第四十八話 犯人
なんで?
言葉がでない。僕だけじゃない。ミランスもルロも同じだ。
目の前にいるのはタムさんだ。
だからみんな信じられなくて声がでない。
タムさんはそんな僕たちを嗤って歩み寄る。
「やぁやぁ、まさかここまで来るとか思いませんでしたよ」
「あたしだってあんたがここにいるなんて思わなかったわ」
「うるさい。俺ずーっと思ってたんだけどルロちゃんって口悪いよね。正直言ってうざい」
タムさんは笑って淡々と言い放つ。
まぁ、僕もルロはお口が悪いときが多いなーとは日常的に思ってたけど。
ルロは目を大きく見開いて信じられないとでも言いたげな表情をする。
「……んなっ! あたしからも言わせてもらうけど、急にちゃん付けとかキモい。チャラ男気取り? あと敬語なんでやめたわけ? 敬語の使い方忘れちゃった感じー?」
「よーくよく考えてみて? あなたたちのようなすっとこどっこいに敬語使う必要ある? ないよねー?」
「はぁ? じゃぁあんたは、あたしより身分が高いっていうの?」
「もちろん」
「勇者兼お姫様のミランスよりも?」
「そうだよ」
「あいつは?」
「言うまでもないね」
「……まぁ、それは同感だわ」
僕って結構ディスられキャラだよね。
ルロの呆れるような視線を見なかったことにしてタムさんを見る。
「なにしに来たんですか? 悪巧みじゃなかったら僕はあなたの敵じゃないですよ?」
「悪巧み……かどうかはわかんないよ。そこはキミたちが判断して」
「じゃぁ、なんですかー? なんの目的でここにいるのですか?」
ミランスの問いにタムさんは焦る様子もはぐらかす様子も見せなかった。
その姿を見て少し安心した。
「この時計台には世界の時間を管理するものがあるって知ってる?」
「どうして国家機密をっ」
ミランスの慌てるのを見て、タムさんはニヤリと悪魔的に嗤う。
あ、なんか嫌な予感がする。
タムさんの表情と言っている内容から、いつでも手はだせるようにミニアンブレラを用意した。
「俺、それを探しにきた」
「ジョークは顔だけにしなさいよ! 面白くないこと言わないでほしいわ」
「ウソでもジョークでもないよ」
ルロの必死さをさらりと流してしまう。
タムさんは相変わらずへらへらしてる。
「魔王に……頼まれたんですか?」
「うーん。それはなんとも言えないなぁ。ま、でも最終的にここに来るって決めたのは俺だからね」
「そんなっ」
「ミランスちゃんってかわいいね。食べちゃいたい」
ミランスのコロコロ変わる表情をタムさんは愛おしむように眺める。
当のミランスは驚いて脳がバグったのかおろおろしだした。
あぁ! なにミランスを困らせてるんだよ!
「ミランスに指1本触れたら許さないからね!」
「え? どうして? こんなかわいい人、いじめたい。そう思わない?」
お、思うは思うけど……。
でもそれを口にだしていいんでしょーか?
ちろっとミランスに目をやる。
そしたら不安そうにした瞳の彼女と目があった。
あうっ。
とんでもないこと考えてた自分に罪悪感という罰がくだされる。
っていうか相手はミランスだよ?
戦力的にも精神力もあっちのほうがどう考えても上でしょ。
ミランスをいじめるなんて不可能だね。
「タムさんにはノッカさんがいるんじゃ……」
「いない!」
さっきとうって変わってタムさんの表情が変わる。
ニヤニヤしたまぬけそうな顔が外れて、鬼のような目がでてきた。
「ノッカは、ノッカは、俺を愛さなかった! あんなやつ、どうでもいい! 大ッ嫌い! 俺を愛さないなんて見る目がないんだぁぁぁぁぁぁぁ!」
「なに言ってんのよ。バカじゃないの?」
「「同感」」
ミランスまでにうなずかれ、タムさんの瞳には殺意が灯る。
あの優しい笑顔なんてどこにもない。
「はぁ? バカ? なに言ってんだい。俺の良さがわかんないほうが頭悪いと思う」
「なーにうぬぼれてんのよ。あんた言うほどカッコいいわけでも、性格いいわけでもないじゃない」
ルロはばっさり言い放つ。
それを聞いたタムさんは地団駄を踏みまくった。
「なに言って……! ……あぁ、わかった。言葉じゃ伝わらないんだね。俺には力があるんだってこと!」
「ルロちゃん! 危ない!」
ドゴンッ
タムさんー! うっそーんって感じでしたね。
はい、どうも風音です。
えー、七月ですね。
あっづい。夏休みもそろそろ!
……夏休みになんかやるかも(ボソッ)




