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エッグキーパーズ Egg keepers 〜秋山ダイチの宇宙戦争〜  作者: GOM
第一章 小学生編その1:シリウス攻防戦

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第十話 せんとうのおわり

 「どうしてこうなった!」焦りが見える帝国兵。

今回の任務は、強行偵察。第五惑星軌道上にあるステーションで動きがあるので、それを確認、出来れば撃破という命令であった。

普通、惑星間の距離で艦船はジャンプなどしない、その上他の艦船の動きも妙に忙しい。そして現場に来て見れば、正規兵は1機、あとはランチが1台と数ばかり多い練習機の集団、つまりこれはパイロット養成の団体なのだ。

これなら、ランチと正規兵をやってしまえば、後はヒヨコ、狩り放題だ。

念のために、無人機8機をステーション側に送れば十分時間は稼げる。

ではと、まず良い射角に入ったランチにレールガンで一撃、爆発したランチに救助に向かうために、こちらへ背を向けた正規兵へ一発。

これで邪魔者はいなくなった、ただ発射地点がバレるといくら練習機でもこっちに向かいかねない。そうなると面倒くさいので、小惑星群の陰になるようにステルスモードで少しずつ移動、後は無人機4つで十分狩りきれるだろう。

そう思っていたはずだったのに。

突然、小惑星の影から飛び出した妙に早くて輝く練習機が、無人機に体当たりして撃墜、その後もぶつかるような接近戦をして肉薄し2機撃墜、この戦闘に気をとられたスキに練習機の集団を襲っていた1機も、統率を取った攻撃で撃破されていた。

ステーション側に送った機体も、徐々に倒されている。

「どこで間違ったんだ!あの輝くヤツが来てからか!」

この帝国兵、まだ若く経験が少ない。そこで比較的安全かつ経験をとらせてやろうと上層部が今回の任務を与えたのだ。

「こうなったら、あの「人形」をしとめないと気がおさまらない! ハサミで掴んでバラバラに砕いてやる!」本来なら撤退すべきタイミングであったが、それは帝国兵の頭には無かった。

