表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エッグキーパーズ Egg keepers 〜秋山ダイチの宇宙戦争〜  作者: GOM
第一章 小学生編その1:シリウス攻防戦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/29

第九話 せんとうくうかん

 そのとき、「お姉さん先生」こと神津ハルナ教諭は、ランチ操縦士二名と共に子供達の様子を見守っていた。

「だいぶうまく操縦するようになったけど、この子達を戦場に送るのはイヤよね。」

もうじき、幼馴染との結婚の話も出て、自分の産む子についてもイメージできるようになってきた頃、目の前の子供たちと将来産むであろう自分の子が重なってしまっていたのだ。

「少しでも長く時間をかけてこの子達を鍛えて、この子達が子供でいられる「時」を長くしてあげたいよね。」

そう思った瞬間、目の前が白く輝き、ハルナ教諭の意識はその身体ごと真空の宇宙空間に吹き飛ばされた。

爆散するランチを見て一瞬考えが止まっている皆の中、「鬼軍曹」はすぐに正気に戻り、各員に通達する。「急いで各自防御体制、武装安全装置解除、追って連絡あるまで各小隊長にまかせる。」そういって、ランチのほうへ救助に動きだすも、再びの攻撃は鬼軍曹の機体腹部を貫通し、機体をまっぷたつにさせた。

軍曹の声と撃墜される軍曹機を見、更に強烈な悪意を感じてこれが単純な事故では無く意図的な攻撃、おそらくレールガン等による狙撃による事に気がついたダイチ。

すぐさま、狙撃方向と思われる方へシールドを構えながら、マイの元へ向かう。

「いいんちょ、早く指示を出して。」しかし、マイからは明確な言葉は聞こえない。

「あぁぁぁぁ....。」マイは衝撃と恐怖のあまりパニック状態となっていた。

そのうち、小隊の残り2人もマイの元へ注意しながら近づく。

「おい、ダイチこれはどうなっているんだ!」パニック気味ながらも、ダイチがしっかりしているので、少し落ち着いたシンゴ。

「たぶんだけど、こっちの方角からの遠距離狙撃だと思う。」

「自分のセンサー系も同じ結果を出している。おそらく今は発射地点から移動中だろうから、同じ方角からの狙撃はないだろう。しかし、いつまで撃たれないか保障は無いぞ。」カズアキは案外落ち着いていて狙撃手として的確な判断をしていた。

「うん、たぶんこのままじゃないと思う。今AIに救難信号を送ってもらったけど、ステーション側も襲われているっぽい。」

ダイチ達が周りを哨戒すると、黒くて平べったい機体が数機小惑星群の影に見えた。

「どうもやっかいな正規機体を撃破した後、ボクらはゆっくり片付ける気っぽいね。早くいいんちょに復帰してもらわないと、ボク達だけでなく他の皆も危ないよ。」

ダイチは、マイ機に接触して直接通信を行う。

「いいんちょ、このままじゃ、みんな死んじゃうんだ。いいんちょ、ボクに言ったよね、目の前で死なれるのはイヤだって、今がその時なんだ。早く起きてよ、いいんちょ。ねえ、マイ、早くおきてよー!」

・・

「うっさいわね、そんなに大声で怒鳴らなくても聞こえてるわよ。」

「良かった、いいんちょ。」思わず涙ぐむダイチ。

「状況を整理するから、情報を頂戴。」マイは機体の指揮能力を全開にして小隊だけでなく、クラス全体、そしてステーション等から情報を集める。

「今、確認されている敵が、無人機が12、おそらく狙撃をした有人艦が1以上。このうちステーション側に無人機が8、こちらに4来ている。

クラスの皆と先生たちの内、すでに3機撃墜、3機大破、6機も中破している。このままじゃ皆殺しにあうわ。」

「うん、じゃこのピンチを打開しなくちゃね。いつもどおりボクが突撃兼おとり、シンゴがバックアップ、いいんちょが指示出して、カズアキが狙撃で良いよね。」ダイチが大胆な提案をする。

