第五十七話 マリオネットワールド
マリオネットワールドは最先端技術や機械系の発達は著しく貧しかったが、操り人形の劇がとても面白いと有名な国だった。
だがしかし、人形劇を見に外国からお客さんが来るほどである。
もちろん人形職人やぬいぐるみ職人もたくさんいるわけだ。
だから一家に五十体ぬいぐるみがあるー、なんてことは珍しいこともない。もっと言うとペットがぬいぐるみだというケースも多い。
人形劇やぬいぐるみの作り方などは学校で教わる。だからこの国のほとんどの就職先は人形関係のものだ。
そんなある日、革命が起きる。
ぬいぐるみに人間の心臓を入れると、命を持つようになるということが判明した。
もちろん心臓は亡くなった人のものでも効果がある。
そこで政府は考えた。
マリオネットワールドの第一産業に就職している人は三割にも満たない。食料のほとんどは輸入に頼っている。
しかしぬいぐるみに命を宿すことができれば、国内の食料自給率を高めることができるのではないか。
例えば豚のぬいぐるみに命を宿し、その豚を肉にすることだって可能だ。
他にはロボットを縫い、それに命を宿したら、奴隷のように農作業させることもできる。
こんな素晴らしいことやらないわけがない。
国はぬいぐるみに命を宿すようすぐに伝えた。
すると瞬く間に国は豊かになった。
食料自給率は高いし、ロボットがいるおかげでなにもかもが便利になった。
この技術はマリオネットワールドだけの秘密だ。
他国に知られたらたまったもんじゃない。
つまり利益を独占したかったのだ。
だから国を大きな壁で囲み、外からも中からも秘密が漏れないようにした。
そのおかげで国は豊かになっていく。
──しかし、こんな幸せはおざなりにしかならない。
ある朝、命を宿した元ぬいぐるみのウサギが脱走した。
その頃は入れる心臓がなくなってきていたので、心臓を外国から輸入していた。
しかし心臓の値段もなかなかだ。
なのでそろそろこの技術も終わる、ということが国民の間でささやかれていた。
脱走したウサギはぬいぐるみ工場に着いた。
そしてウサギのぬいぐるみを見て思った。
「どうして自分と同じような見た目なのに動かないのだろう」
当たり前の疑問だ。
ウサギがそう思うのも自然だ。
その後ウサギはぬいぐるみに命を宿すところを目にした。
賢いウサギだ。やり方を覚えてしまったようだ。
だから部屋にあった心臓を口に咥え、さっき見たウサギのぬいぐるみに入れる。
案の定命を持った。
これを知ったウサギは次々にぬいぐるみに心臓を入れていく。
この技術を他のぬいぐるみにも伝えた。
どんどんどんどん増えていく。
命を持ったぬいぐるみたちが国を支配していく。
やがて心臓が足りなくなると、ぬいぐるみたちは人間を殺し始めた。
マリオネットワールドには血の雨が降り注ぐ。
国民は深い深い穴を掘り、その中でひっそりと暮らすようになった。
かつては人形を操っていた人々が、逆に人形に操られる立場となってしまった。
なぜこんなことが起こったかは他国の人はダレも知らない。
人形に人が操られる国──マリオネットワールドだ。
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