表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エッグキーパーズ Egg keepers 〜秋山ダイチの宇宙戦争〜  作者: GOM
第一章 小学生編その1:シリウス攻防戦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/29

第三話 せんしのたんじょう

ダイチが3年生から4年生になろうかとしている頃のある日、ダイチの家に国連からの職員が訪れた。

ダイチの両親を説得し、ダイチを軍に入れるためである。

しかし、せっかく健康になり死の危険が無くなった可愛いわが子、それも10歳程の子を再び死との戦い、人殺しをする戦争に追いやるのを喜ぶ親など居るはずも無い。

けんもほろろにダイチの家から追い出される国連職員であった。

この話はダイチの耳にも入っていた。

ダイチは思う、「自分はいつまで、この家で平和に暮らせるのだろうか。」と

自分の「力」はすでに把握しており、おそらくそれが今回の徴兵原因だろう。

また戦況が良くないため、若年層の入隊がこのところ多いのも知っている。

ならば、自分から条件を出して、少しでも安全かつ上位階級で入隊できるように動いたほうが、より命の危険が少ないのではないかと。

ダイチは情報をまとめて、両親に話す。「無理やり徴兵される前に、自分から動いたほうが安全かも知れない。」と。

両親は泣いて、ダイチの提案を一度は否定するのだが、その後たびたび訪れる国連職員、国連高等弁務官、終いには日本の総理大臣まで出てきての説得に疲れ果てた。もはや子供を守りたい両親の望みはかなわず、どうにもならない事が分かった両親は、ダイチの提案を呑み、国連へ条件付の入隊許可を出した。

その条件とは、実戦前に必ず1年以上の教育期間を使うこと、教育終了後は仕官扱い(少尉以上)とし、消耗品として扱わないこと、年数回以上定期的に里帰りさせること、終戦後は軍を辞めさせて、国連職員等公務員として安定した生活、将来の高給を確約させることなどなど。

親として、ダイチ自身として、かなり無茶をいったつもりではあったが、この条件は案外すんなりと国連に認められた。

実は国連としても、ダイチはとても貴重な存在、使いつぶすどころか軍のアイドルとして、そしてエースとして絶対失うことがゆるされないもの。

なんとしても欲しい「駒」、それも「飛車・角」級が向こうから来てくれるのなら、どんな条件でも呑むつもりだったのは、ダイチの読み間違いであった。

 後にダイチは大人になった頃、あの時にもう少し吹っかけてやったほうが良かったと思うのだが、それはまた別の話。

ダイチの両親には、多くの支度金及び年金の先払いが行われた。そして、入隊の日、どうしても涙が止まらない両親・妹弟に見送られてダイチは旅立ったのだ。

 ダイチが到着したのは、関東の奥、山間部にある国連宇宙軍幼年学校日本分校である。

そこは、ダイチと同様に幼少期より適正と才能と認められた子供たちが集められるために新規に作られた学校であった。

やはりどこの親も同じように子供を大事に考えていたし、国連もいきなり少年たちが使い物になるとは思っていなかった。

そのため、ある程度時間をかけて育成をしていく予定ではあった。

そこでの生活は、規則正しい寮生活と通常の義務教育で学ぶ内容に加えて軍事教育と教練が中心であった。

ダイチ同様、そこに集められた子供達は幼年学校入学前に生体強化を受けていたが、ダイチの運動能力はすでに強化されてはいても、未強化である普通の子供程度がやっと。

強化兵基準の教練には、ダイチはついてゆけるレベルではとてもなく、みんなの「お荷物」となっていた。

ダイチの体格はとても小柄で身長は同年齢の平均値以下、華奢でやせっぽちの上、運動オンチ。

射撃センスとかは優秀なのだが、圧倒的にスタミナと筋力が無いのだ。

また乗り物酔いも強化前よりもマシとはいえしやすいと弱点ばかり。

しかし、学業レベルではトップクラス、更に様々な機器への順応が素晴らしく、その上戦術・戦略論も元々知っているため、その方面では負け知らず。

更に外見が異質ときては、ここでもダイチは「浮いて」いじめの対象となってしまったのだ。

ダイチだが、外観は前述のように小柄で華奢、容姿も色白で女顔の童顔、数歳は幼く見られる程で、幼年学校入学直前あたりから頭髪が白髪化しはじめていた。ダイチの家系は若白髪の人が多いのだが、特にダイチの白髪化は早い。

幼年時の大量投薬の影響なのか、生体強化が影響したのか、能力が開放されたからか。しかし、白髪になっただけで健康状態には全く影響は無かったため、両親も学校側も状態を経過観察していた。なお、一年もするとダイチの頭髪はすべて白髪、いや銀髪になっていた。

実はダイチの特殊能力として「力」の感知以外に、機器への高い順応性があった。ダイチにとってはどんな機器でも使用方法は一目瞭然、説明書無しに使いこなすことが出来た。後にダイチの弟も同様の機器順応能力を所有している事が分かり、これは家系遺伝性というか、「血」であるらしい。

