第六十七話 敵愾心
目を開けた先はただただ薄暗かった。
目の前には大きなお城が建っている。
そのお城は煌びやかでもなければ、キレイでもない。
とてもいかがわしく、怪しい建物だった。
「……ここ、魔王城かもしれません」
「ま、魔王城!?」
つまり魔王がいるってこと?
思わず鳥肌が立った。
だって下手な真似したら殺されちゃうかもしれないんでしょ?
そんなの絶対イヤだよ!
ブルブルガクガク。嫌悪の瞳でミランスを見ると、
「じゃ、行きますか」
「え?」
「え?」
僕がハテナ顔をするとミランスも同じようにハテナ顔で返してきた。
いやいやいや、
「だってあっさりしすぎじゃない? 魔王城行くんだからもっと緊張感もとうよ」
「……緊張感なんてプレッシャーになるだけですよ」
そうだけど……。
僕が頭をかいていると、急にルロが口を開いた。
「タイムマネジー大丈夫かしら?」
あ、そうだった!
それとそのゼンマイも返してもらってない。
ぬいぐるみにおしつぶされたりしてないかな?
焦燥感がつのっていく。
「大丈夫ですよ」
ミランスが腰にある小さなポシェットをごそごそしだした。
「わたし取り返しましたから」
「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」」
いつ!?
驚きでこえがでない(さっき叫んどったたやん)。
「ルロちゃんがプロミネンスを決めたところらへんで取り返しました」
……あー、あのグリスたちの後ろでちょこまかやってたときか。
それはそうとして。
「それ僕が持ってるよ」
「なんでですか!?」
「ミランスに国家機密を持たせるのは、ミサイルを与えてるのと変わらないことだから」
「……それには同意してあげるわ」
二人にうなずかれ、ガーンと魂が抜けていくミランス。
タイムマネジーになにかあったら戦争が起きてもおかしくないんだから。
「……仕方ないです。レンさんに預かってもらいます。でもでも! これはわたしが取り返したんですからね!」
膨れながらも僕の手にタイムマネジーとゼンマイを置いてくれた。
むすっとしてるミランスもかわいいな。
僕がほわほわしているとルロが顔をあげた。
「これが、魔王城なのね」
魔王城は高く、トーキョータワーみたいだ。
まぁ、さすがにそこまでは高くないけど。
「ここまでたくさん、いろんなことがあったなぁ」
ミランスが嬉しそうにつぶやいた。
「お供を決める抽選をして、それから一年稽古と勉強をして……」
僕を見た。
幸せそうに微笑んだ。
「そして、レンさんに出会って、ルロちゃんに出会って、楽しくって」
ルロも優しくはにかんだ。
「辛くても幸せで、怖くても安心で、イヤなのにやりたくて……相反してますね」
ミランスは最後に力強く笑った。
勇者の笑顔だ。
お日様のようだ。
明るくあたたかい。
周りを優しい気持ちにしてくれる。
ミランスはお日様のようだ。
「では、行きましょう」
僕らは扉を開けた。
おおおお! 魔王城にきちゃったぁぁぁ!
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