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第六十三話 ごめんねからのプロポーズ

「ミランス!」


 オーライバーさんがいる穴に戻り、一気にミランスと言い合った部屋に駆け抜けていく。

 そこには彼女がいた。

 僕の言う通り休んだのか、傷が見当たらない。

 目の周りが赤く腫れていて自分のしてしまったことだと深く深く後悔する。


「れ、レンさん」


 ミランスは気まずそうに目をそらした。

 しかし僕はミランスにもっと近づいた。

 だってこのまま終わりたくないんだ。


「──ゴメン」


 一番言わなくちゃいけないのも、一番言いたいのもこの言葉だ。

 ミランスの真っ正面に立って頭を下げる。

 僕が悪いことをした。

 僕が間違ってた。

 僕の全部エゴイズムだ。

 それを正当化したアホを許してくれくれないかもしれない。

 だけど、曖昧なまま終わらせたくない。

 もし終わってしまうなら僕の言葉を全部伝えたい。


「僕が全部悪いんだ。ミランスのために頑張ってる自分に酔ってた。なんか正義にでもなったつもりでいたんだよ」


 頭を上げて僕のダメな部分をさらけ出す。

 こんなのホントはミランスに一番見せたくない。

 イヤでイヤでたまらないけど、それだけじゃダメだ。

 謝罪するならまっすぐぶつからないといけない。


『だからなんですか? レンさんは許してもらうために謝っているんですか?』


 いつかミランスはこう教えてくれた。

 「ごめんなさい」は許してもらうための言葉じゃない。

 自分の非を認めて、相手を敬うものだ。

 それを今はするんだ。


「ミランス、ごめんなさい」


 もう一度頭を下げた。

 僕が本気なのを伝えたい。

 ミランスにわかってほしい。

 ついさっきまでミランスはわからず屋だと思ってた。けど違う。ミランスはわかってくれる。許してくれるかはわかんないけど、わかってくれる。


「レンさん」


 顔を上げてミランスを見た。

 泣いていた。笑っていた。涙が流れだしていた。笑顔がまぶしかった。

 彼女は嬉しそうだ。


「戻ってきてくれて、ありがとうございます」


 あぁ、純粋すぎる。

 僕をこんなにあっさりと許しちゃダメなのに。

 優しさが痛いよ。笑顔がまぶしい。

 罪悪感とドーパミンが溢れだしてよくわかんないことになってる。


「ごめんなさいはわたしもですよ」


 ミランスは赤く腫れた目を伏せた。

 そしてちょっとだけ決まり悪そうに微笑んだ。


「レンさんはあんな風に謝ってくれましたけど、わたしのことは心配してくれましたよね」


 え?


「レンさんが自分に酔うだけの人間じゃないことくらい知ってます」


 ミランスはニコッと笑った。

 あ、僕が好きな表情だ。

 この顔を見るためなら、今ならなんでもしたい。


「レンさんは百パーセント自分に酔ってたわけじゃないです。わたしのことを心配する気持ちもありましたよね」


「……うん」


 小さくうなずいた。

 あー、もうダメだよ。

 ミランスは優しすぎる。

 そこが長所で短所だ。


「ミランス、あのさ、超おこがましいことだけど……。またミランスと冒険していいかな?」


「いいですよー!」


 即答だ。

 嬉しいような、申し訳ないような、相反する感情が溶けていく。


「わたし、最初に言いましたよね。レンさんと旅がしたいって」


 最初はその言葉を聞いてうぇって思った。

 けど今は違う。

 僕もミランスと旅がしたいって純粋に今はそう思ってる。


「だから、むしろこっちからお願いします」


 ぺこんとかわいくお辞儀をしたミランス。

 これだからずるいんだよ。


「あとさ、」


 最後にもう一つ伝えたいことがある。

 さっきは伝わってなかったみたいだから、今度はちゃんと聞いてほしい。


「──好きだよ、ミランス」


「だからわたしも、」


「違う」


 ミランスの言葉を遮って優しく首を振った。

 そしてはにかんでミランスを見つめた。

 そらさない。絶対に。


「結婚してほしい」


「わたしもです」


 …………………………。

 ……………………………………は?

 は、え、ちょ、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?


「どうして驚かれているんですか?」


「いや、その絶対断られると思ってたし、どっちかっていうとオロオロするミランスを期待してたっていうか……」


 えぇぇぇぇぇぇっ!

 ウソでしょ。

 待って待って。

 僕たちって両想いだったのぉぉぉぉぉぉぉ!?

 興奮して頭が噴火しそう。


「あれ、ちょっと待って」


「なんですか?」


 ミランスはいたって冷静だ。

 あれれれれっ。もしかして僕の告白ずっと前から伝わってた!?


「ミランスって王族の人とじゃないと結婚できないんじゃ……?」


「あ、大丈夫です。レンさんは勇者のお供なんで特別枠に入ってるんで」


 そうなのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?

 いろいろ驚きなんですが!


「でも、レンさん」


 ミランスは顔を赤くして僕をうわめづかいで見つめた。


「その、ど、同居とかは魔王を討伐してからでいいですか?」


「え、あ、うん」


 なんかこっちまで照れるんだけどー!

 赤い顔を隠していると。


「はいはいはい! いちゃこらしないのよ」


 ルロがドアに寄りかかっていた。

 どこから見られてたんだろう……。

 知りたいような知りたくないような。


「冒険、行くんでしょ?」


 僕とミランスは目を合わせ、うなずきあった。

 そう、またミランスと旅ができるんだ。

 嬉しくてしかたがない。

 洞窟への一歩を三人で踏み出した。

結婚(笑)

レンさんやりますね。ロールキャベツ男子?


お読みいただきありがとうございます!

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