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エッグキーパーズ Egg keepers 〜秋山ダイチの宇宙戦争〜  作者: GOM
第一章 小学生編その1:シリウス攻防戦

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第二十八話 「しりうす」こうぼうせん3

 シリウスA・BのL4に存在する帝国軍の艦隊を撃破したダイチ達は、L4中継衛星に取り付いた。


「Romeo11よりRomeo中隊へ、これから中継衛星へのハッキングに移る。各員、周囲の警戒を怠るな」「了解!」


 マイとスェーミは、機体に搭載されたドローンを全て衛星各所にある通信ポートに接続して、DDos攻撃(複数の端末からの大量データ送信攻撃)を仕掛けた。


「Romeo21よりRomeo34へ、スーちゃん、いっくよー!」

「Romeo34よりRomeo21へ、うん、マイ」


 二人の全能力をかけた電子攻撃が始まる。

 まず大量のデータ送信でメインフレームへと負荷をかける。

その間にメイン-サブフレーム間の通信を解析、解析できたデータから、送信データの乗っ取り(セッションハイジャック)をかけ、サブフレームへの管理者ルート権限を乗っ取る。

 そうした後にメインフレームを停止させれば勝利だ。


 「うーん、ここいらで往生しなさいよ、この劣化コピーめ」

 マイは、誰か帝国兵の人格データがコピーされているメインフレームへ罵詈雑言まで加えた攻撃をする。


「Romeo34よりRomeo21へ、マイ、口悪すぎ。もっとお淑やかに攻撃しないと」


「Romeo21よりRomeo34へ、スーちゃん、だってコイツ案外しぶといんですもん」

「もー頭にきた。Romeo11へ、バーストして良いですか? 一気に勝負つけたいので」

 マイは、ぷんぷんモードでトムにバースト使用許可を聞く。


「Romeo11よりRomeo21へ。それで倒せるならいいが、いけるのか?」


「Romeo21よりRomeo11へ。だいじょーぶ、ワタシにまかせて」

 思い通りにいかない状況に我慢ならぬマイはキレ気味だ。


「Romeo11よりRomeo21、34へ。マイ、スェーミがフォローしてくれるなら許可する。それで良いな」


「Romeo21、りょーかい」

「Romeo34、うん、まかせてね。マイ」


「じゃあ、いきますか。システムコマンド:ゲートバースト!!」

 マイの機体及びマイ機装備のドローンが激しく輝く。


「おら、おら、おら、おら!」


「マイ、それ下品だし、ちょっと怖い」

 少し引いてしまうスェーミだった。


 これを通信で聞いていたダイチ、

「バーストモードの副作用には精神高揚効果があるけど、もう『いいんちょ』怒らせるのやめよーっと」

 女の二面性というか怖さを今更ながら知ってしまったダイチであった。


 マイによる圧倒的なデータ攻撃でL4中継衛星のメインフレームは熱暴走でシャットダウン、無事衛星の乗っ取りに成功した。


「Romeo21よりCPへ、ハッキング作戦成功。これから衛星内の情報を一旦そちらに送るので解析宜しく」


「CP、了解」

 