「一番確実な手だと思うけど、有人艦はどうするの?」マイは心配する。

「たぶん、こっちに向かった無人機を全損させたら、動くと思うよ。レールガンとかの狙撃って方向さえ分かっていたら避けるなりなんなり手はあるし、こっちに向かわずに撤退するかも知れないし。」ダイチは楽観的に話す。

「ホントにそれでいいの? 死んじゃうんだよ!」マイは泣いてしまう。

「大丈夫、ボクは死なないから。だって、後でいいんちょのお説教受けないといけないもん。」自分を励ますように、笑うダイチであった。

「よおし、このままでも死んじゃうなら、動いてなんとかしなくちゃな。それにダイチの背中を守るのが、オレの仕事だし。」シンゴは機体の腕でダイチの機体を軽く叩く。

「ここは逆転の一手を打つべし、有人艦を落とせば無人機は無力化できるし、やらないよりやったほうが良い、姫ご決断を。」カズアキが後押ししてくれる。

「しょうがないわね、みんな絶対死ぬんじゃないわよ! 後でお説教の後、いろいろおごってもらうんだからね。」マイも吹っ切る。

「じゃあ、大変だけど、クラスの残存機全体の管制指揮も宜しくね。」

「え、そんな無茶言わないでよ。」「いいんちょなら絶対出来るよ、ボクが保障するから。」

そういって、ダイチはマイから離れ、機体の武装安全装置解除後、あの言葉コマンドをAIに言う。「システムコマンド:ゲートバースト!」

それは、夢で最後に誰かが言っていた言葉。気になっていろいろ調べたところ、それはゲートエンジン搭載機にある隠しコマンド、リミッター解除コードなのだ。

リミッター解除されることで、ゲートエンジンの中で生成される「門」の大きさを倍以上に拡張し、生成エネルギー量を数倍に増加させる。それは機体すべてのパワーアップに繋がるが、冷却能力がすぐに追いつかなくなり、間接やスラスター各部の損傷が早まるため、そう長い間使えるものではない。もちろん推進剤もあっという間に消費しつくす。

また操縦者には、通常よりも強い精神負荷及び機体制御情報が脳に大量に送られる事でこちらにも限界がある。更にフィールド強化によって防御能力が上昇するも発熱量増加によるステルス性が低下し、その上各種センサー類が機能低下をしてしまい、友軍からの情報が無い限り敵機の補足すら難しくなる。

しかし、圧倒的に不利な現状、これをひっくり返すには一か八かの手に出るしかない。

ダイチは、襲い掛かる精神負荷を跳ね飛ばすべく吼え、自らの「力」を解放する。「うぉーーーー!」

ダイチの気合にあわせて、機体の周囲のフィールドは目視できるほどに励起、また機体装甲のすき間から、ゲートエンジンからシールドしきれずに漏れたフォトン(光子)があふれる。

そして、ダイチの機体は慣性を無視したように、跳ねる。

それを見たシンゴ、「オレを忘れるなよ。」と推進剤を吹かす。

マイは、ダイチの動きを見てちょっとびっくりするも安堵して、仕事を始める。

「各機体の状況・位置情報把握、全装備の使用許可認証、ステーション・航宙艦の観測機器情報全入手、いくわよ!」

「大隊の皆、生きてる? こちら大隊長の神楽坂、今の皆の状況は分かっている。大変だけれども、ここで踏ん張らないと皆死んじゃう。ワタシが指示を出すから、がんばって生き残って!」

