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第三十三話 白い闇

 吹雪という吹雪が僕の視界をさえぎった。

 危険を感じてミニアンブレラをポッケにしまう。

 冷たい……! 痛い……!

 これがルロの心なのだろう。温かみも優しさも感じさせてくれない。ただただ無機質な雪が勢いよく降ってくる。

 これじゃ目を開けるのもやっとだ。

 でも、目を開けてもなにもわからない。薄暗い景色だけが広がってる。足元すら見えない。

 あれ、僕今雪山にいるよね? でもなんか船に乗っているような感覚がする……。今立ってる? 座ってる? 僕はどこにいるんだ? 今どっち向いてるんだろう? 今日の晩御飯はなんだろう? 全部いつもならわかるのに! なんでわからないんだ! っていうか、寒しぎる!

 きっとホワイトアウトしちゃってるんだ!

 とにかくこの天気を終わらせないと。


「ルロ! 聞こえ、る……?」


「…………………………」


 ダメだ。返事がない。

 僕の声も聞こえてないみたい。それほど絶望しちゃってるんだ……。

 どうしよう。一回ミランスと合流したいな。


「ミランスー! 聞こえるー?」


「はい! なんでしょ……あばばばっ!?」


 !?

 どうした!?

 まさかフルーフにやられた!?

 心臓の巡りが速くなる。


「ミランス! どうしたの!? 大丈夫!?」


「えぇっと、さきほど雪が肺に入って(ダジャレじゃないよ)呼吸困難になってしまいました」


 呑気な声が吹雪の奥から聞こえる。

 あぁ、なんだ。さっきの叫び声は雪を飲み込んだ声だったのか。まぎらわしい。


「レンさんは大丈夫ですか?」


「うん、一応大丈夫そう。合流したいんだけど、どこにいる?」


「わかりません!(キッパリ)」


 だよね。僕も自分がどこにいるかわかんないもん。


「どうする?」


「どうするって言われましても……」


 どうすることが正解なのかわからず、沈黙が訪れる。

 あぁぁっ! どうしよう。ホワイトアウトってどうすればいいの?


『雪山でホワイトアウトしたら穴を掘って隠れるんだよ。いいな?』


『でも僕登山しません』


『人生は長い。わからんぞ』


 中学生の頃北海道出身の先生とそんな会話をした気がする。

 なんでそんな会話になったかは不明だけど。


「ミランス! とりあえず穴を掘ってそこに避難して!」


「穴ですか? 頑張ってやってみます」


 僕も穴を掘ってみる。正直なところホントに自分が穴を掘ってるのかもわからない。けど多分掘ってると思う。

 手でそこら辺を触ってみるとボコッとなるところがあったのでそこに入ってみた。

 入ってみると肩が触れた。

 一緒の穴を掘っていたんだろう。横を見るとミランス(多分)がいた。


「レンさん! 奇遇ですね」


「うん」


 穴の中はあんまり吹雪が入ってこなくて少し安心。

 ミランスも横にいてくれているのでそれも安心する。


「ルロちゃんを助けましょう!」


「そうだね」


 ルロが元気になったら天気も戻るかな?

 僕はおもいっきり息を吸った。

 ルロ、聞こえてくれ!


「ルロー!」


「な…に……?」


 うっすらだけど反応ありだ!

 嬉しくて声がはずむ。


「ルロ! 聞いて! ララのことはすごーく残念だったよ! でもさ、仕方ないんだよ。クヨクヨしてたらきっとララも悲しむ。だから早く前を向いて戦おう! ね?」


「…………は?」


 吹雪からドスの効いた声がした。

 聞こえずらかったけどハッキリちゃんと聞こえた。


「バカにしないで!」


「……えっ?」


「え? じゃないわよ! なにあんた。ララのことは忘れて前を向けって? バカじゃないの? あたしとララがどんぐらいかったーい絆で結ばれてると思ってるわけ? 家族よ? 家族の死よ? それを気にするなって言うわけ? はぁ? ノーデリカシーにもほどがあるわよ」


 あっ……。

 言ってから後悔の波がおしよせてきた。

 そりゃそうだ。僕がおばあちゃんが死んじゃったとき、めっちゃ悲しかった。

 ルロはまさにその気分を絶賛味わってるんだ。

 それなのに自分が吹雪をとめたいからってヘンに元気ずけようとした。

 ルロの気分で天気が変わることを利用したかったんだ。

 ──僕がしようとしてたことってルナをいじめた町長と変わらないんじゃ?

