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第四十六話 トーキョー

「でっかいわね」


 時計台──タイムチェンジの前に立ち、見上げて感嘆の息をもらす僕ら。

 茶色や黄色のレンガが何千何万と積まれている。

 円上の塔がでーんと鎮座していて、まるでどや顔してるみたいだ。

 いやー、めっちゃくちゃでかいよ。


「東京のビルより高いかも……」


「トーキョーってなんですか?」


「僕の出身国のことだよ」


「ほへー。今度一緒に行きましょうよ!」


 えっ。

 ミランスは満面の笑みを浮かべている。

 トーキョー、か。ミランスと行ったら迷子になりそうだなぁ。電車とか間違ったのに乗っちゃいそう。

 でも楽しそうだなぁ。クレープとか、古いけどタピオカとか食べたりしてね。

 ミランスはお食事大好きだから、あれも食べたい! これも食べたい! ってなりそうな気がする。


「ニマニマしちゃって。嫌らしいわ」


「嫌らしいって! 田舎者でも都会デートの妄想くらいしたいのー!」


「あんた田舎者だったの? どうりでのらりくらりしてるわけだわ。やっぱり賑やかな都会がいいわね」


「おいぃぃぃぃぃ! 僕も含めた全国の田舎という自然豊かな土地に住んでいる人に謝れぇぇぇぇ!」


 田舎者をバカにするなんて許せない!

 田舎はめっちゃいいとこなんだぞ!

 お米美味しいし、空気キレイだし、虫とも友達になれるし(そのとーり! by都会に憧れている作者)。


「もしかして、ルロちゃんもトーキョー行きたいの? だからレンさんに意地悪言ってるんだね!」


「いや、あたしは別に……」


 そっぽ向いて歯切れの悪い口調。

 こりゃ強がってるお決まりの仕草だね。


「へぇー、いいの? 都会には面白いものたっくさんあるよ(ニヤニヤ)」


「いいわよ。都会なんて人がいっぱいいて酸素不足になっちゃうわ。田舎のほうがずぅーっとのどかで過ごしやすいに決まってるのよ」


「……さっきと言ってること180度違くない?」


「そんなこと言わないでルロちゃんも一緒に行こうよ!」


 ミランスがキラキラした目でルロを見る。

 ルロはちょっとだけ照れたように顔を赤く染めた。


「……そこまで言うなら仕方がないわね」


 遊びに誘ってくれたのに、こんなひねくれた態度って。

 でもどうせこういう態度とってる人に限って集合時間のなん十分も前に来たり、すっごいおしゃれしてきたり、プリクラ撮りまくったりするんだよね。


「さ、早くトーキョー行きたいんでしょ? ならちゃっちゃと魔王滅ぼすわよ」


「うん! トーキョー!」


 女子二人のやる気がすごい。

 トーキョーの威力ハンパないな。

 ミランスがタイムチェンジについている木製の扉を開けた。


  きゅぃい


 建て付けの悪い扉の向こうには闇が広がっていた。

 灯りが一つもない。

 こういうところ、ゲームとかだったらタイマツを持って歩くのが定番なんだけどね。


「あぁっ! まったく! 暗いったらありゃしない」


 ルロがぶつくさ文句を言ったかと思うと


「プロミネンス」


 指ぱっちんして小さな炎が出てくるという、アニメやマンガのあるある魔法をした。

 そして近くに落ちていた少し太めの棒に火を移した。

 うん、なんちゃってタイマツの完成だ。


「わーっ! 明るい! ルロちゃんありがとうね!」


「別に。自分のためだから。勘違いしないでよね」


 お約束のツンデレゼリフを吐いて辺りを見回す。

 階段。

 僕らの目の前には泣きたくなるような螺旋階段があった。

 ……待って。

 これ一番上まで続いてるの?

 エレベーターとかないの? エスカレーターは?

 アーメン!

 うっ、まさかのまさかだけど、ここを上がれと……


「よし! では行きましょう! 魔王を蹴散らすのです」


 言ったぁぁぁぁぁぁぁ!

