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第八十一話 毎晩ドライマンゴー

 誘拐?

 黒ずくめの人は走って走って走る。


「あーん、ママーっ。パパーっ!」


 少女の声は大きいが、ガヤガヤしている遊園地には響かない。

 もしかしたら気がついている人がいたとしても、遊園地の企画だと思われているかもしれない。

 実際のところそうかもしれないし……。


「なにボケッとしてるのよ。早く追うわよ」


 ルロに腕をつかまれ、強制的に追うことになった。

 えー、でもこれ演技だったらどうするの?

 反論したいところはたくさんあるが、今はやらない理由を探すより、やる理由を探した方が得なので追う。


「あんた、あれを見なさい」


 ルロは観覧車を指さした。

 いたって普通の観覧車のはず……。

 いやっ! 違う。


「黒ずくめの人、女の子と一緒に観覧車の頂上で立てこもってる!?」


「そうよ」


 いや、そうよじゃなくて。

 観覧車に立てこもるとか聞いたことない。


「行くわよ」


 ルロが言った瞬間


  キィィィィィ


「「え!?」」


 観覧車が停止した。

 な、なんでなんで!?

 作業員さんは申し訳なさそうに機械をいじる。


「あんたなにやってんのよ! 正気?」


「すすすす、すみません」


 作業員の方は僕らの前にやってきて土下座。

 っていうかこの作業員


「トネさん?」


 この人は前回ツンデレ地帯の秘密を教えてくれた人だ。

 優しいけど、コーヒーを笑顔で注いでくる姿は僕には悪魔の微笑みだとしか思えない(個人の感想です)。


「ホントだわ。トネじゃないの。なんでここにいるのよ」


「政府のほうに脅されて……。あ、あれはルロの友達?」


 なんかめっちゃ気になること言いかけてたけど……。

 でもなんか部外者(ぼく)が入っていいいような話題じゃないのは確かだ。

 黙ってこの場を見守った


「は、はぁ!? こんなとんちんかんが友達なわけないでしょう! こいつを償わせてるの!」


「あれっ? デートじゃなかったっけ?」


 思ったことを口にしたら、ルロは顔を真っ赤にしてにらみつけてきた。


「あんたマジで黙れ」


 口悪いなぁ。

 そんな様子をトネさんはにこやかに眺めていた。


「ふふふ」


「ふふふ、じゃないわよ! っていうかトネ。なんで観覧車を停止させたわけ? 誘拐犯が観覧車に乗ったのみてないの?」


 ルロの質問にトネさんはため息をついた。

 その仕草には恐れと申し訳なさがふくまれているような気がした。


「誘拐犯に脅されたんです」


 脅されてばっかりだなぁ。


「なんて脅されたのよ」


「観覧車停めないと、お前の夕飯一生ドライマンゴーにしてやるって」


 それは地味にキツい。

 毎晩テーブルにドライマンゴーしか並ばないと思うとゾッとする。

 でも僕的には、夕飯一生マリーゴールドスープが苦しい気がする。


「トネも被害者なのね」


「多分……」


 トネさんは自信なさげにうなずいた。


「じゃあ、あたしたち行ってくるわ。誘拐犯をぶっ飛ばしてくるわ」


 ルロが言うと、本気でぶっ飛ばしそうだから怖い。

 でもどうやって行くんだろう。


「あんた知ってる?」


「なにを? 主語が抜けてるよ」


「マジでそうゆうのいい。ウザい」


 ルロに背中を思いっきり叩かれた。

 くぅぅっ、いててて……。


「この遊園地にはもうひとつ観覧車があるの」


「へぇーっ。なんで?」


「なんでもいいでしょ!」


 ルロに今度は頭をペシッとやられた。


「んで、その二つの観覧車の頂上から一個さがったところは隣あってるのよ」


「えっと?」


 ルロの言っていることが理解できず、首をかしげる。


「つまり観覧車Aと観覧車Bの頂上から一個下は隣り合ってるのよ」


 なるほど。

 わかったよなわからなかったような……。


「まぁ、とにかく! あたしたちはもう一個のほうの観覧車に乗って、いいタイミングで、この誘拐犯が立てこもってる観覧車に跳び移ればいいのよ」


「なるほど」


 とりあえずもう一個の観覧車に乗ればいいんだ。多分。

 よくルロの作戦は理解できなかったけど、多分なんとかなるさ。多分。

私はマンゴー大好きです!

お読みいただきありがとうございます!

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