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第二十二話 自分から

「すまない!」


 土下座を僕に向けているのは、まさかの王様。

 ふっかふかのカーペットに頭を擦り付ける、なんてことまでしている。

 いつもの僕なら「頭を上げてください」ってオロオロすると思う。

 でも今日は違う。

 ミランスや他の人を傷つけたんだ。

 しかも、死ぬかも! っていう恐怖を感じるところまで。

 それはそう簡単に許しちゃいけないと思う。


「わしのせいで……。ホントにすまないことをした」


 純粋に誠意を感じられる王様の姿を見て僕たちは顔を見合せる。


⦅どうする?⦆


⦅どうするって、どういうことですか?⦆


⦅王様を許すかどうか。僕は二人がいいなら許すけど⦆


⦅オレはそんなに被害にあってねぇからオレの決めることじゃねぇ⦆


⦅わたしも………許します⦆ 


 アイコンタクトで相談。

 それが王様にも伝わったのだろう。キラキラうるうる僕たちを見つめてる。


「許してくれるのかっ?」


「……はい」


 パァッと顔を輝かせる王様。

 まぁ王様も一応被害者だし…ね。

 だからといって盗みをするのはよくないけど。

 そんな僕の心を読んだのかミランスがゴホンと一つ咳払い。


「わたし──勇者から、そしてあなたの娘として命令があります」


「な、なんじゃ?」


 ミランスの真剣な面持ちに王様は圧倒されている。

 その光景は父と娘の立ち位置が逆転したようにも見えた。


「償ってください。……わたしは平和な世界にしなくてはなりませんし、平和な世界にしたいのです。なので平和な人でいてください」


「へ、平和な人?」


 王座の間にクエスチョンマークがとびかう。

 ……が、ミランスはお構い無しに進めてく。


「どんな人が平和かも自分で考えてください。そしてそれを実行してください。そうすれば平和な世界が近づきます」


 なんかちょっと宗教を布教している人っぽいけど……、ミランスが真面目に言ってるしバカにするのはよろしくないよね。


「しかし、じゃ。わしが平和な人になったところで周りが平和になるとは限らんだろう?」


「あなたが平和でいるのといないとでは、どちらが平和ですか?」


 王様はハッと息を飲んだ。

 そうでしょう? とミランスは笑う。


「ここにいる兵士さんたちにも言っておきます! 平和な世界を望むのなら、まずあなたが平和になってください。不幸な世界を望むのなら、あなたが不幸になってください」


 ミランスは一礼して僕の隣に並んだ。

 そして筋肉野郎がコソッと


「さっきのもっとわかりやすく説明してくれねぇか? オレ頭がピーマンで……」


 頭がピーマンって死語な気が………。

 そうツッコもうとおもったら、王様が僕の方を向いた。


「レンさん、少しキミと話したいことがある」


「ゑ?」


「いや、二人で話したいのだがなぁ。ミランス、兵たちと出てくれ」


  ドッキーンッ!


 二人っきりぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?

 叱られるのかな?

 僕、なにかしたっけ?

 えぇっと………。

 ぐるぐる頭を回転させてもなんもでてこない。

 体はもう冷や汗ダラダラ。

 心臓がガコガコ言ってて、もうヤバい。


「さきほどはすまなかった」


 再度頭を下げる王様。


「い、いえいえ」


 人のいなくなった大きな大きな部屋には王様と僕の声だけが響く。

 王族と庶民の二人ぼっちという居心地の悪さは尋常じゃない。

 きっとこの状況は最初で最後だろう(と思いたい)。


「僕にお話というのは?」


 僕のびくびくメーターは100に達してるけど、平静を装おう。


「あぁ、それがじゃなぁ」


 王様は座っている玉座の後ろに手をやった。

 そしてなにか、ガチャガチャのカプセルみたいな丸いものをとりだし、僕に見せた。


「コレをあげたいのだ」


「なんですか、コレ?」


 僕の両手にソッと置いて王様は少しためらうような表情をした。

 そういえば昨日、僕に渡したいものがあるって言ってたなぁ。


「コレはだなぁ……魔法具みたいなものかのぅ? レンさんはここの世界の住人ではないじゃろ? だからお前がもとの世界に帰るためにコレをやるんじゃ」


 王様はにっこり微笑んだ。

 それは偽善でもなんでもなく、心の底からの微笑みに見えた。


「使い方は簡単じゃ。その球の割れ目を割れば良い」


「あ……ありがとうございます」


 僕は頭を下げた。

 ただ、一つ違和感がある。


「どうして……僕にくれるのですか?」


 わざわざこんなことしてくれなくてもいいのに。

 王様の優しさがナゾだ。


「レンさんは全然大丈夫って言ってくれたけどなぁ、わしはちと心配なんじゃよ。ムリにやらせてるんじゃないかと」


「いえいえ、そんな。僕もなんだかんだ楽しませてもらってます」


 ミランスが面白くて退屈しないんだ。

 それにちょっとだけど『勇者』っていう厨二心をくすぐられる体験ができてワクワクしている自分がどこかにいる。

 もしかしたらけっこう僕、非日常はイヤイヤ言っときながらも楽しんでいるのかもしれない。


「あ、でも魔王討伐は初めて聞きました」


 さっきミランスがサラーッと言ってたけど、重要な話だよね!?

 僕の言葉を聞いた王様は右手で顔をおおった。


「あいつ、やっぱり言ってなかったのか…………」


 まったく、とため息する王様。

 ……僕も心から同感ですよ。

 僕の呆れた表情を見て王様はうなづいた。


「では、わかった。その話を教えよう」

 遅れましたすみません( ノ;_ _)ノ

 春休みに入りました。

 いやー、楽しいホリデーが始まりましたよ!

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