 そう思った瞬間体が冷えた。もともと冷えてたけど、なんて言うか、体の芯まで凍りついた感じだ。


「ルロ……ごめ……」


「謝るくらいなら最初っから言わなきゃいいじゃない!」


 んぐっ……。

 その通りだからなんも言えない。


「なにあんた。黙りこんじゃって。ララをどうにかしなさいよ!」


「で、できないよ! ……ララはもういないんだから」


「……っ!」


 吹雪が強くなった。

 また傷つけた……。あー、もう! どうして僕はこんなにもノーデリカシーなんだ!

 あああ! 寒い! やばい! 凍る!


「あたしのせいで! うああぁぁぁぁぁぁぁっ!」


「ふふふふっ! 寒い! どんどん寒くなっていくわ」


 フルーフの楽し気な声。

 あぁ、こいつは吹雪を呼ぼうとしているんだ。

 そうすれば僕とミランスは凍えて戦闘不能になってルロは絶望にひたる。つまり魔王討伐は不可能だ。

 そんなのフルーフにとってこれ以上喜びはない。


「フルーフ! まだ諦めてないから! 嗤わないでよね!」


「あーら? 往生際が悪いこと。それじゃぁ私も必殺技をだそうかしら?」


「えっ?」


「でもね、この技をつかったら私死んじゃうのよ。まぁいいわ。自己犠牲で勇者がいなくなるんだもの」


 自爆呪文ってことか。

 ゲームにもあったなぁ。まだ手に入れてない呪文だけど。

 ゲームで相手に自爆呪文だされたとき、けっこう痛かったんだよね。現実でくらったほうがもっと痛いだろうけど。


「レンさん、生きのびますよ」


「もちろん」


 ここで生きのびれば世界平和は保たれる。

 もう賭けだ。


「冥土の土産に教えてあげる。魔王はすごいのよ? 人間界に数年まぎれこんであなたを観察していたらしいわ。あなたと私も会ったことあるのよ?」


 えっ?

 僕を観察? っていうか、フルーフと会ったことあるの? いつのまに……?

 怖くなって背筋が凍る。

 いやいや! 今はどうでもいい! デマかもしれないんだから!


「じゃぁね、勇者と天気神と……哀れな人」


 いつまでも愉快なフルーフの声色。

 そして一瞬で──冷気が広がった。

 さっきの寒さと比べものにならない。凍てつく寒さってやつだ。

 あぁ、どうしよう。ついに僕も終わっちゃう。

 寒い寒い寒い!

 体のいたるところがジンジン痛む。

 息も冷たい。ダメだ。思考が回んない。


「レン……さん」


 横からは弱々しいミランスの声が聞こえる。

 ミランスは殺しちゃいけない! 絶対守らなきゃ! 生かせたいんだー!

 僕は最期の力を振り絞ってなにかないかとリュックをあさる。

 そして、



 ────コトン



 僕のリュックから超酷寒を終えるものが落ちる音が聞こえた。

 めっっっっっっっっちゃくちゃ遅れましたね。

 すみません( ノ;_ _)ノ

 謝っといてなんなんですが、5月は忙しくなるんで投稿遅れる日がかなーりあると思われます。

 楽しみにしてくれてる人(いねーよって思ってるかもしれませんが数人いてくれてるんです。ありがとうございます)すみません。

 よろしくお願いします(。-人-。)

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