 同時刻のL3自動工廠衛星付近の戦闘は激しいものとなっていた。

 地球の遠征艦隊の6割以上を投入していたが、戦闘開始後30隻以上の無人艦が工廠衛星から吐き出されており、苦戦をしていた。


 艦隊後方に配置された総合指揮艦「ブルーリッジ」内CIC(戦闘指揮所)にいる神楽坂少将は苦虫を噛み潰したような表情で戦況モニターを見る。

 観測データよりも帝国軍艦艇が多いのは予想の範疇だったが、ここまで増えると対処が厳しい。

 唯一の朗報は、マイ達がL4衛星周囲の敵の撃破に成功した事くらい。

 L1の発電衛星に関しても苦戦中との報告が入っている。


「短期決戦をしないと、遠方から応援艦隊が送られて挟み撃ちにあえば、たまらん」

 少将は自分が何も出来ずにモニター画面を見ているだけなのが歯がゆい。


 そうこうしている間に、シャングリアからの連絡でマイ達がL4衛星の乗っ取りに成功、目の前の工廠衛星やL1発電衛星の詳細情報が送られてきた。

 またL5の衛星にも干渉を行う事で、これ以上のエネルギー供給を工廠衛星に送られるのは阻止できた。


「よし、ここが勝負どころだ。子供たちががんばってくれたんだ。今度は大人ががんばる番だ。各員、弱点と思われる点をこちらで調査するので、そこを攻めるんだ!」

 少将は、ここぞとばかりに激を飛ばした。


 

 その頃マイとスェーミは、L4衛星から遠隔アクセスでL5衛星にハッキングをかけて、L3工廠衛星への送電停止を行っていた。

 L1発電衛星は、アクセス権が全く違うようで、アクセスを弾かれてしまう。

 しょうがないので、L4・L5衛星からDos攻撃をかけてL1発電衛星・L3工廠衛星のメインフレームに負担をかけるようにしておく。


「データも十分吸い出せたし、送電も停止できたわ。ここいらで一区切りね」

 マイは、L4攻略後バーストを停止し、後はゆっくりとハッキング中。

 一息入れるためにヘルメットのバイザーを開き、コクピット内の新鮮な空気を吸って汗を拭い、準備していた、お気に入りのイチゴミルク飲料を飲んだ。


「Romeo21よりRomeo34、スーちゃん、そっちは落ち着いた? 良かったらそろそろ引き上げ時だけど」


「Romeo34よりRomeo21、マイ、こっちも片付いたからいつでも良いよ」


「Romeo21よりRomeo11へ、中尉そろそろお暇して宜しいかしら?」


「Romeo11よりRomeo21へ、CPに確認するが、もう大丈夫だろう? CP、どうですか?」

 トムは母艦に帰還について問う。

 

「CPよりRomeo中隊へ。全機、母艦へ帰還して下さい。周囲警戒は空母艦載機が行ってくれますので、安心して帰ってください」

 女性士官から皆に帰還命令が出た。


「Romeo11よりRomeo中隊全機へ。さあ、勇者の凱旋だ。帰るぞ」

了解ラジャー!!

 


 ダイチ達は母艦シャングリアに着艦し、格納庫の所定位置へ機体を固定した。


 「ふー、疲れた~」

 ダイチはバイザーを全開して、コクピットから降りた。


 格納庫は無重量状態なので、機体の胸からゆっくり遊泳して降りていくダイチ。

 格納庫の床にはすでに降り立っていたマイ達と、これから大忙しの整備員の方々が一杯だ。


「いいんちょ、お疲れ様。しかしちょっと怖かったよ、ハッキング中」


「え、本当? うーんあんまり覚えていないわ。どうだった、スーちゃん」


「マイ、とっても怖いし下品だったよ。レディには程遠いと思う」

 スェーミは辛らつな意見をマイに言う。


「お姉さんもそう思ったわよ、もっとお淑やかにね」

 ジェーンも同意する。

 

「そうなんだ、バーストって怖いわ。そういえばダイチも最初の時にえらく高揚していたけど、そういう事なのね」

 マイは少し恥ずかしそうに話す。


「そういえば、シンゴ、カズアキ。二人とも凄かったね。おかげで楽にボクも艦船落とせたし、部隊の被害も少なかったみたいだし」

 ダイチは二人を褒める。


「これもダイチの機体チューニングのおかげだな」

「うむ、自分もここまで凄いとは思っていなかった」

 二人ともまだまだ元気っぽい、持久力に欠けるダイチが一番疲労しているようだ。

ロシア双子もじゃれあっていて元気一杯だ。


「おい、いつまでもここでダベっていたら整備の邪魔だ。一旦ブリーフィングルームへ移動するぞ。先にトイレ行ったり飲食しておけよ」

「了解」

 トムが皆を促して格納庫から出て行く。

 