 僕が今いっちばん聞きたくないことがミランスの口から聞こえたぁぁぁぁぁぁぁぁ!

 ついこないだは登山もしたよね!?

 ひぃぃぃっ! これ絶対僕の精神を殺しにきてるよね!?


「なに、ぴえん(死語)みたいな顔してんのよ。早く行くわよ」


「ううっ。生き地獄」


 ルロに高圧的な目で見られたら逃げるなんて選択肢は皆無。

 仕方がないのでしぶしぶ歩く。

 ミランスは平然とのぼっていく。

 歩くたびに茶色の短い髪が揺れる。筋肉があるからだろう。足を前に出すたんびに太ももが膨らんだり縮んだりする。

 いいなー、僕も筋肉欲しいな。

 もにもに。

 僕の太ももを触ってみるけど、筋肉なんて見当たらない。

 ……うっ、悲しい。

 いや、ね! 別に大根足ってわけじゃないけど、っていうか真逆のゴボウ足なんだよ。

 女子はゴボウ足になりたい人が多いけど、男子は違うんですよね。

 細い=弱い、っていうのが式として成り立っちゃうから。

 さすがの僕でもダレかに弱いって思われるのは嫌だな。

 一応ね……強くありたい。

 ニンジン足とかになりたいかも。

 ミランスを守るためにも筋トレしようかな。

 続くかはわかんないけど、今度やってみようっと。


***********************************************************


「あぁー、なっが! 飽きた。つまんないわ」


 どれくらい歩いただろうか。

 僕の体力は消耗している。

 女子たちはそうでもなさそうだけど。


「つまるとかつまんないとかの話じゃないでしょ。世界平和のためだよ」


「わたしはルロちゃんに同意です! 景色が変わんないし、面白くなーいでーす」


勇者(ミランス)まで……」


 まぁ、僕も楽しくないなーとは思ってたけどさ。

 でもやっぱり、口にしていいことと悪いことがあるよね。

 しかしミランスの言う通り景色は螺旋階段とレンガだけなので楽しみがあるわけない。

 それにどこまでのぼったのかがわかんないから、達成感もなければやる気もでない。

 うー、疲れた。


「……は! レンさんルロちゃん! 見てください、扉がありますよ」


 ミランスが小走りで階段を駆け上がっていった。

 タイマツを持ってるルロも急いでミランスについてく。

 僕は……疲れたので歩かせてもらった。


「ホントだわ」


「入りますか?」


 うわさの扉の前に立ち腕を組む。

 その大きさは僕よりちょっと大きいくらいだった。

 入り口と同様木製だ。


「入りましょう。もしかしたらここにヒントがあるかもしれないわよ」


「そうだね!」


 うなずきながら扉を開けるミランス。

 部屋の一部が四角く切り取られていて、中は明るかった。

 部屋はそれなりに大きく六畳ほどだ。

 ベッドしか置いていないのでがらんどうとしている。


「はっ! あそこからキレイな景色が見られるかも!」


 ミランスが急いで部屋に入っていく。


「ミランス、落ちないでよ!」


 心配になって僕も早足で入っていく。

 ルロもまったく、とついてきてくれる。


「うわーっ! サイコーの眺めですよ。やっほー!」


 ミランスは四角い穴から顔をだし、やまびこを期待している。

 子供だなぁ。いや、20歳になるんだっけ。

 びっくりだよ。

 なんてため息ついていると


  ダンッ


「「「ふぇっ!?」」」


 扉が勢いよく閉まった。

 それだけのはずなのに、いやーな予感。

 ……悪いことが起こりそうだ。

はい、どーもどーも風音です。

お読みいただきありがとうございます!

私もトーキョーいきたいです。

このご時世ですしなっかなか旅行にいけないんですよね。

ま、物語の世界だったらどこにいっても怒られませんよね!

いつかトーキョーにいこうかなー、なんてね。

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