだ


「シンさんは何ランクなんですか?」


あんなに強いのだ。最低でもAはあるだろうと思ったのだが。


「もちろん俺はFだ」


「え?」


「当然だろ。俺は無能力者だ。どれだけ素の実力が高かろうがこの世界は能力主義の世界だ。だからこのランクも能力を基準に作られている」


「一応私もFなんですが、Eとの差はなんなんですか?」


「能力はあるが、全く持って使えない能力なんだろうな」


「じゃ、じゃあどれだけシンさんに教えてもらっても使えない能力だったら、」


「使えない能力とはいったが言ってしまえば使えない能力なんてない。どんな能力でも結局は応用の仕方で変わってくる。」


「どんなにしょぼい能力でもそれを応用し色々な戦い方をする。もちろん戦い向けの能力じゃないものもあるがそれでもサポートに回れるようなものならばいろんな使い方がある」


「ーーーー」


「結局は使い方の問題だ」


「私は能力を覚醒させることができるんですかね?」


「まぁ地道だな。そんなすぐに能力を覚醒させて100%使えるというのは無理な話だ。」


「ある日突然使える者もいれば、危機的状況に陥れば覚醒する者もいる。人によって様々だ。」


「でもさっき危機的状況でしたが能力の片鱗も見えませんでした...」


「それはお前が諦めていたからだろう、諦めていたければ分からなかった。それに俺が助けたからというのもあるだろう」


「じゃあもう一回危機的状況に逢え、、、ってことですか?」


「そうは言ってないだろ。ただ少しばかり危ない橋を渡りそうにはなるがな」


「危ない橋?」


「今は話さなくてもいいことだ」


少しだけぞわりと感じたシズクは背中に冷たいモノを感じた


「それより今は優先することがある」


「そうですね」


随分と話がズレていたが1番の目的はシズクが何故狙われているかだ。睦が嘘をついていた?あの言い草からしてシズクがなぜ狙われてるのか分かっていた感じだった


「とりあえず心当たりはまったくないってことで良いんだな」


「はい、普通に学校に通って帰る途中に黒服の人たちに襲われました」


「恐らくだがマヤカシが絡んでいることだろう」


「ーーーー」


ある程度予想はしていたがマヤカシの可能性があるのだろうか?


「一旦、住む場所、、、というよりも今は組織も信じれない。しばらくはホテル暮らしになるだろうな」


「そうですね、、、」


「学校はどうする?」


私は学校に通っていたが居心地は良くはなかった。無能力というだけでもいじめられて友達も少なかった


「いや、大丈夫です。義務的に通っていただけだったので」


「そうか、まぁ狙われてる以上不用意に外に出させるわけにもいかないんだけどな」


「それじゃあ一旦外は危ないからホテルに向かおうか」


「はい」


と提案したらいいものの、女子高生に俺どんでもないことを口にしてないか???


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



行き途中に敵に出くわすことはなかった。殺意も感じられなかったのでおそらくつかれてる事はないだろう。


「わぁ、広いんですね」


普通のホテルよりもかなり大きいところに泊まる事になった


「こんなに高そうな場所いいんですか?」


「殺し屋を舐めるな。まぁ汚れた金だが腐るほどにはある」


「返答しづらいですね」


「まぁ気にするな。それよりも飯はいいのか?」


「ご飯は1日に1回食べれれば良かったので」


最低ランクの私には最低限のものしか与えられなかったのでろくに食にありつけることはなかった。


「食は三大欲求の一つだぞ?しかも高校生なんだから食べとけ」


悪いと思い断ろうと思ったが


グゥー


腹の虫が鳴ってしまった。

恥ずかしくて赤面になっていると。


「何をご所望で?」


部屋のデリバリーサービスのメニュー表を開きながらそんなことを言ってくるシンさんに


「オムライスで...」


「よし、20個頼もう」


「つっこまないですよ?」


「え?」


そうしてお腹を満たして、お風呂にも入り寝る時間となった。


「もうそろ寝るか」


「はい」


そうしてシンさんが寝転がってるベットの反対側に行こうとしたら


「一緒に寝ないのか?」


「は、はい?!」


異性に何を言うのだろうこの人は


「な、ななななにを言うんですか??!」


「タラシ?タラシなんですか?!あなたは!!?」


「バカを言え、俺はいつでも一途な男だ」


最近俺の口癖がバカになってる気がするんだが


ずっと慌てて赤面するシズクにふっと笑ってしまう。


「何笑ってるんですか!」


今日一日ずっと堅い顔しかしなかったので和らいだ顔を見れて安心する


「もう寝ます!」


「結局一緒には寝ないのか?」


「バカ!寝ない!」


怒られてしまった。





なんなんだろうこの人は。


私をからかって楽しいのだろうか?

でも久々にこういうじゃれ合いをして少しだけ楽しかったのは口には出してあげない。


面白かったですか?

そうですか、面白かったですか!良かったです!

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