32.アレ
「男は何かと女を支配したがるよね」ユミさんが言った。
「自分に自信がないんだよ。ちゃんと自信を持ってる男は、女の能力もちゃんと認めてくれるんだけどね」ユウコさんが言った。
「弱い女を支配することで、自分が偉くなったような気がするんだよ。バカだよね」
「あと性的に責めれば女がよろこぶと思ってる」
「男はどんな女とやっても気持ちいいから、女も同じだと思ってるんだよ」
「男も気持ち悪い女に無理やりやられてみろっての」
「知識もなく特別な能力もなく努力もしなくったって、生殖行為だけはできるからね。男は自分が味わった社会的な屈辱感を、女に味わわせてうっぷん晴らしをしてるのよ。ああ、きっと女に恥をかかされたことがあるんだ」
こういう女子トークが始まると僕と父は居心地が悪い。父は酒でごまかしている。
「わたしもよく奴隷にされました」ミユキちゃんが言った。
「そうなの?」
「言うことをきかないと、お仕置きをされて…。いやなセリフを無理やり言わされて…」
「はい、ご主人様とか? わたしに○○してくださいとか?」
「はい」
「自分であほらしいとか思わないのかしら」
「思わないからやってるんでしょ」
「ああそう言えば、わたしもあの連続猟奇殺人犯にやらされたっけ」マユミ先生が言った。
「少女を人質にとられてたんでしょ? しかたないわよ」
「マサキくんが見事に撃ち殺してくれたしね」
「そういえばマサキくんとはどうなってるの?」
「あの子はねえ、わたしを聖女か何かとカン違いしてて、自分が手を出すのは恐れ多いと思ってるみたい。距離が全然縮まらないのよ」
「マユミ先生はどうなの?」
「わたしはやってあげたいというか、やってみたいんだけど。向こうがその気になってくれないとね」
「強引に襲っちゃえば?」
「それで恐怖症とかトラウマになったら可哀そうじゃない」
「まだ童貞だしね」
そうです。マユミ先生、どうかマサキさんにやさしくしてあげて下さい。
(マユミ先生の回想)
太った男が鍼灸院にやって来た。コートをまとった小さな女の子を連れている。何度か針治療を施したことがある男だ。
「おひさしぶりです」わたしは言った。
「先生、わしゃ先生に惚れておる」
「それはどうも」
「ぜひともわしのものになってほしい」
「そう言われましても」
「わしゃ先生の弱点を知っておるぞ」
「はい?」
「これじゃ」そう言って男は連れの小さな女の子のコートをはだけて見せた。
女の子はハダカで、身体に銅線をグルグル巻かれていた。お腹の中央に四角い箱があって、銅線がその中に引き込まれている。男はコートを戻した。
「先生がわしについて来ないと、外の部下がリモコンで操作して、あの箱に銅線が巻き込まれる。するとどうなるか。この子の身体は銅線で引きちぎられるんじゃよ」
わたしはため息をついた。どうしてこんなことを思いつくのか。わたしを従わせるために小さな女の子を使うんなんて。
「わかったわ」
誰だって従うしかない状況だ。でもこの会話も映像も隠しカメラで録られている。マサキが何とかしてくれるだろう。ユカちゃんたちに応援を頼むはずだ。
わたしは男について外に出た。黒塗りの車に乗せられて、着いた先は動物研究所という看板の付いた建物だった。何の動物を研究しているのやら。裏稼業の男だから、研究所は表向きの看板にすぎない。
中に入って廊下の先の大広間に出た。分厚いガラスに囲まれた部屋が中央にあって、男は女の子を連れてその中へ入って行った。わたしは外に残された。広間の中には動物の標本が数多く展示されていた。男は女の子を椅子に座らせて拘束した。男はイヤホンマイクを付けた。
「聞こえるかな?」スピーカーから男の声がした。わたしはうなずいた。
「服を脱げ」男が言った。
男は女とみればハダカにせずにはいられないらしい。メスのハダカを見るだけで喜べる、オスは単純な生き物だ。雑誌でもゲームでもアニメでも女のハダカさえ出しときゃバカな男が買ってくれる。やれやれ。わたしは服を脱いでハダカになった。天井から吊り下げられた大きなモニター画面に文字か映った。
「読んでみろ」
「わたしはあなた様の奴隷でございます」わたしはそのまま声に出して読んだ。
あほくさ。今朝のトークそのままだ。また文字が映された。
「何でもお申し付け下さいませ」わたしは読んだ。
強制的に言わせても何の意味もないと思うが、それがうれしいのだろう。
黒人の大男が、大きなワゴンに棒状のものをいっぱい載せてやって来た。黒人は全裸で、その股間の性器の大きさに息を飲んだ。まさか。
「ひざまずけ」男の声がした。わたしはひざまずいた。
「読め」モニターに文字が映し出された。
「わたしはクジラのアレをしゃぶりたいです」
アレ? 性器とかペニスとかじゃなくて、アレ? はっきり言うことに抵抗があるのか?
