表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/99

第六十話 独り

 どうしてわかってくれないんだろう。

 部屋を出てとぼとぼ歩く。

 ルロとすれ違った。

 ルロは僕をスッと見つめて、なにもなかったかのようにそらした。

 彼女の瞳は呆れそのものだった。

 ……どうしてみんな僕を愚か者のような目で見るんだ?

 眉間にシワを寄せて歩いていると


「レンよ。どこへ行くのだ」


 オーライバーさんが話しかけてきた。


「少し……調査に」


 ……あ、そうだ。オーライバーさんもグリスたちを見たかもしれない。

 そう思って訪ねてみた。


「怪しい男二人組を見ませんでした? シルクハットとピーターパンみたいなやつ」


 オーライバーさんはもうご高齢が過ぎる感じだから、正直記憶は曖昧だろう。

 でもそんな人にまで縋ろうとするのは、大ピンチだからではないだろうか。


「シルクハットとピーターパン……」


 予想通り、うーむと考え込んでしまうオーライバーさん。


「覚えてないのなら別に大丈夫ですけど……」


「ぬぉ!? お主、冷たいのぅ……。せっかくその二人組の詳細を教えてやろうと思ったのに」


「え、は、あ、えぇ!? 見たんですか?」


 ちゃんと覚えてたんだね。

 それを早く言ってよと、言いたかったが、気分を損なわれるとイヤなので言わないでおいた。


「っていうかそいつらに会ったわい。まぁ、ついでに世間話もしたんじゃ」


「世間話したんかーい!」


 まさかこんな近くにあいつらとトーキングした人がいるとは思いもしなかった。

 でも、これは意外と早く解決しそうだ。


「世間話はしたぞ。この頃ピーマンが美味しい季節になりますね、とか、みかんがたくさんとれますね、とか」


 主婦かよ。

 っていうかこっちの世界にもピーマンやみかんはあるんだ!?


「しっかしだな。せっかく楽しく世間話をしてたって言うのに、あいつら生返事ばっかでな? 早く洞窟の鍵をくれくれくれくればっか言うんじゃよ。礼儀ってもんをしらないようなんだなぁ」


「洞窟……?」


「言ってなかったかね? マリオネットワールドの洞窟にはタイムマネジーを動かすゼンマイがあるのじゃよ」


 じゃぁ、グリスたちはそれを盗みに来たってこと……?

 自分の顔がすーっと青くなっていくのがわかる。


「それで洞窟の鍵を渡して見送ったってわけじゃが……。レンよ、顔色がよくないぞ」


 僕の顔をまじまじ見て、それから僕の考察を察したのだろう。

 オーライバーさんの表情が笑みがすーっと消えていく。


「す、すまないワシが騙されたせいで……」


 勢いよく頭を下げられて、とんでもないと首を横に振る。


「大丈夫です。僕が捕まえてきます。洞窟の場所を教えていただきたいです」


「……ここから五百メートルもない。近くに川があるからそれをたどっていけばいい」


 意外と近いなぁ。

 でも、その距離でも人形(やつら)にやられる可能性はあるよね。

 思わず方に力が入る。


「そういえばあのかわいい二人は一緒じゃないのか?」


 オーライバーさんの全く悪気のない、純粋な瞳に胸がキュッと締め付けられた。

 ルロは別にケンカしたわけじゃないけど、……ミランスが……ね。

 僕の脳裏には笑顔で「レンさん!」と呼びかけてくれるミランスと、沈んだ眼で「レンさん……」と訴えかけてくるミランスが浮かんだ。

 言葉が出てこない。

 僕のせいで静寂に包まれる。


「キンパツインテールのコがお主の仲間におるじゃろ?」


 キンパツインテール……?

 金髪のツインテールの略かな。

 うん、わかりずらい。

 まぁ、つまりはルロのことだ。


「あのコ、昨日ここの穴までレンと茶髪のコを、かついで連れてきたんじゃよ」


「……怪力」


「多分じゃが、それ本人の前で言ったらぼこぼこにされるぞ」


 オーライバーさんのツッコミは華麗に無視をして、いろんな意味で感心する。

 すごいな。だってミランスと僕をかついできたんでしょ? 二人あわせてなんキロ? 僕が六十キロ代でミランスは……わかんないけど、あわせてきっと百キロは超えるよね。

 あ、もしかして僕がそのことのお礼言わなかったことに、ルロ怒ってるんじゃ?

 だからなんか冷たい目で僕を見たんだ。

 なるほど合点。

 んじゃぁ、ルロも疲れてるだろうし、僕一人で行こうかな。

 僕はオーライバーさんに洞窟の鍵を受け取り、外へとつながるはしごを上った。

***********************************************************


「えいしょっと」


 運動音痴な僕にはあのはしごも苦痛だ。

 うーん。一応異世界来てから、イヤでも体を動かさなきゃいけなかったし、体力はついてはいると思うんだけどなー。

 汗をぬぐいながら洞窟へ向かう。

 やはり周囲にはぬいぐるみがあり、恐怖でしかない。

 もっと怖いのは、あれだ。

 あの失望したミランスの瞳が、声が、僕の胸を、頭を痛めつける。

 ミランスのあの表情が控えめに言ってトラウマだ。

 好きなコの笑顔は眩しくて直視できない。だけど好きなコの絶念した眼差しも痛くて直視できない。相反するものに抱く感情が同じだなんて悔しい。

 しかし! ここはミランスに「やるじゃん」って思ってもらうためにもグリスたちをこらしめよう。

 そう思いながら僕の目の前にある、ズドンと鎮座した大きな大きな洞窟を見上げた。

ふはー。風音です。

テスト終わったー。

いやー、抽えらいいとこで終わってたから戻れてうれぴーです。

あ、そういや桜馬とのコラボ小説消しました☆


お読みいただきありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