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エッグキーパーズ Egg keepers 〜秋山ダイチの宇宙戦争〜  作者: GOM
第一章 小学生編その1:シリウス攻防戦

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第一話 ものがたりのはじまり

 こことは違う平行世界、つまり別の「世界卵」の地球、とある時代、日本のとあるところに、幼い男の子がいた。その子の名は、秋山ダイチ。

そのダイチは、とても利発であったが体が非常に病弱で、6歳を前にした今病室で死病と戦っていた。

ダイチは思った、「ボクは何もしないで終わるのかな。」と。

利発なだけに、幼いながら自分の命が長くない事を知っており、自分が死んだ後両親や妹・弟が悲しむこと、そして自分がこの世界に何も残せず、誰の役にも立てないことが悲しかった。

だが、現実は厳しく、その時点でダイチが出来ることは祈ることだけだった。

そして、わずかな時が過ぎ、ダイチの命の炎は今にも消えようとしていた。

熱にうなされて荒い息の中、ダイチは願った。

「ボクがいなくなっても誰も悲しまないように。そして出来たら次の人生は何か人の役に立ちたいな。」と

両親の声がだんだん遠くなり、ダイチの意識が消える前に、誰かの声が聞こえた。

その声は言った。

「その願い、聞き入れました。貴方には大きな力があるのだから、その力を生かせる世界で、人々を助けてあげてください。」

「それはどういうことなの? もしかして神様?」

しかし、返事は返ってこず、そしてダイチの意識は闇に閉ざされた。

・・

・・・

 ふと、光を感じてダイチは目を覚ました。

そこは、死を迎えたはずの病室、意識を失う前と寸分違わない。

ダイチは思った、自分は助かったのかなと。

そして、良く周囲を見ているうちに、カレンダーの日付が気を失う前より10年ほど未来進んでいるに事に気がついた。

またテレビの放送内容がなんと宇宙での戦争についてだった。ここでは、とある宇宙文明との戦争状態になっているのだと。

この時点でダイチは自分が以前とは違う世界に来た事、つまり「死ぬ」前に聞いた声が事実であることに気がついた。

「ボクが『なろう』モノの主人公になっちゃうなんて。」

ダイチは、元の世界では文字を読めるようになると、新聞、雑誌、図鑑何でも読み漁り、年齢に見合わない知識を得ていた。ダイチが読んでいたものにはライトノベルもあり、俗に言う「なろう」系もあった。

そこで、ふと気がついた、この世界での両親って誰だろうかと。

でも、病院で会う人、主治医や看護師などは、前の世界と誰一人変わらず、夕方来た母親も後日見舞いに来た父、妹・弟も以前の世界となんら変わらなかった。

その後、病院にあるネット環境や新聞、雑誌などからこの世界を調べる事が出来たのだが、この世界は前の世界とは「ある時点」から大きく変わっていた。

それは、とある大陸の古代遺跡からオーパーツ、オーバーテクノロジーの塊である星の海を渡る「空船」が発掘されてからである。

そこから数世紀分の科学技術が進歩するほど数々の知識が得られた。

それら、核融合炉、高温超伝導、超空間通信・跳躍などなどのオーバーテクノロジーは、世界の様相を大きく変えた。

原油枯渇前にエネルギー事情が安定化し、地球上で石油等をめぐっての戦争がかなり減少した。

そして、宇宙開発へ余力を向ける事が可能となっていた。

これらの情報を知った後、しばらくすると、「この世界」での記憶が「思い出されて」きたことから、どうやら以前とは少しだけ違う世界の自分と「一緒」になったのではないかとダイチは思った。「こういうのも転生なのかな?」

 しかし、ダイチの体は以前の世界よりややマシな程度で弱いことには違いなかった。だんだん蝕まれていく体を前に、ダイチは考える、どうすれば自分は今度こそ助かるのか。

科学技術の進歩は医療技術を進歩させていたし、時代が10年も進めば何かあるはずだ。そして、情報収集の末に知った、軍事利用で行われている兵士の「生体強化」に。

宇宙での過酷な戦いをする上で、人体はあまりにもろく反応速度はとても足らない。そのために、発達したのがオーバーテクノロジーから得られた生命の改造方法。不完全ながら可能となった量子コピーにより作った身体と、コピー元の身体を量子的に「重ね合わせ」することで世界での存在力つまり「命」そのものを強化し、人体の本来持つ能力をすべて強化することが出来る。