なぜか、ダイチの輝く姿を見てから、心に余裕が出来ていつもよりも全部が良く見えている気がしている、マイ。

それは、必死に追いつこうとしているシンゴや、狙撃の準備をしているカズアキにも言える。

なぜか大丈夫だという気がするし、機体もいつもよりもパワーアップしている気がするのだから。

それは、実は「神様」からのプレゼント、ダイチに関わる仲間の「存在力」を増して、ダイチの助けとなるような、ちょっとした「確率変動」。

仲間から飛び出したダイチ、情報ネットワークとのリンクが切れていないので、周囲の様子は良く分かる。後ろからシンゴがついてきてくれているのも「見えて」いる。

今のダイチは、「力」を全解放しており、AIを含めて周囲にある意識あるものの気配はすべて見える。こっちに向く悪意を4つ確認、うち友軍クラスメイトに襲い掛かっている1機を発見、そいつから片付けるように軌道を変える。

一撃離脱を繰り返す無人機「トリデンタウス」の背後から接近し、一気にブーストしてシールドを前にして激突、バランスを崩した敵機のミサイル発射口にライフルを密着させてバースト連射、爆発しそうな敵機を蹴り上げて、敵機から離れる。「ひとーつ!」宇宙に大きな「花火」が上がる。

次の敵機は、飛び出したときにこっちに向かってきていたヤツ2つ。

相対速度が速いので、ぶつかったらたまらないし、ハサミでつかまれたらお終い。武装が少ない背面に回るようランダムにスラスターを吹かしつつ、螺旋軌道をしながら敵機に接近する。

先に接近する機体に向けてシールドを構えて突撃、砲撃をいくつかはじいてすれ違う時に、右腕部アンカーを打ち込む。

アンカーはうまく帝国機の補助脚に絡みつき、ダイチの機体はものすごい逆Gを受けて今までと逆方法に引っ張られる。

一瞬、Gで気を失いかけたダイチ、痛む身体を無視して再び吼え、ワイヤー巻取りを行う。

そのまま敵機後方から近づくダイチ、右手のライフルはワイヤー巻取りが邪魔してうまく敵に向けれないので、今度はシールドを立てて、尖ったシールド先端で思いきり敵機の推進器をぶっ刺す。

アンカー切断後、シールドを引き抜いたところにライフルを突っ込んで連射。

爆発する敵機の破片をシールドで受け止めながら離れるダイチ「ふたーつ!」

そして後ろを見ると接近していたもう一機とシンゴが戦闘中。

うまく敵機の攻撃をいなしながら、射撃戦をしているシンゴ。

それを援護すべく、スラスターを吹かして敵機の後下方から近づき、敵機に接触いや激突した際に今度はライフルじゃなくて作業用のプラズマトーチを廃熱口らしきスリットにぶっこみ、内部を焼き払う。そしてまた「花火」が上がる。「みーっつ!」

「なんだよ、そのカウント。」あきれるシンゴ。

「いやー、このネタも使いたかったんだよ。」バーストモードの精神負荷による影響で興奮しつつも、どこまでもマイペースなダイチ。

そのとき、マイから連絡が入る「こちらでも全員で1機撃墜したわ。これでこちらへ向かった無人機は全部倒したの。でもステーション側は苦戦中らしいから、ここで有人艦を叩くか、追い払わないと危ないみたい。」

「もう少しパワーアップ時間は残っているから、やってみるよ。出来ればカズアキをこっちにまわしてくれる?」ダイチは支援を要請する。

「ええ、こっちは落ち着いたから、負傷者回収を優先するわ。後はそっちでお願い。もちろん情報支援はするからね。」「うん、まかせてよ。」

「じゃあ、また後ろ宜しくね、シンゴ。」

「いいけど、後でその光るパワーアップ方法教えろよな。」

「うん、でもコレだいぶ負荷がキツイよ。たぶん終わった後で機体壊れるから、こっぴどく怒られるけど。」

「いいじゃん、生き残れなかったら怒られないけど、生き残れば勝ちだよ。」

「うん、じゃ残り時間もったいないから行くよ!」

マイからの観測情報を元に進む二人。

それを遠くから苦々しく見ている帝国兵がいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