↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
31/37

腐肉のゴーレム

「おおお師匠様あれは一体…!?」

 大人二人分ぐらいの高さを誇る、腐肉の塊でできたゴーレム。フレッシュゴーレムを前にアムが悲鳴を上げる。経験の浅い彼が見たこともないのは無理もないか。

「いやあああ気持ち悪いいい」

 一応プロをやってる職業暗殺者の悲鳴も聞こえてくるが。まぁ、魔術関連で敵対者と立ち回らなければこれも仕方ないのか。

「死体の肉で作られるゴーレムだ。材料にそれを選ぶ主な理由は嫌がらせ」

「見た目とやってることに比べて理由がしょうもないですね…」

 俺に言われても。石や金属で作るゴーレムと比較しても柔らかく、火が有効なあれをわざわざ大量の腐肉を用意して作る理由がそれ以外思いつかないから仕方ない。

 一応、その肉を使い筋肉を形成できるから瞬発力は高いとか、そう言う理由もあったと思うが目の前のそれは所詮はゾンビが元だ。腐った肉で筋肉の力もないだろう。

 とは言っても、公共の、墓場で、巨体を誇る肉のゴーレム相手に有効な術を使うのは躊躇われた。大規模破壊の古代魔術か、自分の体力を根こそぎ奪う魔導魔術の二択。特に後者は一応とはいえ自分の命を狙ってきた暗殺者がいる。その彼女の前で身動き取れなくなるのは避けたい。

 そんな思考を巡らせていると、フレッシュゴーレムが動き出す。腐り、異臭漂う肉汁を撒き散らしながら、こちらに向かってくる。その動きは緩慢が特徴の石のゴーレムとは違い、それなりの速度。“腐っても“筋肉を持つ腐肉のゴーレムか。やかましいわ。

 そんな余計なことを考えながらも、攻撃を避け、火炎の魔術を放つ。肉は熱に弱く、低温でも変質する。火炎は当然有効なはずだ。だが。

 焼け落ちた肉体がボロボロと剥がれ、体積を減らしたと同時に墓場から湧いたゾンビがゴーレムの体を修復する材料となる。これではキリがない。

 アムも掴みかかろうとするゴーレムの腕を剣で切り裂いたがやはり切った先から再生する。青年に満たない弟子がそれなりの立ち回りをしているのに感心する。その横で腐ったゴーレムにただ悲鳴をあげている暗殺者に呆れながら。まぁ彼女はこの街からの襲撃とは別件だ。ただ巻き込まれただけだし無理もない。同情する気もないが。

 決定打に欠けるか、知性のほぼないゴーレム、(一応)自分を殺しに来た暗殺者。この問題を処理するために、呪文を唱える。

「氷の子らよ、水精よ、その力で彼の者を封じよ」

 地面から冷気と水を噴出させ、凍結、氷によって動きを止める魔術。

「大霜縛(ラージフロスト)っ!」

 当然、ゴーレムのような存在を倒すに至るに足らないが。霜と言うには大袈裟な氷の柱達が、フレッシュゴーレムと、アサシンちゃんさんの脚に絡みつき、動きを止める。

「は!?えええ???」

 唐突に、自分が置かれた状況か、それとも氷の術の冷気に混乱し、悲鳴を上げる暗殺者。

「お師匠様…?」「あー…できればそいつ、縄で縛っておいてくれ」

 自分の行動に弱い疑問を投げかけるアムに、一応指示を出しておく。

「これから使う術は、リスキーでな」

 あとの問題は、暗殺者ではなく、真の襲撃者本人がこの場にいないことだが。そう祈るように、手に持った愛用の剣をゴーレムに向け、魔導魔術を唱え始める。

 その呪文を聞いた役立たずが“一振り“、少し震えた気がした。

術補足

大霜縛(ラージフロスト)

 呪文魔術。氷の柱を地面から生み出し、触れた対象を氷漬けにして動きを封じる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。