第三十九話 告白
ついについにの日を向かえた。
僕とミランスとルロと悪の組織はポロゼにやってきた。
そう、悪の組織のタムさんが告白するのだ。
タムさんは告白準備のため、僕たちがここに来る数日前からポロゼに行っていたらしい。
すごいなぁ。告白なんて僕だったら絶対できないよ。
……もう生涯非リアだから。うん。
「レンさーん、あれ見てください! でぇぇぇっかい噴水ですよ!」
「ホントだ」
ミランスの差す方向にはムダにでかい真っ白な噴水がおいてあった。
こんなファンタジーな噴水なのに、ヘンに悪目立ちしないのは町並みのおかげだろう。
床は全部カラフルなレンガでできていて、家もやたらと多彩だ。
ここの人々は肌が白くスタイルがいい。比較的に美男美女が多いかもしれない。
まぁ、ミランスやルロも負けてないけど。
「タムはこの噴水の前で告白するんだ!」
「おぉー、雰囲気でますね」
アントが僕の言葉にそうだろう、そうだろうとうなずく。
「お前よくわかってるじゃん? しかも夜、ライトアップしたときなんだぜー!」
「けっこー目立ちますねー!」
目をランランと輝かせるミランス。
ミランスって意外とこうゆう人の恋愛事情が好きなのかな?
ちょっと驚き。
「その告白される側は公開告白とか大丈夫なの? 結構好き嫌い分かれるわよ」
「相手は好きなやつだったらどんな告白でも嬉しいらしい。女子って好きな人にだったらなんでも許しちゃうよな」
「女子は依存しがちなのよ」
「そうか?」
「しがちってだけで、全員が全員依存体質じゃないとは思うわ」
サッパリ、淡々と話していくルロ。
アントは勉強になった、とメモをする。
「レンさんはどんなふうに告白されたいですか?」
「え、僕?」
ミランスの問いかけに思わず言葉を失う。
だって今までそんなこと考えたことなかったから。
いや、考えるような相手がいなかったんだ。
「僕は……手紙かなぁ」
「手紙ですか?」
「うん。直接は照れるし、でも相手の照れ顔は見たいなーって。だったら手紙渡すときのあの照れ顔を目に焼き付けて、そして告白文を読もうかなーとか思ったりしちゃって」
「注文が多いわね……」
「でも! レンさんが嬉しいならやってみようかなぁ」
僕の妄想にルロはちょっと引き気味だ。
引くっていうか、呆れてる感じかな?
っていうか、それよりなにより! 今、聞き捨てならないセリフがミランスから出てきたんですけどー!?
やってみようって、告白をー? 僕に!?
胸がどかどか鳴る。
頬の周りがぼわぁーっとあっつくなった。
あぁぁっ、やばい! ドキドキしてる! 不整脈っ? 死にたくないー!
「じゃ、じゃぁ、ルロはどうされたいのさ」
焦る気持ちを見て見ぬふりをするため、ルロに質問する。
「あたしは……」
そこで言葉をとめて少し考えるような表情をとった。
そしていきなり顔を噴火させる。
「ばばばばばばばばばっば、バカ! 言えるわけないでしょ! ド変態!」
ベチン! と平手打ちをくらう。
……なにを想像したんだ?