更に言うなら「オタク」系を好むのも兄弟そろってで、「オタクの血は濃くなる」という典型でもあったが、これは更に更に別のお話。

 話は戻り、ダイチも自分の運動能力の無さや外見で浮いているのは実感しているため、ある程度いじめられるのはしょうがないとは思うのだが、かといってやられるばかりじゃないのはダイチが成長した証拠。物理的力じゃ勝てないなら、知恵の力で勝てば良い。

ダイチは、やっかみ程度は適当に相手しつつ放置して、自分以外にも悪さしている奴、そいつは中学部の上級生だったが悪事の証拠を見つけて匿名で告発、そいつを放校寸前まで追い込んでから、さりげなくかばってやって放校させないようにしつつ、「洗脳」いや説教してある程度改心させていた。

ダイチは思った。

「だって、後ろから撃たれたくないし、せっかくの戦力無駄にするのももったいないし。 敵は少ないほうがいいし、出来たら味方は多いほうが良いでしょ。」

実際、それ以降何か悪事を行うと確実に学校にバレてひどいめにあうという噂が流れ、学校全体でいじめや非行行為は減少したのであった。もちろん噂の出所はダイチであったのだが。そして、教育期間が半年を過ぎた頃、人型機動兵器への搭乗訓練が始まった。

 ダイチの目の前にあるのは、全長約20m、本体重量60t強にもなる人型機動兵器、SHI(Space Heavy Infantry 宇宙用重装歩兵)-01T ペットネーム「ホプライト」の練習機バージョン。

それは、人型機動兵器として初期に開発されたホプライトをリサイクルかつ練習機用に改修(T型)したもので注意色である黄色に塗装されている。

ハンガーに多数立ち並ぶその雄姿は、まるで神殿に並び立つ守護神像にも見えたため、見上げるダイチの瞳はキラキラとしていた。まあ、オタク系にも詳しいダイチがロボットに乗れるのなら、興奮しないわけが無いよね。

 練習機だが、コクピット周りは現在主力の機体SHI-02C「ケントリオン」C型と同仕様になっており、慣れないパイロットが取り扱いをしやすいようゲートエンジンの出力がやや抑えられていて、スラスター周りもオリジナル型よりは搭載数を減らし、かつ低出力であった。

 初めてコクピットに座ったときの感動は、後々までダイチの心に残った。

実は、ダイチ少々高所恐怖症の気もあったので、コクピットへ上るまでが怖かったのだけど。

コクピット全体は首のすぐ下、胸部の上部にあり、緊急脱出ポッドも兼ねた円形である。なお、ゲートエンジンは念入りにシーリングされてコクピット下方に鎮座しているが、それは、ゲートエンジンからの慣性制御をコクピットで受けやすくするためである。コクピット内側正面は半円系のスクリーンとなっており、操縦席はコクピット後方とアブソーバーでアーム接続されていて、衝撃やゆれを大きく緩和させるようになっている。席前に小型モニター及び左右上部に後方警戒用のサブモニター、左右下部コンソールにはサブモニターパネル及びスロットルコントロールも兼ねるジョイスティック型操縦桿、足部には左右二つずつのフットスイッチがある。

 基本的にはコクピットブロック後方に設置された量子型演算装置による人工知能(AI)の補助の上思念伝達型での操縦を行うのだが、補助的に操縦桿等を用いて操縦をなすのが、人型兵器であった。

 ダイチが操縦席に座り、ID認証を行うとゲートエンジンが休止状態からアイドリング状態に起動し、AIや各種機器が作動、正面モニターに機体頭部及び胴体にあるカメラから合成された正面画像が表示されると共に、簡易宇宙服も兼ねたスキンタイト型パイロットスーツのヘルメット内に補助情報が網膜投射された。

 流石に最初から、このままいきなり機体を動かす事は無理かつ危険なので、機体をハンガーに固定したまま、シミュレーションモードでここからは動かす。

実際、SHIシリーズは宇宙戦闘用にチューニングされており、1G環境下では歩行は可能だが、地上機動・戦闘はあまり得意ではない。

第一、戦車から見れば人型機動兵器は、ただの背の高い大きい的、飛行機からは鈍い標的、地球上では同じ技術を用いた既存兵器には通常まずかなわない。

宇宙での0G環境や、敵艦へ乗り移った後の白兵戦を主目的として開発されたので、それ以外は役立たずなのはしょうがない。

それからダイチは各種機器の説明、簡単な宇宙機動、歩行練習、敵機のロックオン方法、射撃・格闘モードの切り替えについての説明を受け、ゲームモードでの射撃、格闘訓練が行われた。

なお、ダイチの機体だがダイチの「力」でエンジン出力が勝手にオーバーブーストして、アイドリング状態維持が怪しくなったのは閑話休題である。その後、ダイチはエンジン出力を更にデチューンされた専用機体での訓練となったのは言うまでもなく。こうやってダイチにとって楽しい人型機動兵器教練が始まったのである。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