ダイチには敵からの悪意が見える。無人機と違い有人艦からの「もの」は強烈だ。

「どうやら敵は引いてくれそうもないや。困ったねぇ。」気配から敵機の推定位置情報をネットワークに上げるダイチ。

「撃墜数が増えるから良いんじゃないのか?」シンゴは軽口で返す。

「えー!でもこいつ撃墜しても全部で4機だからエースパイロット(撃墜王)にはなれないよ。」こっちも軽口のダイチ。

ちなみに撃墜王は5機撃墜から。しかし、搭乗時間200時間以下の偶発的接触かつ初戦で撃墜王になろうかと言い合う練習兵とは恐ろしいもの。

マイからの観測データも総合して大体の居場所は分かった。

「カズアキ、敵がいそうな辺りにあぶりだせるヤツ、撃ち込んでくれない?」

「確か、照明弾とプラズマグレネードがあるから、やってみる。撃ったらこっちは動くから援護はしばらく出来ない。居場所がわかってもすぐには仕掛けるなよ。」

「うん、それでお願い。こっちも後5分くらいしか残り時間無いっぽいから、早めに支援宜しくね。」

「御意。」

「で、いいよね、いいんちょ。」「ワタシに無断で先に話進めないでよね! その案で良いから絶対生きて帰ってきてよね、ダイチ。」「うん!」

敵機の想定位置にプラズマの火炎がひらめき、そこに黒い敵艦が浮かび上がる。

「おお、案外でかいヤツだな。」「うん、でも武装パターンは授業で教えてもらったのと同じだから、今までと同じようにやるよ。」

周囲を輝かせるプラズマ火炎にあおられた時、帝国兵は自分の居場所がバレた事に気がつく。

「なら、やってやろうぞ!」

ステルスを解除、推進器を全開にして地球の「人形」に襲い掛かる。

 迫りくる巨体、ミサイルを雨あられ、ビームやレールガン等惜しみなくダイチ達へ攻撃を向ける。

ミサイルは頭部CIWSであしらい、食らってはダメっぽい攻撃は避けたり、シールドで弾いたり。なんとか攻撃をしのぐダイチ達。

どうも敵は焦っているのか、ヤケになっているのか、攻撃が非常に荒い。

一撃離脱で行くべきなのに、しつこくダイチだけを追いかける。

そのために普通ならここまで簡単に対処できないはずなのだが、なんとかしのぎきっているダイチとシンゴ。

また、カズアキからの援護射撃もよく当たるし、シンゴの攻撃も無視しているか意外と当たっているから、徐々に帝国機の防御は削れてくる。

「ちょっと無理しすぎてレーザーアサルトがもうだめっぽい。高周波ソード使って突っ込むから、援護お願いね。」

「おい、ダイチ無茶だぞ。」「もう稼働時間がぎりぎりで、これで決めないともう手が無いんだ。」「ああ、分かった。聞こえてる皆、援護宜しく。」「御意。」

「死なないで!ダイチ」「うん!」

あえて正面からシールドを構えて突っ込むダイチ、そこに持てる火力を全弾撃ちこむ帝国機。

シンゴやカズアキからの援護で砲撃の半分以上は無効化できたが、それでも数が多すぎた。そしてダイチ機に多くの砲撃が命中する。

着弾して爆発が広がった後、その煙からソードを前にしてフィールド全開で突っ込むダイチ機。シールドと左手を失い、右脚が千切れており、各所ボロボロ。

「くそ、まだ死んでないか! だがこれで止めだ。」

止めとばかりに、艦首粒子ビームをチャージする。

狙いを定めた瞬間、帝国機のコクピットモニターが真っ暗になった。

「うおー!」

叫びながらダイチは、螺旋機動を取りつつ敵艦のメインカメラなどセンサー部へ向けて、胸部57mm砲を連射する。それは実弾では無くてペイント弾、しかし目くらましとしては十分だ。

「どうした、前が見えない!」

慌てた帝国兵、レーダーで「人形」との距離を測り忘れる。

それに帝国兵が気づいた瞬間、正面モニターを突き破って大きな剣が飛び出してきた。

ダイチ機は右手に掴んだ高周波ソードにフォースフィールドをドリル状に展開し、それを敵機の砲口へかまわずぶち込んだ。

勢いがすごかったのでかなり奥まで剣が腕ごと突き刺さり、剣はおろか腕さえもとても抜けそうに無い。

すかさず右腕をパージ、止めに胸部LSP砲を開放、残るエネルギーを全部ビームにして叩き込んだ。

コクピットに飛び込んだ剣は、帝国兵を半分押しつぶしていた。

「いったい、俺は何と戦ったんだ?」

疑問と後悔が残る帝国兵は次の瞬間、ビームで蒸発した。

大爆発する帝国機。

限界を超えフィールドを喪失し、もはや防御手段のほとんどと推進能力を失ったダイチ機は大きく弾き飛ばされる。

「ほい!、ナイスキャッチ」殆ど胴体だけのダイチ機を受け取るシンゴ。

「自分でナイスキャッチって言うの?」だいぶ疲れた声のダイチ。

「おい、大丈夫か。」「うん、身体はたぶん大丈夫、いたるところ痛いけどね。」

「ダイチ、ダイチ、ダイチーー!」マイの泣くような声。

「うん、大丈夫だよ、ちゃんと生きて帰ったよ。」

「うんうん、良かった、良かったよー!」マイはついに大泣きしてしまう。

「良くやったな、ダイチ。これで姫も一安心だ。」

「今考えたら無茶しすぎだよね、いくら火力不足といっても全部接射で仕留めているんだもん、次にやるときはもっと火力が欲しいな。」

「おい、まだやる気かよ!」「うん、だって後1機撃墜で、撃墜王名乗れるんでしょ。」「まずは帰還して、姫からお説教受けた後にするんだな。」

親機を失った残りの無人機は、行動がおかしくなり簡単に撃破された。

ステーションからの救助隊が現場に到着したのは、ダイチが親機を撃破した20分後であった。

ステーションに帰ったダイチ達を迎えたのは、多くの被害であった。

ステーションは数箇所に被弾、航宙艦もCIWS等が数機破損して死者も発生していた。またステーション守備隊の人型機動兵器が2機パイロット共々失われた。

ダイチの学校も被害甚大である。

「お姉さん先生」とランチ操縦士2人が死亡、「鬼軍曹」は重体、クラスも3人死亡、2人重体、6人重症、7人軽症と半数以上はなんらかの被害を受けていた。

残る子供たちも精神的に大きなダメージを受けており、PTSDと診断されている子達が殆どだった。

これが、ダイチ達の最初の戦闘、一応の勝利を見たものの被害を考えれば、苦い勝利であった。


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