ハテナ顔をする僕の横で大真面目な表情でミランスが口を開く。
「ルロちゃんはああ見えて俺様っぽい人に弱いタイプですよね。だからきっとちょっと俺様系の誠実イケメンに壁ドンされて耳元で『好きだ』ってささやかれるんですよ。そしたら『ふぇ!? あ、あんたと付き合うのなんてバカじゃないの!』って言っちゃうんです。そしたらルロちゃんはしまったぁーって内心後悔すると思います。それでもイケメンはもっと近づいてくるんです。もう鼻と鼻がくっついちゃうんじゃないかっていうくらいの距離で。そして『ルロ、お前が好きだ。お前が嫌でも告白し続ける。だから早く付き合え』とか言われちゃうんです。そしたらもう『あんたと付き合うのってあたしくらいしかいないんだからね!』ってルロちゃんがツンデレセリフはくんです。でもイケメンは『当たり前だ。俺はお前にしか告白しねーよ』って言う……みたいな妄想したんですよね! だよねールロちゃん」
ルロはしゃがんで顔を手のひらでおおう。
あぁ、こりゃ図星だなぁ。
反論する顔もないみたい。
たまにはこうゆう姿になってもらうのもいいね。
「あああああ! もう! ミランス覚えておきなさいよ! ……ん? あ、そーだ。ミランスも理想の告白教えなさいよ」
まだ少し火照ってる顔をニヤつかせるルロ。
うわー、悪魔だ。(←レンくんが言う?)
「わたしは……どっちかって言うと告白したい側だから!」
ミランスは、にっこりしながらも少し恥ずかしそうに言う。
へぇ。そっち側の人だったか。
勇者だね。
感心する僕の横でルロが「つまんないー!」とのたうち回る。
「自分のタイプはだなぁ、」
「ゴメン、あんたのタイプは聞いてないわ。黙って?」
「……えっ、あ、はぁい」
アントが口を開いてもルロがすぐに暴言でさえぎる。
「夜まで待ちますかっ!」
落ち込んだアントの隣で、ミランスのコバルト色の瞳がキラッと輝いた。
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夜。
群青の空に真っ白な星の数々が煌めく。
見上げればすぐに見られるもの、目を凝らさないと見つからないもの、見れば見るほど星が発見される。
異世界の星もキレイだなぁ。
「あっ! 来ました!」
ミランスがやや興奮気味で指差す。
噴水の前に男女がやってきた。
急いで僕たちは近くの物陰に隠れる。
男の人のほうがタムさんかな?
ここからだとあんまり顔が見られない。
ただシルエットが、なんかもうイケメンだ。
「あのさ、言いたいことがあるんだけどいいかな?」
「なに?」
おぉっ! ついにタムさんが告白!?
ワクワクっ!
胸の裏がとんでもないくらい脈打つ。
タムさんはこの日のためにずーっと努力したんだ。頑張れ!
「今日キミを遊びに誘ったのはこれのためなんだよ」
タムさんの凛とした声が少し震える。
頑張れ! 頑張れ!
応援しかできない。
でも頑張ってほしいから応援したい。
ゴクリと唾を飲み込む。
行け! 頑張れ!
「──好きだ。ダレがなんと言おうと、俺はキミのことが好きだ。付き合ってほしい」
言ったー!
わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!
歓声があがる。
町にいる人々が拍手。
なかには囃し立てるやつらもいるが、ルロがそいつら全員処理していく。
……どうやって処理したかは言えないけど。
うん、でも公開告白って感じだね。
「あっ、えっ、へっ?」
驚いてるのか、照れてるのか、頭をやっちゃったのか女性側はおもいっきりうろたえる。
ちょっと効果あった?
興奮して息が荒くなる。
ミランスもお祈りポーズで二人を見守っている。
アント率いる悪の組織も気が気じゃない。
「あのっ」
女性が口を開いた。
わぁぁ。返事だ!
耳の裏まで脈打っているのが伝わってくる。
胸が熱い。
沈黙がやたらと長く感じられた。
「私、好きな人いるの。その人は──ディートって言うんだけど……。あ、タムくんのことも好きだよ! 優しいし真っ直ぐだし誠実だし。でもそれは友達として。私が好きなのはディート」
申し訳なさそうに教えてくれる。
熱かったはずの胸が、今はウソみたいに冷えきっている。
「ゴメンなさい。気持ちは嬉しいよ」
風音です! お読みいただきありがとうございます!
こないだワクチン3回目うってきました。
そのせいか脇の下っていうか、脇がジンジンします。
今話は脇イタの風音が書いた告白シーンです。
えへっ、頑張りました!
これからもよろしくお願いしますね!




