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第六十四話 屁理屈言うなし

 再来の洞窟だ。

 まだ中には入らずに、そとから眺める。


「この洞窟の扉、内側からじゃ開かないんだよ」


 困った話だよ。

 これじゃ一生出られない。

 さっきはルロが来てくれたから助かったけど。

 ミランスがうーんと首を捻る。


「そうですねぇ」


 ミランスは扉の取っ手に手をかけた。


「外側だと簡単に開くんですね」


「どういう作りなのかしら」


 ルロも考え込むが、そんな空気をミランスはパッと変えた。


「まぁ、いいです。とりあえず行きましょう」


「え!? 三人で?」


「はい、もちろんです」


 当たり前のように語るので驚きが止まらない。

 それは僕だけじゃなく、ルロも同じだ。


「どうするの、三人出られなくなったら」


「そのときはそのときです」


 えー。

 いまいち納得できていない僕にミランスはこう言った。


「わたしはできるだけ、トラブルが起こったときだけ慌てるようにしてるんです」


「え?」


「困り事が起こってから慌てるんです。今心配したってムダです」


 ……そういうもんなのかな。

 ミランスらしいけど。


「いいこと言ってる風だけど、あたしには能天気で平和ボケなことを自慢してるように聞こえるわ」


 正論!

 ごもっともすぎてダレも言い返せないんですが。

 沈黙が訪れ、それを申し訳なく思ったのか、ルロがため息をついた。


「……んまぁ、能天気だの平和ボケだの言ったけど、いいんじゃない? リーダーは一応ミランスなんだし」


「はえ?」


「このパーティのリーダーはミランス。だからあたしはミランスの考えを優先するわ」


 吐き捨てるように言ったけど確かにそこには信頼があった。

 そんなことミランスにもお見通しだ。


「わはっ! ルロちゃんありがとー」


 無邪気にルロに抱きつくミランス。

 こんなことされたらルロのツンデレは不可避だ。


「べ、別にミランスの考えを優先することがあたしの考えを優先することなの! 勘違いしないでもらえる?」


「んー、なに言ってるかわからない。でもルロちゃんが優しいことはわかったから」


「や……!」


 赤面しだすルロを褒め殺す。

 こりゃ会心の一撃だね。

 このやり取りかわいいけど、日が暮れちゃうから。


「ほら百合物語は終わりー」


「あっ。そうね。ミランスは旦那さんいるものね。ここでイチャイチャしてたら、旦那さんが嫉妬しちゃうわね」


「嫉妬してねぇぇぇぇぇぇぇぇ」


 ニヤニヤいじわるーく笑うルロ。

 ああ、ルロはあれだ。クラスにカップルがでたら全力ではやし立てるタイプだ。

 ……いや、そんなことはどうでもいいんだよ。

 あぁ、今日はダメだ。まともに話が進まない。


「……では、いいですか? 洞窟に入りましょう」


 ミランスの掛け声と共に洞窟へ入る。

 やはりうすぐらい。

 しかしルロはまたそこら辺におちてる棒でなんちゃって松明を作った。


「明るっ」


 さっきの暗さが信じられないくらいだ。

 いや、まぁさすがに家の照明に比べたら嗤われるくらいのものだけど。


「……教科書落ちてますね」


「あ、」


 それ僕の

 と言おうとしたら、


「教科書を捨てるなんてホーント最低ね」


「最低までは言いませんが、育ちがよろしくないのはわかります」


 えー! なんかズタボロ言われてるんですけどー!

 ルロがこうやって怒るのはなんか想像はできるけど、ミランスまで?

 ミランスの地雷ってこれ?


「教科書は勉強のためにつくってあるのに、ひどいです」


 ぐさっ


「ホント、わかってないわよね」


 ぐさぐさっ


 ごめんなさいごめんなさい。

 重かったから仕方がないんです。

 教科書持って雪山登山とか結構しんどいんです。

 なんて言いわけを並べてるのはバレてないからオーケー。


「レンさん。なんか怪しい場所とかないんですか?」


 怪しい場所?

 うーん。どこだろ。

 どこも全部行き止まりなんだよね。

 一番特徴があったのは小さな部屋、かな。

 看板と扉しかなかったけど。

 でも……結局どうこうできるようなものはなかったけどなぁ。

 ミランスたちと行けばなにかわかるかな。


「ちょっとした部屋ならあるけど」


「いいですね!」


 教えてくださいとミランスが目を輝かせる。


「こっちなんだけど……」


 通路を抜け、またあの部屋にたどり着く。

 相変わらず狭く、いかがわしい。


「はっ! 扉がありますね」


「そうなんだよ。でも内側からじゃ開かないんだ」


「っていうか、どこにつながってるのかしら」


「「さあ」」


 鉄の棒がクロスして出来上がってるから、鉄と鉄の間からなにか見えるのではないかと試みるが……ムリだ。

 ここの扉だけなぜかゲンジューにしきつめられている。

 一番怪しいのこれだよね。

 僕らの運命はこの扉にかかってるのか。

 えー、どうしよう。

 内側からじゃ開けられないんだよね。

 うーん。壊す?

 いやー、ムリそうだしなぁ。

 えー、どうすればいいんだろう。

 そうだ、ルロの魔法で……、


  ガチャッ


「え」


「開きましたよ」


 は、え、えっ!?

 待って待って待って待って待って待って待って待って!


「皆さん、行きましょう」


「いやいやいやいやいやいやいや」


 平然と行こうとしてますけど、ちょっと待てーい!


「なんで開いた!?」


「あー、レンさんの持ってる鍵で開きました」


 僕が持ってた鍵……?

 え、あ! あのオーライバーさんからもらったやつで?


「でも、内側からはなにしても開かないんじゃ……」


()()()()()とは書いてありませんでしたよ。鍵を使っても開かないとはかいてないですもん」


 なにその屁理屈。

 いろいろと抗議したい思いはマウンテンだが、とりあえず進むことにした。

 扉の向こうは体育館ほどの大きさの部屋があった。

 なぜか壁に十五センチ感覚でろうそくの灯りが置かれている。

 ルロの松明がなくてもへっちゃらな感じだ。


「……なんの部屋でしょうか」


「キミたちが死ぬ場所だよ」


 振り返るとシルクハットの男とピーターパンもどきが立っていた。

なんか引っかけみたいですみません。

土下座会見を開きたいくらいです。

やー、でもよかったですね。

ミランスとレンがくっついて一安心……ではなかった!


お読みいただきありがとうございます!

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