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エッグキーパーズ Egg keepers 〜秋山ダイチの宇宙戦争〜  作者: GOM
第一章 小学生編その1:シリウス攻防戦

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第二話 せかいのなりたち

 ここからは、一旦ダイチから目を外し、この世界について語る。

偶然発見された、星の海を渡る「空船」、そこから得られたオーバーテクノロジーは世界を一変させた。

理論は分かっていてもプラズマの安定化が難しく現実化できなかった核融合炉、そして超高温超電導物質や常温重力縮退物質や反物質、負の質量を持つエキゾティック物質などなど、科学技術を数世紀分進歩させた。

そして最大の発見は、その時点ではSFでしか知られていなかった超光速通信、超光速移動。

この超光速移動を可能としたのがゲートエンジンである。

ゲートエンジンは、円形の炉の内面にある種のクリスタル質、後に超次元結晶体(DC:Dimenssion Crystal)と名づけられるものが配置、塗布されており、ある力による負荷をかけると炉の中心部に宇宙の「外」、相転移する前の「混沌」とつながるナノサイズの「門」を生成する。

その「門」からあふれる素粒子、電子などからなるグルーオンプラズマを捕まえ電磁流体(MHD:Magneto-Hydro-Dynamics)発電を行う。

また「門」を開くことでエンジンを中心にある種の次元断層(フォースフィールドForce Field)が発生し、宇宙に満ちるヒッグス場から「浮かぶ」事で、エンジン搭載機の質量軽減・慣性制御が可能となり、そしてフィールドは防御壁としても作用した。

更にフィールドを強固にすれば通常空間から途絶されることで、ゲートエンジン搭載機は光速の限界からも解き放たれ、また「門」を通じてゲートエンジン搭載機間の超光速通信も可能となった。

多大なエネルギーと超光速が得られるゲートエンジン、しかしこのエンジンにも弱点といえるものがあった。

その起動及び負荷をかけるのに、生物つまり「人」の精神波を必要とするのだ。

一旦起動すれば発電等一般用途で出力を大きく変動させない限り人の意思は必要としないが、戦闘機械のようにパワーコントロールを必要とするものは有人の必要がある。

また、フォースフィールド発生の影響で一部センサー系の動作に影響を与えてしまう。

更になぜか、人型兵器に積むと非人型機器よりも圧倒的パワーを引き出す事も分かった。

このゲートエンジン、大型のものは空船のメインエンジン(サブが核融合炉)及び搭載されていた人型機動兵器の小型エンジンがあり、小型でも人型に搭載されたものはサイズの割りにすさまじい出力を出した。

ゲートエンジンが人の精神を必要とする理由が、内壁のDCにある。

DCは他の先史古代文明由来の遺跡でも特異な異物として多数見受けられ、その性質は一部質量を5次元以上においており、精神感応にて異世界への「門」を開き力を引き出す。

ゲートエンジンは、DCの「門」を開く力を利用しており、そのため大出力のものは有人であることを要求するのである。

そして、そのDCは精神感応性を利用して操縦等のデータ入力デバイスとして優秀であることも分かった。

空船発見から20年、人類初の超光速宇宙船が開発され、外宇宙へと飛びだした。

しかし、それは宇宙にある脅威を呼び出す「呼び鈴」ともなってしまった。

超光速移動時に発生する時空振、それの存在を人類は後に知るのだが、それは遠く銀河で覇権を争う「帝国」の監視衛星に捉えられる。

それが「宇宙戦争」の始まりであった。

 地球を遠く離れた宇宙は、幾多の星間国家が覇権を争う場所であった。

地球が存在する銀河系オリオン腕、そして近隣のペルセウス腕、サジタリウス腕は、銀河中心部より程よく離れている事より、銀河系でのハビタブルゾーンであり、数箇所において生命が誕生しており、星間文明を成す程進化した星すらあった。

