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第五十六話 ホール

 うーん……。

 歩いても歩いても周囲はぬいぐるみのみ。

 夕方だから辺りは暗くなりつつある。

 そんなところに大量のぬいぐるみってホラーでしかなくない!?

 そう意識すると今にもぬいぐるみがひとりでに動きそうだ。あー、怖い。ブルブル。

 なんてことはともかく! 泊まれるようなところないかなぁ。

 ぐるっと見渡してもやっぱり建物なんてあるわけがない。

 それに人っ子一人いないのが怖いよね。

 どうしたんだろう。

 この国に人間はいないのかなぁ。ぬいぐるみがえ支配している国とか?

 でもぬいぐるみが動きそうな気配が1ミリたりとも感じられないんだよなぁ。

 うむむむ。考えても考えても答えは出てこない。


「疲れたー」


 どれくらい歩いたかな。体力がなさすぎの僕はしなしなとその場に座る。

 ぬいぐるみがいすぎてホントに窮屈な体育座りになってしまう。

 今更な話だけどいったいダレがこんなにぬいぐるみを持って来たんだ? お金の消費ヤバいよ、絶対。

 なんでここにばらまいたかも不明だし。

 ……ミランスとかならやりそううだな。

 お金持ってるし、ぬいぐるみ好きそうだし。それよりなにより、意味フメーなことめっちゃするし。

 う~ん。謎だ。


「……ん?」


 近くにあったワニのぬいぐるみをよけた。

 ──地面がなかった。

 だから周囲のぬいぐるみをかきわけた。

 そしたらなんと穴が現れた。

 マンホールくらいの大きさだ。

 ……なにこれ。

 興味本位で穴に僕の顔を突っ込む。

 暗くてなんにも見えちゃしない。

 ホントに辺りは闇だ。

 怖くてドキドキするけど、でもなぜか好奇心が勝ち、首をもっともっと穴の中に突っ込む。

 穴の中にある視界が増えても情報は増えない。

 ただただ闇だ。

 ……あ、あれ?

 一瞬穴の底がキラッと光ったような気がした。

 もっと見たくなってさらに前のめりになる……と……。


「うわああああああああっ」


 内蔵がひっくり返るような感覚。

 落ちる! どうしよう。

 地面に顔を向けて落ちていく。

 重力と風に圧されて逆えない。

 どうしようどうしよう!

 僕死んじゃうのかな。

 っていうかなかなか落ちない。

 ピンチの時って一秒がやけに長く感じられるから?

 そんなこと考えている僕の辺りは闇、闇、闇、闇。

 だけど下の方に一筋の光が見えた。

 ……天国では?

 嫌な仮説をたててしまった。

 背中が冷える。悪寒みたいだ。

 そのとき、脳裏にミランスの笑顔が映った。

 僕の大好きな顔だ。

 あぁ、死にたくないな。

 もう彼女の隣にはたてなくなるって辛すぎる。嫌だな。でも助かる方法はないんだな。

 虚無感がする。

 涙すらでない。

 そこに、


「ネベル」


 呪文のようなものが聞こえた。

 だんだん意識が遠のいていく。

 頭が重い。

 ダメだ! もう、お……わり……、


***********************************************************


「……あれ」


 目を開けたら明るいところにいた。

 それよか僕ベッドの上にいるんだけど……?

 かけられている布団を払い、上体を起こして見回す。

 うーんと……?

 僕がいるのは小さな部屋みたいな場所だ。

 薄黄色の壁に囲まれた部屋で六畳ほどだ。

 ベッド以外なにもない。

 がらんどうな風景と言うか、殺風景と言うか……。

 シンプルすぎる部屋にちょっと恐怖を感じる。

 っていうかここどこ? 天国?


「こんにちは」


 辺りをキョロキョロしていると人が入ってきた。

 おじいさんだ。九十は優に超えてそうだ。

 たっていても猫背で、ぜんまいみたいな形の杖を持っている『Theおじい』って感じだ。

 貧乏なのかボロボロの服を着ている。


「ど、どうも」


 とりあえずペコリ。

 おじいさんなら多分襲ってはこないと思うけど、一応ね! 感じよく。


「そうかたーくなるでない」


 ふぉっふぉっふぉと笑う。

 顔がしわしわでたるみすぎているせいで、ホントに笑っているのかわからない。

 しわがれた声でゆっくり話してくる。

 滑舌が悪いので一瞬「ん?」ってなる。


「あの……あなたダレですか?」


「まったく最近の若いもんは、自分の名を名乗らずに相手の名を訊ねるのか? 変わったもんじゃなぁ」


 不満げに言うおじいさん。

 ……なんかごめん。僕のせいで若い人の全体印象下げちゃった。


「まぁいい。わしはオーライバーだ」


 オーライバーさん……なかなか聞かない名前だ。


「僕はレンです」


「レン、わかった」


 オーライバーさんは数回うなずいた。

 そして僕の下から上をゆっくり観察していった。


「お前はここになにをしにきた? 自殺か?」


「いや、ホテルを探していたら穴を見つけまして」


「……それで落ちてしまったと?」


 僕は無言でうなずく。

 だけどオーライバーさんは僕をまじまじ見た。

 ……え、なに? ご飯粒でも顔についてた?

 困惑していたら、


「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ」


「なんですか? そんな笑いかたする人始めてです」


「いやー、ドジじゃなー思って。あーっひゃっひゃっひゃっひゃ」


 ……めちゃくちゃ爆笑されたんだけど。

 思わずうつむいて赤面する。

 この人、初対面にして失礼すぎない!?


「いーやいや、楽しいね」


「僕はまったくもって楽しくありません」


「……そうかい。しらけること言うのう」


 オーライバーさんは寂しそうに言った。

 ……う~ん。よくわかんないけど、キャラが強いのはなんとなくわかった。


「ところで、どうしてぬいぐるみばかりあるんですか?」


「……お前は格好からして旅人じゃろ?」


「え、まぁ、はい」


 多分そういう立場のはず。


「それじゃぁ、わしの話を聞いて早く帰るといい」


 このときオーライバーさんの目が厳しいような、怖いような、そんな色をした。

 だから僕は真剣な表情で耳を傾けた。

部活が一応終わって、お盆休みだー。

執筆しなきゃ!

焦りでソワソワしている今日この頃。


お読みいただきありがとうございます!

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