それとも男は性器をアレと呼ぶことで興奮するのか。ますますあほくさい。生殖行為は生物としてあたりまえの行動なのに、人間はそれを汚らわしいだの恥ずかしいだのと思ってしまう。なぜだろう。きっとそのときのオスには知性も理性も感じられず、ただの獣に思えるからだ。ただの獣に思いやりはない。いや獣にだって思いやりはあるかもしれない。だとしたら人間のオスは獣以下だ。
ワゴンに載っているのはいろんな動物の性器らしい。まさか本物じゃないだろう。精巧に作られたレプリカに違いない。黒人が2メートルほどある大きな棒状の物体を持ち上げた。これがクジラの生殖器か。そりゃあのでかい図体で水中でやらなくちゃいけないんだから。これくらいのサイズは当然だ。
「最大3メートルのもあるんじゃぞ」男が自慢げに言った。
「あのねえ、人間の女性の膣はせいぜい10センチだよ。こんなの…」
男が女の子の指を1本折った。ボキッ。
「ひぎゃあああ」女の子が悲鳴を上げて泣き出した。
「口答えは許さん」
「わ、わかった。わたしはクジラのアレをしゃぶりたいです」わたしは言った。
黒人がクジラのアレの先を私の口に当てた。わたしはしゃぶった。どうせ作りものだ。こんなもの。中央部分は恐ろしく太いが、先はそれほどでもない。
「どうじゃ、クジラのアレの味は? おっと返事はせんでよいぞ。もっとしゃぶれ。口に入れろ」
わたしはクジラのアレを口に入れた。言われるままにしゃぶった。これでいいんでしょ?まったく。黒人がわたしの頭をつかんでクジラのアレを押し込んできた。
「ぐふううう」喉の奥まで押し込まれた。何かが吹き出して口の中にあふれた。
「ぐへええええ」わたしはクジラのアレを吐き出した。白濁液が口からあふれ出した。射精のつもり? そんな仕掛けまでしてあるの? そこまでやる?
「どうじゃ。クジラとやりたくなったか?」
言い返そうとして思いとどまった。また女の子の指が折られるかもしれない。黙って白濁液を口から垂らした。モニター画面が変わった。
「ゾウのアレをしゃぶらせて下さい」わたしは読んだ。
黒人がゾウのアレを持って来た。1メートルはある。恐ろしく太い。絶対に口には入りきらないサイズだ。先をしゃぶるしかない。それでも黒人は押し込もうとする。無理。アゴがはずれちゃう。いやはずれても無理。先端の下半分くらいが口の中に入る。ブシャッと白濁液が吹き出してわたしの顔にかかった。
「ゾウともやってみたいか?」男が言うと、またモニター画面が変わった。
「ウマのアレをしゃぶらせて下さい」わたしはしかたなく読んだ。
ウマのアレも1メートルほどある。太いがぎりぎり口に入るサイズだ。黒人が押し込んでくる。アゴがはずれそうだ。黒人は片手でウマのアレ、片手でわたしの頭をつかんでピストン運動を開始した。グイッグイッグイッ。
「うぐっ、ぐぐぐっ、ぐふううっ」激しく出し入れされて気が遠くなる。
最後にのどの最奥まで押し込まれ疑似射精された。ブシャアア。
「ぐげっ、おごほほほおお」わたしは大量の白濁液とともにウマのアレを吐き出した。
「がは、がはあ、はあ」肩がふるえる。
「ウマとなら、実際にやってもらうかも知れんのう」男が愉快そうに言った。また画面が変わった。
「サイのアレをしゃぶらせて下さい」わたしは力なく読んだ。
50センチくらい。太く、先が奇妙な形状をしている。もういやだ。だが黒人は容赦なくわたしの口に押し込み、強制的に出し入れする。そして最後は喉の奥で射精するのだ。
「キリンのアレをしゃぶらせて下さい」
「ライオンのアレをしゃぶらせて下さい」
「カバのアレをしゃぶらせて下さい」
「ブタのアレしゃぶらせて下さい」
責めは続いた。わたしは何度となく動物のアレをしゃぶり、何度となく精液に似せた
白濁液を吐いた。マサキは何をしているの? あのバカ。いっつも遅いんだから。