 ダイチが母艦シャングリアに着艦して30分程した頃、ダイチがブリーフィングルームの椅子3つ並べて上でへたれていた時に、戦況を映していた部屋の正面画面に、ダイチ達への通達が音声込みで入る。


「Romeo中隊の方々、次の作戦命令を出しますので、ブリーフィングルームでお待ちください」

 急に呼ばれたのでビクっとしたダイチ。


「おい、良く眠れてたか、ダイチ?」

 シンゴが心配してダイチを覗き込む。


「うん、ちょっとだけだけど眠れたよ。ごめんね、バーストもしていないのに一人ダウンしていて」

 ダイチはゆっくり起き上がってシンゴに謝る。


「しょうがないって、ダイチも1隻撃沈しているし、十分仕事しているよ」


「ああ、ダイチの動きは凄いから、一緒に攻撃していて安心だったぞ」

 トゥーイがダイチを発言でもフォローしてくれた。


「少尉、ありがとうございます。次もご期待に添えますよう、がんばります」



 そうこうしているとトムが真剣な表情で部屋に入ってきた。そういえばトムはブリーフィングルームで休んでいなかった。


「みんな、お疲れのところだが、次の仕事が入った」

「L3の方は今のところ均衡しているので問題ないのだが、L1の制圧が大分手こずっていて、やや負け気味のようだ。そこで、我々はL1への支援に向かう」

 トムは正面モニターを操作して戦況を説明する。


「ここからL1へは約15天文単位(22.5億km)は離れているから、ショートジャンプで強襲をする」

「機体の整備には後30分強はかかるから、その間に準備しておくように」

「なお、敵の戦力だが戦闘開始前で有人大型艦が1、無人艦が7、無人機が100機以上という事だ」


「すいません、中尉。質問ですが、今どのくらいの戦力がお互いに残っているのですか?」

 マイはトムに聞く。


「こちらは戦力が80%程度、向こうは90%くらい残っていると聞いている」


「そうですか、ならあんまり時間の猶予は無いですね」

 マイは考え込む。

 実際、戦力が70%を割れば歩兵同士であれば全滅判定が出てもおかしくない数字ではある。

 


 30分後、いろいろ準備をしたダイチは、再び愛機のコクピット内にいた。


「もいちど、ボクの(つるぎ)としてがんばってね」

 ダイチは、コンソールを優しく撫でて愛機を愛でた。


「Romeo11よりRomeo各機へ。今度は恒星プラズマが強い場所なので、要注意を」

「機体初速を稼ぐのと、今回は母艦を後方に置くから、ジャンプ終了後各機は、カタパルトからの発進になる。カタパルトのGは結構強いから注意しておけ」

「それとさっきはうまくいったが、これで油断するな。以上!」


 二度目の発進ということで、簡潔な説明のトム。


「Romeo21よりRomeo2小隊機、今度も死ぬんじゃないわよ」

「お説教とワタシへお菓子おごってくれるのが、まだなの。絶対ぜーったい死なないでよ」


「Romeo22、りょーかい、いいんちょもね」


「Romeo34よりRomeo21、マイのお家に行く約束やお母さんを探してくれる話もまだなんだから、マイも皆も死なないで」


「おー!」


「Romeo11より各機、皆まだまだやることが一杯あるんだ。生き残ってパーティやろうぜ!」


「「「了解!!(ラジャー)」」」


 ジャンプへのカウントダウンが進み、0と同時にシャングリアはL1領域へと飛び出した。

 シャングリアの上部甲板に4基ある電磁カタパルトより、各機が順番に飛び出す。


「Romeo22、秋山ダイチ、行きます!!」


 ダイチの愛機SHI-03XAはカタパルトから、花火のような火球が花咲く戦場に飛び出した。

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