第九十三話 低学歴? だからなんだ
「でっかいですね」
ケルベロス車をはしらせること約二日。
僕たちはコーブという地帯についた。
ここはだいたいツンデレ地帯の真南に位置し、結構な雪原だ。
積もった雪は太ももくらいの高さまである。
そしてルロの独断と偏見でコーブの林を歩いていると、円柱状の十階建てマンションくらいの建物にたどり着いた。
ルロいわく、ここがウワサの図書館らしい。
中に入るのはなかなか勇気がでず、僕たち四人は外をうろうろしてばっかでいる。
「入ってみようZE☆」
「えぇー、中に魔物がいるかもしれないですよ」
「大丈夫だZE! オレは獣使いDA!」
ディートは誇らしげに胸を張る。
「オレより弱い獣&魔物はオレと目が合うと強制的に下部になるんだZE(σ´∀`)σフウー」
「そっ……!」
ルロがディートの言葉に反応した。
多分ララのことが頭にうかんだのだろう。
彼女は自分の小さい斜めかけバッグを確認した。
とくに異常がなかったのか、ため息をついて胸を撫で下ろす。
「じゃあ、行きますか」
ミランスの言葉と共に図書館の重厚な扉を開けた。
図書館の中は電気がついていないが、天井がガラスになっているので太陽の光が差し込んでくる。
一階までその光はなかなか届かずじゃっかんうすぐらい。
壁は全て本がしきつまっていて、本に囲まれた感がハンパない。
「図書館だZE! 低学歴のオレは頭がいたくなるZE(涙)」
「ディートって低学歴なの!?(←仲間を見つけて喜んでいる)」
「イエス家康そのとーり! そもそもオレは偏差値はかってない! そもそもオレ学校いってなぁーい! でも全く全然問題ナーイ!」
……あぁ、なるほど。
低学歴というかそもそも学校に行ってなかったのか。
僕はバリバリの底辺高校に在籍していることになってる。なんなら今異世界にいるから、不登校っていう認識になっているんだろうな。
「まあ、学校行ってないのはあたしも同じだから」
「ルロも!?」
「一番近くの学校に行くのにすら時間かかるし、だったら家で魔法の勉強してた方がマシじゃない?」
淡々と不登校秘話を話していく。
ミランスは学校行ってたよね。勇者兼王様の娘だし。
「ミランスは学校行ってたの?」
「行ってたんですけど……ゴニョゴニョ」
ゴニョゴニョってなに!?
めっちゃ気になるんだけど。
たじたじする僕の横でルロが耳打ちしてくれた。
「10歳のミランスは飛び級で一番上のクラスまで行ったのよ。確かレンの世界でいう大学院ってとこ」
「えぇ!? めっちゃすごいじゃん」
「だけどね、ミランスが14歳くらいのときにしゃがみ級で幼稚園までもどされたのよ」
しゃがみ級ってなに?
飛び級の対義語って認識でオーケーなの?
「なんで?」
「大学院の先生とビーフシチューとクリームシチュー、どっちのほうが美味しいかでケンカしたそうなのよ」
「そんなケンカでしゃがみ級させられるの!? 異世界理不尽だな」
そう思うと日本の教育制度のレベルは高い気がしてきた。
っていうかなによりミランスがかわいそう。
大学院の先生もどうかしてるし。
……余談ではあるが、僕はビーフシチュー派だ。
「よぅし、魔王についての本を探そうZE! マイファーザー、マイファーザー」
「……別の魔王では?」
僕の脳裏には聞いたら恐ろしくなる、あの凄絶で儚いメロディーが再生された。
「……二階に上がる階段がなくない?」
ルロの言う通り、階段が見当たらない。
これじゃあ、二階のは探せなくなっちゃうじゃん。
まぁ、一番いいのが一階で魔王の本が見つかることだけどね。
「あの本、やけに色が濃いですね」
ミランスは向かいにある、ひときわ目立つ赤い本にかけよった。
ミランスがそれを引いた瞬間。
ガガガガガガガガガガガガガガ
「なになになになに!?」
「地震かしら!?」
「はわわわわっ」
「(;゜0゜)」
突然館内が振動しだした。
けっこう大きい揺れだ。
足に力をいれていないとたっていられない。
ミランスに関しては座りこんでしまっている。
「は! 見て、あれ!」
ルロの指差す方は隅っこの床で、穴が空き始めていた。
その穴のなかから階段はゆっくりゆっくり上がってくる。
そしてズドーンという地響きと共に、階段が設置された。
「「「「……」」」」
一瞬なにが起きたのか、事態が飲み込めずみんなで顔を見合わせて固まる。
え、え? この階段って地中にうまってたの? この階段作った人の名前はなんだろう(←どうでもいい)。
「えぇーっと、わたしがあの赤い本を手に取ったから、なにかが作動して階段が現れたってことでしょうか?」
「多分そうだと思う……」
急に現れて鎮座する階段を眺めそれぞれ考察を始める……かと思いきや、
「行こうZE! 考えるより行動DA!」
ディートはぴょこぴょこ階段を上がっていく。
ミランスとルロは目で会話してディートの後に続いた。
「僕は一階を見てるよ」
分担した方が効率いいだろうなと思って一階に残った。
一階をぐるりと改めて見回す。
一階なのに。もうこれだけの本がならんでいる。
ここの階を読破するのに何年かかるだろうか。
なんとなく目に入った本を手に取り、観覧してみるが意味がわからない。
……意味がわからないというか、文字が異世界のものなので内容が入ってこないのだ。
そんな感じで意味もわからない書をペラペラさせてると、
「「うぎゃああああああぁぁっ」」
女子二人の全く色気のない悲鳴が聞こえた。
風音さんは高学歴です(と言われる人生を送りたい)
お読みいただきありがとうございます!




