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第八十四話 デレデレだと!?

 よいしょっと。

 僕は荷物をまとめた。

 なぜなら今日はドルーゴーリマに戻るのだ。

 今度こそミランスに拒絶されないようにしたい。

 いや、絶対そうする。

 決意の瞳で顔を上げると、ルロが仁王立ちで立っていた。


「あたしをおいて、どこに行くの?」


「ルロっ」


 彼女は不満そうに僕を眺める。

 お、怒ってるー!?


「ぼ、僕は旅にでなくちゃいけないんだ。だからルロも、」


 一緒に行かない? そう言おうとした瞬間


「あたしも行くわ」


「え?」


 なにがおきているのかわからず、まぬけな表情でフリーズする。

 ルロは恥じらうことなく言い放った。


「あんたが行くのに、あたしが行かないなんておかしいじゃない」


 今までのルロじゃ想像もできないセリフ。

 驚いて声もでない。


「お、お姉ちゃんがデレデレっ!?」


 妹すらこの反応。

 どうしよう。ただごとじゃないぞ!

 今日、空から全世界のツンデレが降ってくるかもしれない。


「当たり前でしょ? あたしはレンが好きなの。好きだから甘えたいし、一緒にいたいのよ」


 ……は?

 えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?

 これって、もしかして噂の()()ってやつですかぁぁあ!?

 急すぎない?

 なんで僕!?

 え、でも「付き合って」って言われてないし……。

 それよりなにより!


「ツンデレ地帯のあれはどうするの?」


「相思相愛にならないと、あたしの呪いはとけないってやつ?」


 僕は黙って首を縦にシェイク。

 するとルロは僕に近づいてきた。

 ホント、もう鼻と鼻がぶつかっちゃいそうだ。


「る、ルロさん?」


「呼び捨てにしなさい。そして、レン。あたしのこと惚れさせたんだから、責任とりなさいよね」


 せ、責任!?

 そんなぁぁぁっ。

 僕はミランスが好きなのにぃぃぃ。


「ばーか! 耳まで赤くしちゃって。さっきのはウソよ。あたしが勝手にあんたを好きになるって決めたんだから、責任はとらなくていいのよ」


 ルロはニヤニヤして僕を見る。

 なんか、ツンデレじゃないルロとか調子狂うなぁ。

 赤くなってる頬をポリポリかく。


「……でもね」


 ルロはそうつぶやいたら、僕の耳もとにやってくる。

 そしてニコッと笑うと、


「レンのこと、惚れさせてやるから。待ってなさい!」


 耳もとで囁いた。

 ルロの息が耳の奥に当たって少しゾクッとする。

 そのせいか思わず胸がドキッと跳ねた。

 いぃや、それだけじゃない。

 ……ルロがかわいすぎるからだ。

 今のルロ、最高にかわいい。

 ますます朱に染まる顔をどうにかしたくて、でもどうしようもできなくて、うつむいてしまう。


「んー? もしかして照れた? あたしのこと『かわいいな』って思っちゃった?」


「……バカ」


 言葉がとっさにでてこなくて、僕は上目遣いで言い捨てた。

 ルロは嬉しそうに目を細めてなにかを言おうとしたが、その前にララが口を開いた。


「許せないぞ! ララの知ってるお姉ちゃんはこんなんじゃないぞ!」


 憤慨したようにララは僕に寄り、にらみつけてきた。


「そ、そう言われても……」


「お姉ちゃんはサバサバしてて、カッコよくて、ダレにも縋らない人なのだぞ! それなのに……それなのに……、こんなのおかしいぞ」


 ララはぶちギレ。

 えぇぇぇっ。困ったなぁ。

 オロオロする僕に、ララはまだつめよってくる。


「お前、さては女たらしなんだなっ? お姉ちゃんがこんなとんちんかんを好きになるはずないぞ!」


  グサァッ


 自覚はしてるけど、そんな言いかたはなくない!?

 っていうか僕だって急にデレられて困ってるからね!?

 昨日までめちゃくちゃ悪態つけてた人が、こんなにあざといことするなんて、状況が飲み込めないよ!


「……よぅし。わかったぞ」


 ララは深呼吸をすると、僕を見てビシッと指をさした。


「ララも旅についていくぞ」


「え、ララも!?」


「お前がお姉ちゃんにヘンなことをしないか見張ってるんだぞ!」


 当たり前、と言わんばかりのどや顔だ。

 僕はルロと顔を見合わせて苦笑い。


「わかったよ。ララもおいでよ」


「は? お前に言われなくてもいくぞ」


 ……なんか、初期のルロを感じるなぁ。

 無愛想なララを見て、感じの悪かったルロを思い出す。

 ……もしかしたら、ララもツンデレ気質?

 ふふっ、こりゃまた大変だ。

 僕は困ったように笑い、この先の旅路を想像した。

ルロがデレデレ!?


お読みいただきありがとうございます!

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