第二十六話 レンの服
ついてきてと言われ、僕たちがついたのは一軒家だった。
でも普通じゃないのが、全部氷で出来てる。
もう……全部。屋根も煙突も壁も。
やっぱり異世界なんだなぁ。
しみじみ実感。
そして、ここら辺はなぜかマンションやアパートが多くって、今ついた一軒家がホント新鮮に感じられる。
「ここはどこ?」
「あたしの家よ。喜んで入りなさい」
ルロがいつものように冷たく言い放つ。
喜んで入りなさいって感じ悪っ!
ルロがついてこいって言ったのに!
そんな態度でよく喜べると思ったね。
……まぁ、例外もいるけど。
横にいるミランスに目をやった。
「わーい! ルロちゃんのお家だー! 楽しみだなぁぁぁぁぁっ!」
ルンルンスキップしてルロのほうに向かう。
スーパーポジティブだな。
ある意味ミランスがうらやましいかも。
「じゃぁ、おじゃまします」
中に入ると外観同様全部氷で出来ていた。
床もベッドも証明さえも氷。
家の全体が青くて目を悪くしそうだ。
不思議なのが、この家寒くないんだよね。
暖房をつけてるわけではなさそうなんだけど……。
まだルロが炎の塊をあててるのかな?
「この家の氷は冷気を吸い取ってくれるんですよ」
首をかしげる僕にミランスは優しく教えてくれた。
なるほど、そういうことか。納得。
冷気を吸い取ってくれる氷って便利だねぇ。
ツンドラの人のお土産にしたいくらいだよ。
「コレ。着ていいわよ」
ルロから差し出されたのは『冒険者セット』と書かれた袋。
その中には服が入っていた。
僕がめっちゃ好きそうなやつ。
……ごめん。ちょっと取り乱す。
「ふぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
「「うるさい」(です)」
いやいやいやいや!
だってすごいんだよ。
全体的にダボッとしてるんだけど、それが良くって!
マントまでついてるし!
靴もブーツみたいな感じでカッコいい!
これは僕の大好きな冒険ゲームの服装じゃありませんこと?
いや~、すごい! すごすぎるよ!
「なんであいつは興奮しているの?」
「よくわからないけど、多分そういうお年頃じゃないかな」
「厨二か」
「高二病になってもおかしくないのに……」
「精神がおこちゃまなのね。かわいそう」
「勝手に人を哀れむなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「「うるさい」(です)」 (二度目)
だってぇ……。
少しくらい喜んだっていいじゃん。
異世界の人には普通の服かもしんないけどさ、僕にとっては超カッコいい冒険着だよ!?
しかもゲーム好きのファンからしたら二倍も興奮する性質なんだよ!
そりゃ興奮しちゃうのも仕方がないよね。うん(正当化してます)。
「レンさん! 着てみてくださいよ」
ミランスに進められて、この服を着せてもらった僕の姿を妄想した。
……うへへっ。案外似合っちゃうかも。
ニヤニヤ。
「し、仕方ないなぁ」
素っ気なく返したけど、内心ニヤつきながら着替え部屋に移動した。
えヘヘっ。
僕もこんな服を着せてもらえるなんて、幸せ者だな。
勇者のお供最高!
ニヤニヤしてズボンを履いていると
「素っ気ない態度とってたけど、意外と乗り気だったわね」
隣からルロの声が聞こえてくる。
「ルロちゃんもそんな感じだよ」
「は、はぁ? あいつと同類なんて死んでもお断りだわ」
「死んでも……? やってみなきゃわかんないよ?」
「………えっちょっ! わー! ミランス! やめなさい! 剣をしまって!」
ははっ。はたから見たらこのやり取り面白いな。
現場にいたらちょっと大変だけど……。
「……あいつ遅いわね」
ルロがため息まじりのうんざり声で言う。
「そうだねぇ。ルロちゃんさみしいの?」
「は? そんなわけないでしょ」
「素直になればいいのにー」
ホントだよ。ひねくれてて困っちゃう。
素っ気ない態度取っちゃってさ。
「ん?」
……素っ気ない態度?
僕もさっき……。
「レンさぁぁぁぁん! 着替え終わりましたかー?」
「うぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ」
ミランスが勢い良くドアを開けてくる。
ドアが顔に当たりそうな威力だ。
「僕が着替えていたらどうするの! 痴漢で逮捕されるところだよ!」
「えへへ。ごめんなさい! でも着替え終わってるので問題なしですよー!」
なはは、と笑うミランス。
こりゃ絶対反省してないわ。
思わずため息をつく。
「……それにしてもお似合いですね! その服、レンさんのために作られたんじゃありませんか? それくらいお似合いです」
「そうかなぁ……。ふふっ。僕が冒険者ねぇ、えへへ」
普段はあまり褒め殺されない僕でも今日はニマニマ、ニヤニヤしてしまう。
やっぱり冒険者なのかぁ、僕。
ゲームでしか冒険者になったことなかったのにまさかホントになれちゃうなんてねぇ。
エヘヘ~。
「鼻の下が伸びてるわよ」
「!?」
水を差す人が現れた。
相変わらずの嫌みたっぷり口調だ。
「別にいいでしょ!」
「あんまり浮かれ過ぎちゃダメよ。バカが余計バカになるわ」
ムキー!
「バカって言ったほうがバカなんだよ? そんなことも知らないの?」
「なにその幼稚園理論。ホントにバカなんじゃない?」
「レンさん間違ってます。バカって言った人は……………カバと結婚するんですよー!」
………………。
僕とルロはあきれ眼で顔を見合せる。
「「バカ」」
「なぬ!? 二人とも、カバと結婚………! そんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
本気で頭を抱えだしたミランス。
……天然こっわ。
「……はっ! でも安心してください。レンさんとルロちゃんが結婚すれば解決です! わー! わたしって天才」
「「バカぁぁぁぁぁぁぁぁ! カバと結婚したほうがマシだわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」」
「またバカって言っちゃったー! 二匹のカバと結婚だぁぁっ!」
どーしよー、どーしよー! と部屋を走りまわる。
うるさいうるさい。
家が壊れるよ?
「あ、壁に穴が開きました」
ほ~ら~、言ってるそばから……。
床に壁の破片がボロッと落ちてる。
「あーもう! どうしてくれるのよ。あたしのハウスなのよ!」
当たり前だけどルロはカンカン。
そんなルロの視線に追い詰められたミランスはうろたえる。
「え、あ、うぅ。は! 大丈夫です。この責任はレンさんがとります! ですよねっ?」
「なんで僕?」
「なんでってわたしのお供だからですよ。レンさんっておかしいですね」
「真顔で堂々とそんなこと言えるミランスのほうがおかしいよ」
……と言いつつも壁の破片をバッグに入れとく。
僕って優しいな。そう思っておこう……。
「ごちゃごちゃ言ってても始まらないわ。行くわよ」
ルロが采配を取ると、ミランスは顔をブンブンとシェイクさせたのでした。
あぁ、もう。女子についていけないよ。
はい! どーも風音です。
今日は宣伝があります。
『桜馬』さんっていうわたしの友達がいるんですけど、そのコが小説家になろうを始めました!
わーっ。(*’ω’ノノ゛☆パチパチ
タイトルは『僕の親友、スパイです!』っていいます。
タイトルを聞いただけでも面白そうですよね。
……ですよね?
ではでは、風音も桜馬さんもよろしくお願いします。