この後すべてのアレをわたしのアソコに入れるつもりに違いない。どうして男は大きいものを入れたがるのだろう。大きいのは痛いだけでちっとも気持ちよくないのに。
「黒人のデカいアレをしゃぶらせて下さい」
予想はしていた。どうせ最後はそうくると思っていた。目の前の黒人はアレを立たせている。長さは20センチ以上。ウマと同じくらい太い。いやだ。これはいやだ。だが逆らえない。作り物はがまんする。でも生身の男はいやだ。
黒人は否応なしにわたしの髪をつかみ、その巨大なアレをわたしの口に押し入れた。
「むぐうっ」わたしは初めて涙を流した。気持ち悪い。
黒人はかまわず両手でわたしの頭をつかみ、激しく腰を前後に動かす。
「むぐうっ、うううっ、ぐふううっ」涙があふれ出た。
黒人が思い切り私の頭をつかんで引き寄せた。巨大なアレが根元まで口の中に押し込まれた。口の中は黒人のアレでいっぱいになり、のどを通り越して食道にまで届くかと思われた。わたしは白目をむいて喘いだ。爆発的な射精があった。ブッシャアアア。今度は本物の射精だ。半分ほどがごくりと食道に流れ込んでいった。あとはアレとともに吐き出した。大量の精液が鼻と口からあふれ出た。
「ごふっ、うげげっ、げええっ」わたしはひざまずいたまま倒れた。
黒人はたまりかねたように、わたしの両足をつかんでをひろげた。
「ひいっ、いやあっ、やめてえええ」わたしは叫んだ。
僕たちはマサキさんから連絡を受けた。マサキさんは敵の車両にGPS弾を撃ち込んで追跡していた。僕たちもすぐに向かった。動物研究所に着くとユウコさんとユミさんが忍び込むルートを見つけて、僕たちもついて行った。換気口を伝って、大広間の天井から大画面モニター設置用の足場を通って、敵の男がいるガラス部屋が見える場所に隠れた。下ではマユミ先生が悲惨な目にあっている。
「狙撃できないの?」ユウコさんが言った。
「お、おそらく、ぼ、防弾ガラス」マサキさんが答えた。
「どこかに穴を開ければそこから撃てますか?」キミコさんが来ていた。
「お、おそらく」
「わたしの爆薬があります。しかし女の子がいるから全部吹っ飛ばすわけにはいきません。ガラスの壁に穴を開けるくらいの威力ならいいでしょう。どこに開けたらいいですか?」
「こ、こちら側の、う、上の角っこ」
「アキちゃん、この爆薬持って飛び降りてあそこまで行けますか?」
「行く」アキちゃんが言った。
「アキちゃんが爆薬をセットしたら、すかさずわたしが起爆します。そしたら狙撃して下さい」
「わ、わかった」マサキさんが銃を構えた。
「アキちゃんの援護はわたしがやる」ユウコさんが言った。
「ユカちゃんはわたしといっしょにじっとしててね」ユミさんが言った。
「えー? つまんない」ユカちゃんがふくれた。
動物の標本ケースが並んでいるので、足場には不自由しない。アキちゃんはピョンピョン飛び跳ねて、ガラスの部屋に向かった。気がついた警備員はユウコさんがダーツの矢で倒した。アキちゃんはジャンプして、ガラスの部屋の上の角に爆薬をセットした。アキちゃんが着地すると同時にキミコさんが爆破した。ガラスの部屋の角に穴が開いた。中の男が狙撃されて倒れた。
「きゃああああ」マユミ先生の悲鳴が聞こえた。
マユミ先生が黒人の男に犯されていた。黒人の頭をマサキさんが撃ち抜いた。マサキさんは飛び降りてマユミ先生のもとに駆け寄った。マユミ先生はマサキさんに飛びついて濃厚なキスをした。そしてマサキさんのズボンを脱がした。マサキさんのアソコは、黒人に負けず劣らず大きかった。マユミ先生はマサキさんと抱き合って転がった。僕たちは見ないように背を向けた。ユカちゃんとユミさんが女の子を助けている。女の子はまだ泣いていた。ユウコさんが痛み止めの針を打ってあげた。
「ああああ、いい」マユミ先生の喘ぎ声が聞こえた。
見てはいけない。マサキさんの記念すべき初体験だ。こんなところでやるか?




