第四十四話 夜の出来事
時間が経つのはあっと言う間だ。
もう日が暮れて、代わりに月が昇っている。
僕たちは悪の組織の基地(?)である、あの洋風ファンタジックなホテルに戻ってそこで寝ることにした。
ホテルでは夕食がでなかったのでミランスが作ってくれた。
……いや、創ってくれた。と言ったほうが正しいかもしれない。
だってだって! ミランスの創った料理ヤバかったんだよ。
肉じゃがらしきもの創ってくれたのに、まったく肉が入っていないという衝撃。
しかも代替肉だー、ってニワトリのぬいぐるみを煮込もうとしてたんだよ(もちろん速攻でルロとやめさせた)!
ぬいぐるみを放り投げようってとこもビックリだけど、なんでニワトリなの? って思わない?
だってさ、肉じゃがの肉って牛か豚のどっちかな気がしない?
うーん、地方とかがあるのかなぁ?
……まぁ、そんなこんなで生まれたのは『肉じゃがもどき』。命名ルロ。
異臭がしたりして、絶対映える料理ではなかったけど意外と美味しかった。
食べられないものもいくつか入ってたけど……まぁ、なんか普通に美味しかった。
味だけは完璧だった。味だけはね!
で、ごちそうさまをしたらすぐにベッドに入った。
あーぁ、眠い。早く寝たいって思ってたのに!
「……え? なんで眠れないの?」
っていう地獄を現在進行形でくらってます。
みんなわかるかな? ベッドに入る前はうつらうつらしてんのに、いざ入ると眠気が覚めちゃう……みたいな。
ちゃんとベッドの中でも眠いんだよ?
でもなんか、眠れないんだよねー。
薄暗い天井を見てもなにも変わらない。
……よし。ミランスに明日の予定を聞きに行こう。うん。確認は大事だ。
みんな勘違いしてるかもしれないから、いちおう言っておくけど、暇潰しで行ってるわけじゃないからね! しっかりお供としての責務だから。ミランスとおしゃべりがしたいとか、あり得ないから!
かぶさっている布団をおもいっきりはねのける。
そして廊下に出てゆっくりゆっくりと歩く。
よぅし、ミランスの部屋の前まで来た。
ノック→やぁやぁ、どうもどうも……みたいな感じにすればいいはずだ。
だけども拒絶されたらどうしようとか思うとなかなか手がでない。
もしもの情景が脳裏で何回も何回も再生される。
ハラハラして心臓の音が聞こえる。
あ、あぁ! もう! 行っちゃえ!
意を決してノック。
「はい」
ミランスにしてはなかなか素っ気ない返事だった。
しかしそんなことはかまうことなく、ドアノブに手を引っ掛ける。
「失礼します」
中に入るとロウソクの小さな光だけがあった。
それだけがこの部屋の灯りの頼りだ。
「……」
静かだ。
外の風の音さえ聞こえてきそうだ。
ミランスは夜に弱いのかな?
なんて思いながら近づいた。
……ら、
「あ」
ここでみなさんに報告です。人生終了のお知らせが聞こえてきました(涙)
だって、ここにいる人、髪長くない? ねぇ! この人、つり目じゃない? ねぇねぇ! もしかして、この人、ルロさんじゃなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!?
あぁぁぁぁぁっ!
高すぎて声にならない叫びをあげる。
\(^o^)/オワッタ☆
ルロはもはや笑顔の僕をにらみつける。
「あんた、なにしに来たの? ここはあたしの部屋よ」
「そうですよね、そうですよね。ホントにゴメンなさい! だけど、お願い! そんな怖い顔しないで! 僕のメンタルがぐちゃぐちゃになるから!」
「ムリよ! 夜に男子が部屋に入ってくるとかいやらしいことをを考えてるんじゃないかって疑っちゃうでしょ!」
「い、いやらしい!?」
「ええそうよ! みんなから、男と火の扱いには常々気をつけるように言われてるのよ。ほら、あたしって美人だから」
「その発言がなければもっといいと思うよ」
ルロはいつだって自信過剰だ。
でもそれがルロのいいとこだったりする……かも……?
「……ま、でもあんたは気弱だし、人を襲うようなことができないわよね」
そのとーりです。気弱ですよ。
僕はひたすら頭を縦にふって、同意ですよアピール。
「あんた、なにしに来たの?」
「それがさぁ、ミランスに会おうかと思ったんだけど間違ってルロの部屋に来ちゃったんだよね」
ガックシと肩を落とす。
そんな僕を見てルロはため息をひとつ。
「ミランスに……ね、なるほど」
ルロは右手で顎を触りながら考えるポーズ。
美人さんがやると、ちょっとばかし絵になる。
「あんたさぁ……、やっぱいいわ。あたしが入る話じゃないわ」
「えっ? なに? 途中で止められるとめっちゃ気になるんだけど!」
しかしルロは教えてくれない。
その間ヘンに沈黙ができて、自然の音がやたらと耳に入る。
「ルロ……あの、僕……なにかした?」
「……そうね。そうやって無自覚ぶって人を困らせるとことかすっごく、嫌」
うわー、僕は無自覚ぶってないのにぃ!
否定しようと口を開けたら
「でもあんた自体は嫌いじゃないわよ」
……えっ。褒めてくれたの?
新手の嫌みとかじゃないよね?
逆に心配になってくる。
しかしルロは顔をうつむかせていて、暴言吐いたあととは思えない仕草をしていた。
意外で思わず目を丸くする。
「バカ! あのね、嫌いじゃないけど好きでもないのよ。そこをちゃーんと、骨の髄までわかって欲しいわ。っていうかわかるのが当たり前なのよ。いい?」
「は、ハイ」
勢いに飲まれて固い返事になってしまう。
なんだこれ。
ルロ情緒不安定すぎない?(知ってたけど)
「ルロってヤバイツンデレだよね」
「っはぁ!? いきなりなによ! なんか勘違いしてるんじゃないの?」
「してないよ」
ルロはツンデレだ。
……めんどくさいよ。まったくもう。
ルロは暗闇でもわかりすぎるくらい顔を真っ赤にさせる。
「消えなさい! もう、存在がよくないわ」
「うわー! その発言いじめアンケートに書いてやる!」
「バカじゃないの?」
罵倒されすぎて、けなされても辛くなくなってきた。
「じゃぁ、おやすみ」
僕は逃げるように扉を開けて外に出る。
「あたしを一番にしてくれる人は、いないのね」
ルロが寂しげにポツリと嘆いたのなんて聞こえるわけなかった。
こんにちは、風音です。
更新遅れました。
なぜって? 部活の大会があったんですよね。
入賞できませんでした( >Д<;)
まあまあ、これからこれからっ!
お読みいただきありがとうございます!