おそらく「星の空船」を残した先史古代文明が知的生命誕生に関わっており、遺跡を早く発見したものが、星の海により早く飛び出したのだろう。

その中には、文明が熟成する前に星の海に飛び出してしまった星があった。

サジタリウス腕にあるその文明は銀河へ帝国主義を持ったまま漕ぎ出し、銀河帝国を名乗り他の星々へ攻め入り始めた。

星間航法が可能な文明にもレベルの差があり、よりゲートエンジンの解明が出来たものほど、強いのは道理。

銀河帝国には多くの「空船」が残されていた上に稼動可能な「空船」も存在していたため、非常に強かった。

100年も経たない間に半径6000光年程を制覇、そしてその魔の手は太陽系の存在するオリオン腕へと向かう。

 地球では、そのころやっとゲートエンジンの機能を解明し、初の超光速宇宙船を誕生させていた。

そのテスト運転時に発生した大きな時空震は、空間の振動であるため超光速で宇宙の隅々まで広がった。

これはゲートエンジンについてまだ解明されていない部分があったため、本来よりも「大きな石」を空間という水面へ投げ込んでしまったからである。

その時空震を帝国の偵察衛星が捕らえたのは、ダイチがこの世界に来る15年程前。

そして遠宇宙探査宇宙船が、帝国の無人戦艦と接触したのが10年前である。

 最初、帝国は、ほぼ無条件降伏とも言える条件を提示してきた。

超光速航法の禁止、太陽系内の無条件物的・生物・人的資源の採取許可などなど。

植民地として「可愛がる」変わりに、他の星間国家から守ってやろう、もちろん徴兵はするがと。

この条件を聞いて、黙って従う国は、国連内でもほぼ無かった。

とある大国は、自ら攻め入る宣言を行い、多くの国がそれに従った。

 そして始まった地球にとっての初めての星間戦争。

最初の会戦は、太陽系外周カイパーベルト領域で行われた。

帝国の艦船は、外部遠征艦隊の一部で、旗艦以外は無人艦のせいぜい100隻程度、迎え撃つ地球艦隊は、数千からなるものだったが、圧倒的な科学力の差によって地球艦隊の半数はあっという間に失われた。

普通の核ミサイル程度では歯が立つ相手ではないのだ。

しかし、その時点でデットコピーながら初期型が運用開始していた人型機動兵器が、そのすさまじい機動力で帝国軍旗艦に肉薄、旗艦防御フィールド内に進入後DC魚雷(DCによる相転移を利用した宇宙魚雷)を直接機関部に叩き込み、旗艦を大破させることに成功した。

旗艦が失われたことで統率が一時失われた帝国無人艦隊を、残存地球艦隊は各個撃破することで、なんとか追い返す事に成功したのだった。

この勝敗を分けた人型機動兵器、なぜか帝国遠征艦隊では運用されておらず、変わりに艦載機として小型航宙機を主体としていた。

 この事で人型機動兵器の開発が非常に重要であること、また無人遠征艦隊にはなんとか勝てるだろうが、おそらく帝国本星が動けばひとたまりもないことが分かった。

後に、帝国の圧政と戦う他の星々との連絡が取れ、対帝国惑星連合が設立された。そこで知る先史古代文明の事、帝国の強大さ、更に帝国軍が誇る恒星系破壊兵器の事を。

もはや時間が残されていない地球人類は、「外道」となっても生き残る選択をする。

 ダイチが小学校になる頃、宇宙での戦争は太陽系外周部分や近隣星系で幾度とも無く会戦が行われており、後にダイチが小学3年のときにシリウス星系は帝国の勢力範囲となっていた。

帝国が太陽系の資源に価値を見出している現在、いきなり地球への本土攻撃を行う可能性は低いが、あまりに制圧に時間がかかる場合、恒星系破壊兵器の標的となる可能性がある。

惑星連合からの情報によると、過去帝国と同程度の宇宙艦隊を建造することが出来た文明があったのだが、そこは恒星系破壊兵器の実験場となり宇宙より消え果てた。

その恒星系破壊兵器だが、数種類あるようで、ひとつは前例で使用された恒星系中心の恒星の進化を人為的に急激に進め、恒星を赤色巨星化、その後大量の恒星ガスを周囲に撒き散らして惑星状星雲と化し、恒星に近い惑星を焼き払う方法。

もうひとつが、連星をなす白色矮星に人工的に大量の恒星ガスを落としてチャンドラセガール限界を超えさせて、人為的にIa型超新星を起こし、周囲の宇宙ごと焼き払う方法。この際、白色矮星の回転軸を調整することで、特定の方向へガンマ線を集中させるガンマ線バースト攻撃も可能である。

 今、帝国の勢力下にあるシリウスは地球から8.6光年にある連星をなす恒星。

スペクトルA型の恒星シリウスAと白色矮星であるシリウスBからなり、Ia型超新星攻撃の条件に見合う星である。

一度超新星化すれば、死の光であるガンマ線が8年強かけて地球に来るのを待つしかない。またその後来るであろう衝撃波と多くのガス、隕石を地球人類が防げるはずもない。

もはや地球人類に残された時間はそう多くない。なんとかしてシリウス星系の奪還を行う必要があった。

 なりふりかまっていられない地球、国連軍は外道「悪魔の所業」をなすこととした。

全人類の適性検査の義務化及び適正の認められた者の徴兵である。

検査には年齢制限も無く、小学生も検査対象となったし、少年兵の志願入隊も一部行われた。

以前、生体強化時に検査を受けていたダイチはもちろん適正対象として最初から名簿入りしており、再度の検査でトップクラスの適正となっていた。

ただ、この時点で9歳になるかどうかの少年を徴兵していいものか、国連軍の上層部も流石に悩んだ。

しばらくは、小学校レベルでの軍事教育を国レベルで行って、時間稼ぎをすることにした中、ダイチの「暴走」があった。

この事件でダイチの「力」が逆に認められ、建前上志願に近い形での徴兵が行われるように決まったのだ。


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