宿屋
私たちは国の中心へ向かうこととなった。
そこで、今いる村の隣の街へ行くことにした。
「次はどんな所かな~?」
と、いつものようにのんきなノア。
「ね、ねぇ…、私、大丈夫?顔、戻ってない?」
ノアの魔法で私の姿は通常と少し変えられている。
「大丈夫だよ~」
ろくに見もしないでホントに…。
「確か一時的って言ったわよね?一時的っていったいいつまでなの?」
「まだまだ全然余裕だよぉ~」
本当か?まぁいい。戻ったらまた魔法をかけてもらえばいいし。
でもなぁ~…。また噛みつかれるのかぁ~。やだな~…。
ま、仕方ないか。などと思いつつ進んでいると、辺りは少し街らしさを帯びてきた。
道が舗装され始めてきている。
「お、道じゃん。そろそろじゃない?次の街」
「そ、そのようね」
少し緊張が増してきた。
本当に町人の目をごまかしきれるだろうか…。そのことで頭がいっぱいだ。
「街に着いたら何する~?そろそろ日も暮れて来たし、観光は明日かな~?」
「そ、そんなこと言ってる場合?まずは隠れがを見つけなきゃ…」
「なに隠れがって?面白いこと言うねぇ~、相変わらず」
相変わらずと言われる筋合いはないが、警戒しすぎか?
ノアといると感覚がブレてくる。
いや、間違ってはないはずだ。だって私たちは、指名手配犯なのだから…!
進んで行くにつれて人の数がどんどん増してくる。
「あわわわ…。ね、ねぇ、大丈夫かしら…」
「だから大丈夫だって。そんな風にしてた方が大丈夫じゃないよ」
それもそうか。精一杯の平静を保とうとしてみる。
「まずは宿探しだね。」
お金はまだあるかい?と、ノア。
幸いお金はまだ少しある。一晩くらいはしのげそうだ。
「さて、やっと着いたね」
私たちはようやく宿屋に着いた。
さすが少しは大きな街だ。宿屋もちゃんとあった。
「じゃあ、さっそくチェックインだ!」
受付まで向かう。
「あ、あの…。一泊したいのですが…」
顔はバレてないか?私の緊張は今ピークに達そうとしていた。
「かしこまりました。お部屋空いておりますよ」
セ、セ~フ…!!
どうやらバレてはいないようだ。
「ところで、お二人はどのようなご関係ですか?」
…おぅふ!それは全く考えていなかった。
「え…えぇ~と…それは…」
私が露骨にギクシャクしていると
「姉弟でぇ~す」
ノアが言った。
は?
「ね?おねぇちゃん?」
ノアがグイグイと肘を突きさしてくる。
「そ、そうでぇ~す…」
そうですか。と受付のお姉さんが言った。
「では、お部屋までご案内いたします。」
そして私たちは部屋に着いた。のだが。
「あ…相部屋…」
「襲わないでよ?」
そう言ったノアをはたいてやりたかった。
こうして私たちは、一晩この部屋で過ごすこととなった。