遺伝子操作や薬物投与と違い、副作用もほぼ無く、成長しきった成人後でも行える施術でもある。

ただ、あくまで軍事技術、軍人でもない、ましてはダイチのような幼子に本来していい施術ではない。それを自分にしてもらうにはどうすれば良いのか。

そうなると、今使えるのは自分の頭脳と特殊能力。

実は、ダイチには以前の世界にいたときから不思議な力があった。

それは、周囲の人の気配や世界に満ちる「力」の存在が分かる能力である。

以前より神社や寺、パワースポット等に満ちる力を感じる事がよくあったし、知人が見舞いに来るのもなんとなく分かった。

嫌な気配や悪意もぼんやりとだが分かり、そこからうまく逃げたりする事も出来た。

この力をセンサーとして軍事利用も可能ではないかと、ダイチは思いついた。

しかし、いかんせんダイチみたいな幼子を軍事利用するのは、外道の所業。

流石に、この線で攻めるのは無理だと思い、今度は主治医を泣き落としにかかることにした。というか、自分の病状、余命を知っている事を素直に話し、生体強化で助かるのではないかと聞くだけだが。

主治医は、ダイチを賢い子だとは思っていたが、まさか自分の状況を正確に把握していて、打開策まで提案してくるとは思わなかった。

だが、確かにダイチの命を救うには最善の方法、後は軍事利用だけに限定されている強化施術を一般利用させるようにさせるかだけ。

そしてダイチは主治医を説得する、自分をマスコミの餌にして生体強化施術の許可をもらう事を。

マスコミを巻き込んだ作戦は無事成功、利発で可愛い幼子を守るという大義名分がたち、無事施術が行われることとなった。

施術前にダイチにはさまざまな検査が行われたが、その中には精神感応能力検査もあり、それはダイチ本人や両親には知らさせる事はなかったが、本来ありまじき検査結果が得られていた。

このデータは後にダイチの運命を大きく変える。

 生体強化施術は、ダイチの体を健康なものと変えた。

更に精神感応能力も強化され、今までぼんやりとしか分からなかったモノもはっきり分かるようになった。

ただ、身体能力については常人並みがやっと、これは不幸なのか幸運なのか学校に普通に通っても全く問題ないレベルだった。

知性レベルは元々高いものだったので、これに関しては強化の効果は左程大きくは無い様だった。

 ダイチは少年と成長し、小学校へ通うようになった。

しかし、その高い知性は、同年齢の子供達のなかではどうしても浮いてしまう存在となり、いじめの対象になった。

まだ賢くも精神が幼いダイチは、自分が妬まれる事が理解できなかった。

でも、「出る釘は打たれる」等の諺は知っており、自分がその「釘」であるから、いじめられる事、いじめる相手が可愛そうな人なのを、なんとなくだけど分かっていた。悪意が良く分かるダイチ、その悪意を適当にあしらい、ほとんど気にしていなかった。

しかしダイチの、いじめっ子をある意味見下す行為が気に入らない者たちが、いじめをエスカレートさせ、ダイチが小学3年生の頃、とうとうダイチが大事にしている妹や弟に手を出した。

それを見たダイチは、今まで抑えていた怒りと「力」を使う。

ダイチの中で怒りをトリガーにして、「力」があふれ出した、しかしダイチの意識は、怒りから離れて冷静に対処を始める。

人の悪意と動きが見えるダイチには、小学生レベルの攻撃等当たるはずも無く、頭に中にある武術の知識を総動員すれば、悪ガキどもは敵ですらない。

2年生の妹を殴ろうとしている者の腕を妹から逸らし、その腕をねじ上げて足払いをして転がす。

続いて1年生の弟を羽交い絞めする者の後ろに回り込み、体重を乗せた肘を容赦なく延髄へ落とす。

腕が緩んだところで弟と妹を助け出し、妹に逃げて先生を呼ぶように言った。

妹と弟は、兄のここまで怒った姿を見たことが無かったが、自分たちを助けた際の笑顔を見て安心し、先生を呼ぶべく走った。

妹と弟が、先生を呼んできた時に見たのは、手足が変な方向に曲がったものが数人と、首謀者の腕をねじ上げうつぶせにさせた上で、泣き叫ぶ首謀者の首の上に足を乗せて、いつでも首を折れるぞ、と脅しながら説教している兄の姿だった。

事態が事態だけに、この事件は大事になりそうになったがダイチには大きな罰は与えられず、逆にいじめをしていた者達が全て転校していくこととなった。

後にこの采配には国連軍が絡んでいる事が分かったが、その時のダイチは知る由も無かった。


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