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第五十二話 ドルーゴーリマの民謡

「レンさん、かっこよくなりましたか?」


 ガクッガクッとでこぼこな道をケルベロス車は走る。

 周りは森。

 木々が垂れ下がってきていて、いつ当たってもおかしくはない。

 しげってる葉に太陽がさえぎられてしまっている。

 薄暗くてなんか不気味だ。

 この森をちょっと抜けたところにマリオネットワールドがあるらしい。

 なんか名前が不思議だよね。

 マリオネットってなんだっけ?

 操り人形だかそんな感じだった気がする。


「……質問の意図がわからない!」


 ミランスになぜかほめられて嬉しいよりはむしろ恐怖を感じる。


「そのまんまですよ。レンさんかっこいいですよ。どうしてですか? っていう」


「なにそのバカップルみたいな質問」


 相変わらずルロは軽蔑した眼差しを僕に向ける。

 え? なんで僕見るの? ヘンな質問したのミランスでしょ!?


「レンさん顔つきが変わりましたよ。ね、ルロちゃん!」


「うーん。かっこいいとは思わないわ」


 は?

 イケメンだとは思ってないけどさ、真っ正面からそんなこと言わなくたってよくない?

 ルロだって言うほどかわいく……いや、かわいいわ。

 かわいいっていうか美人さんだ。

 うらやましいー! 五十嵐くんもだけどさ、顔整ってる人って得するよね! ぜったい。


「……でも」


 ルロは小さく声をあげた。


「なんか決意したんじゃない? なんか前まで浮遊感ハンパない表情ばっかしてたけど、今は違う……気がするわ。多分思い違いだと思うけど」


「いや! 思い違いじゃないよ! レンさんたくましくなりましたよ」


 うぅーん。

 ミランスの圧が異常に強い。

 僕そんなに変わった?

 両手の平を眺めても、いつも通りの生命線が短い僕の手だ。


「レンさんは……」


「ん?」


「なんでもないです。息抜きにゲームしましょうよ」


 一瞬ミランスの顔が深刻そうになった。

 どうしたんだろう。疲れてるのかな。


「ではでは………………しりとりしましょうよ」


「「しりとり!?」」


 ルロも驚いたのだろう。声がぴったり重なる。


「じゃーあ、わたし→ルロちゃん→レンさんね。いきまーす。メロン」


「ん……、ん、ん、ん、ん、んんんんんん!?」


 考えるポーズをしていたルロが首を横に振りだす。


「しりとりよ! あんたルールわかってる?」


「わかってるよー! とりあえず『ん』をつけなきゃいいんだよね」


「じゅうぶんわかってるじゃない。でもメロンってなによバリバリ『ん』がつくじゃない」


「あ、そうだね。わたしとしたことが。あはは」


 ミランスがカラカラ笑う。

 しかしルロはミランスをにらみつける。


「まったく。しりとりをなんだと思ってるのかしら。しりとりは真面目に一瞬一瞬をかみしめる競技なのよ」


 えー、なんかしりとりガチ勢がいるんですけど。

 やりづらいな。


「では、もう一回いきます。……パン」


「ん……、ん、ん、ん、ん、んんんんんん!?」


 ルロは再度しかめた表情をした。

 ミランスはキョトン顔。


「どうしたの?」


「どうしたの? じゃないわよ。しりとり下手なの? パンって『ん』がついてるじゃない」


「ホントだ! さすがルロちゃん。すぐわたしのミスに気がついてくれる」


 いや多分ほとんどの人が気がつくミスだと思うけど。

 しかしほめられたしりとりガチ勢は誇らしそうに胸を張る。


「ふっ。まぁ、そんなこともあるわよ。もう一回チャレンジしてみなさい」


「うん! えーっと、こんにゃく」


「く、く、く、く、くぅ……あっ、クエスチョン。……あっ」


 …………。

 シィーン。

 気まずすぎる沈黙が流れる。

 どや顔だったルロの顔がどんどん青くなってく。


「しりとりなんてつまんないわ。やめましょう」


「「うん……」」


 結局僕のターンは回ってこなかったなぁ。

 でも、そのほうが良かったのかもしれない。

 静かに胸をなでおろす。


「浮かぶ蜃気楼消えたほのかなおかたぁー」


 突然ミランスが歌いだす。

 多分、あれだ。場を盛り上げようとしてくれてるんだ。


「あなたはどこにいるのー なにをしているのー」


「なにその曲。メンヘラ援助曲?」


「違うよー! わたしの国に伝わる伝統的な歌だよ」



 浮かぶ蜃気楼 消えたほのかなお方

 あなたはどこにいるの なにをしているの

 怯えてしまうものってなんですか

 それはさらさらしてるんです


 願う蜃気楼 消えたほのかなお方

 わたしはここにいるよ あなたを探しています

 怯えてしまうものってなんですか

 それは食べ物じゃないんです


 笑う蜃気楼 消えたほのかなお方

 キミはどこにいたの なにをしていたの

 怯えてしまうもの知ってますか

 それはチャニジャーにあるんです



 ミランスいわくこういう曲らしい。

 不思議なリズムだな。

 ミステリアスな雰囲気だ。

 あの陽気な国であるドルーゴーリマで昔から伝わってると思うとナゾだ。

 あの国ならもっと明るい歌ができそうなのに。

 僕が首をかしげているとミランスは口を開いた。


「この曲は何百年も前から歌われてるんです。わたしの先祖も勇者らしいんですけど、その仲間が歌ったとか歌ってないとか……」


「へー」


 えっ。じゃぁ、僕的な立場の人が作ったってこと?

 えー、すごっ。僕はできないよ。

 どうしよう魔王討伐終わったら王様に「歌作れ」なんて言われたら。

 ぜったい黒歴史になる。

 それが何百年後も歌われるとか辛すぎるんだけど。

 とりあえず、もし王様にそんなこと頼まれたら速攻で断る言い訳考えておこう。

こんにちは風音です。

ドルーゴーリマの民謡……いつか黒歴史になりそう(笑)

音声つきで作ったので今度投稿します。


お読みいただきありがとうございます

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