第三十五話 ノープランですけどなにか?
「……で? あんたたちどこに行くのよ」
あんたたちと言いながら僕をガン見するルロ。
こりゃ遠回りに僕に聞いてるよね? 察したよ。
……でも残念なことに僕もわかんない。
だから
「ダレか教えて! 僕たちどこに行くの?」
ちょっと被害者っぽい声をだしてミランスをガン見。
ルロは「あんたも知らないの?」なんて僕を当たり前のように軽蔑する。
……ルロはきっと社会に出たら死ぬタイプだな。美女でも許されないことがあるって知らないんだ。
そんな僕の不満が募る横でミランスがほっぺたをカリカリかく。
悩んでる……? それくらい候補があるのかな?
「どこって言われましても……。──正直わたしもわかりませんっ☆」
てへぺろ☆ とウィンクを決めたミランス。
ズコーッ!
おいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ! キミが一番わかってなきゃいけない立場でしょおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!
え、勇者ってこんなおおざっぱでいいんだっけ?
世界平和ってこんなにゆるーくやっていいんだっけ?
絶対ダメだよね!? 凡人の僕でも断言できるよ!
「あ~、もう! ノープランなの? ノーデリカシーといいノープランといい、ノーばっかりじゃない!イエスはないわけ?」
「そういうキミも結構ノーデリカシーだと思うんだけど」
「……ノーデリカシーは百歩譲ってオーケーだわ」
「オーケーなんだ!? 自分に甘いね」
「でもノープランはないわよ。ノープランなんて……。バカの中のバカがすることよ。だから天然は嫌いなの」
「んな……! バカだなんて!」
散々ルロに悪口言われたミランスはムッとほっぺたを膨らませる。
無知の知とかカバと結婚とか、たくさんちょっと前まで反論してたのにあの威勢はどこに消えた?
ちょっといろいろ言いたくなったけどミランスの顔を改めて見たら出遅れだった。
あっ。かわいいっ!
そう、ミランスのすね顔を僕の眼球がとらえた。
美女のすね顔! レアだよ。家宝に……、いや、国宝にしたい!
あれだけ人を振り回しておいて許してしまう顔面! ズルい!
「……なんかレンさん興奮してる。ついにおかしくなったんじゃ!」
「……やばいわ」
ドン引き眼で罵倒された(泣)。
しかもミランスにまで……。シンプルに傷つくんだけど!
=(;゜;Д;゜;;)⇒グサッ!!(←レンの心の中)
「……まぁ、こんな茶番はおいといて! あたしにいい案があるわよ」
「そうなんだ~」
「そういえばレンさん。こないだドルーゴーリマ王国でナルトッツォを食べてみたんですけど。知ってますか? ナルトがふわっふわでぇ」
「美味しそう! 僕も食べてみたい」
わいわいキャッキャと会話する僕らを鋭い目でルロが見てくる。
え? なに? もしかして嫉妬? ルロ、ミランスのことなにげに好きだし。
ニヤついてルロをチロッと見たら目があった。
あぁ、一触即発……。
「なにニヤついてんのよ! っていうかちょっとあんたたち! 少しはあたしの話に興味持ちなさいよ!」
ルロが一喝。
怒鳴りつけられニヤニヤ笑うことなど一瞬で不可能となった。
「だってルロには発言権ないかと思ったから」
(↑見苦しい言い訳)
「発言権くらいあるわよ! なにその思い込み! 生き物として失格よ! 幼稚園児以下! バカ! アホ! ドジ! マヌケ!」
ムシされたのがよっぽど悲しかったのか、すごい勢いで痛罵してくる。
っていうか最後のほう悪口のレベルが低くない? まぁ通常運転だからいいか。
「それで、案ってなに?」
「しょうがないわね。特別教えてあげるわ」
えぇー。キミが言いたそうだったから話をふってあげたんだけどなぁ。
……とはみんな思っただろうから声にはださず、心の中で共感することにした。
「タイムタスク王国って知ってるわよね?」
「うん! もちろん知ってるよ!」(ミランス)
「ううん! もちろん知らないよ!」(レン)
「……相反する意見が同時にでたわね」
ルロがため息つく。
だって僕ここの世界の住人じゃないもん。仕方がない。
「タイムタスク王国は国の中心に時計台があるの」
「知ってる知ってる! 異世界遺産になってるよねっ。写真でしか見たことないけどすごくキレイだよね」
「そう、超キレイなのよ。で、ここから国家機密なんだけれど……」
「国家機密!? ちょっまっ! それ知ったら僕ら捕まるんじゃない?」
「………う~ん」
ルロは戸惑ったように眼球をあっちこっち行き来させる。
えぇぇ、なんかこの反応、いやな予感しかしないんだけど。
しかし
「大丈夫です! わたしがいます」
と、不穏な空気を仁王立ちのミランスが撤去する。
「ミランスが……? 失礼ながら戦闘以外で役に立つことしたっけ?」
「んなっ! ホントに失礼ですね!」
「ミランスに暴言を吐くのはやめて! 暴言吐くのはあたしの特権だから」
もしかして独占欲!?
でもなんか僕の知ってる独占欲とちょっと違うんだけど。
「……せっかく王女&勇者の権利を使おうと思ったんですけど?」
ミランスのあまり見ない意地悪な笑顔。
「はっ!」
お許しください。お許しください。
地面におでこをこすりつけて頼む。
地面は雪があって少しひんやりした。おでこが雪でぐしゃぐしゃになる感触がする。
そんな僕を見て「そ、そこまでしなくても」とじゃっかん引き気味でミランスは許してくれた。
「……話を戻すわ。そのタイムタスク王国の時計台の中には世界の時間を管理している時計があるって言われているの」
「それが……国家機密?」
「そうよ」
確かにこんな重要案件が出回ったら悪者が時計台に来るよね。特に魔王の一味だって見逃す話じゃない。
「それでその時計台に侵入するって予告状(?)が届いたのよ」
「ほへぇーっ、どこの悪者なの? 有名なとこで言うと暗黒軍? それともお野菜売りつけ業者?」
「お野菜売りつけ業者ってそんなに有名な悪なんだ」
まぁ、うん。そうだね。野菜じゃないけど、昔お母さんが結構な量の豚肉を押し売りされて1ヶ月間豚肉料理しか食卓に出なかったときがあったなぁ。
そんなルロが真剣な眼差しで告げたことは、野菜業者の悪事もノホホンと思えるような人物だった。
「どれも違うわ。もっと有名よ。だって──魔王郡だもの」
お読みいただきありがとうございます!
最新朝投稿を始めたんですが、効果抜群でおかげさまでpvが増えています。ホント嬉しいです。もう、感謝の嵐。
では引き続きよろしくお願いします(^∇^)




