表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/30

(困ったわね、あまり長いこといると、右大臣家の親戚縁者から、本当に愛人か側室かと思われて、ほんとうに分けのわからない状況になってしまう)

 幸い、最近は、頻繁に来ない。何か、仕事でもあるのだろうか。他に気を取られているようだ。

(もうすぐ都の年中行事でもあるかしら?それとも、何か気になることが出来たのかしら?心配。私何かしたかしら?私に関係するかしら?)

 もしや、生け捕った魚を肥やしている最中なのかとも思う。内地では池須に活けた魚を育てて食べるものだ。

 どういう気の変わり様かはわからないが、朝廷を取りしきる一家ゆえ、忙しいには違いない。

 だが、何も起こらないなら美香子にとって好都合だ。

(どうやって逃げよう?)

 誰かに助けを求めようとも、美香子にはつてがない。誰かがもしいても、右大臣家が相手だ。このような大切な接遇を受けて、果たして誰が助けてくれるだろうか。権力者に逆らい、波風立てる勇気のある者が、この都にいるだろうか?妻になれるのならいいじゃないかと言われそうだ。

(あの方なら・・・)

 あの方ならと、思った。

 ぼんやり美香子が想像している顔だ。痩せていて背が高く、男らしくしていて、誰に対してもき然としている。役人だから正義心を持っている。そして、優しい目つきで美香子を見て、微笑んでいる。想像で会った時には。

(あの方なら、私の窮状を助けてくれる)

 そう思うのは願望か、直感か、自分でも分からない。ただ、、唯一思い浮かぶのは、あの人の顔だけだ。 美香子をこの家から救い出してくれるのは、あの・・・

 その時だ。

「ひ、姫様」

 松風が慌てて室に飛び込んで来た。

「わっ何?」

 慌てている人を見たら、自分も慌てるものだ。

「わ、私、先ほど、右大臣家の女房たちに話を聞いて来たのですけど」

 松風は美香子が外へ出る手段や機会がないかどうか、右大臣家の女房達に話を探ったりしてくれている。

「受領が」

「受領?」

 先ほど考えていたので、美香子はどきりとした。

「受領がこの家に来ています」

「え?」

 今まで驚いたことがないくらい驚いた。魂抜けるほど驚くとはこのことをいうのだろう。一瞬何を言われたか分からなかった。

「この家に、なぜ?」

「それが・・・意味が分かりません。ですが、受領は右大臣家の娘の婿になるのだと、この家の女房が言っています」

「・・・え?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