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第十九話 黒幕

 待て! 待て! 待て!

 どこに行ったんだろう?

 探しても探しても見つからな

い。

 あーもう! どこだよー!


「別れて探しましょう! わたしは王様の部屋に行きます」


「うん、わかった」


 二人でうなずいて、別々のほうへ走り出す。

 ……それにしても、王様はどうして盗みなんてしたんだろう? 

 あの人は盗まなくったってあまるほどのお金はあるよね。

 うーん。マンゴープリンを盗むのもナゾだし。

 ただひたすら不思議だ。


「オーケーです。十分ですよ」


「そうですか、よかったです」


 ん?

 執事の部屋から話声が聞こえる。


「これで息子の命は救われますかのぅ?」


「えぇ。しかし………」


 王様と執事の声だ。

 部屋に入らず壁に耳を当てて盗み聞き。


「もしかしたら、また必要になるかもしれません」


「そんな!」


「大丈夫です。それに、息子さんのために盗みまで頑張る王様は素敵ですよ」 


「ふぉっふぉっふぉ。またまた調子の良いことを言いよって」


 ………執事は王様が犯人だということを知っている?

 だから僕を疑うようなことを言って、犯人を僕にしようとしたのかな?


「そういえば…………。レンさんはどうるのだ?」


  ドキ!


 ここで自分の名前が呼ばれるとは思わなくて肩がビクっと上がる。


「レン様は島流しにしましょう」


「えっ!?」


 僕、島流しにされんの?

 ウソでしょ~(涙)。

 いやだよ! まだゲーム全クリしてないのに~!


「ミランスのお供はどうするのだね?」


「再度抽選しましょう」


 そんなぁ! 

 それじゃあこの話のタイトルが『再度抽選をすることになったので勇者のお供になりませんでした』になるよ!


「ミランスにはどう説明するのだ?」


「レン様は死んだ、と伝えます」


 ぎょぎょぎょっ!

 なんだそれー! そんな物騒なこと考えてるの?

 っていうか、執事が考える間もなく言ってるのがさらに怖いんですけど。

 もしかして、執事と王様はグル………?


「そうだなぁ。しかし、わしはレンさん好きだけどのぉ」


「しかたがありません。息子さんのためです」


 聞いてて思ったんだけど、息子さんってダレ?

 息子さんがなにかしたの?

 息子さんってミランスのお兄ちゃん?

 浮かび上がってくるたくさんのクエスチョンマーク。

 あああ! もう! こういうときに限って説明してくれるミランスがいない。


「息子は……生きておるのならそれで良い」


「すばらしい! ミランスさんも喜びます」


 ………ん?

 なんか、少しヘンな違和感。

 ミランスのことは名前で呼ぶのに、息子さんは名前で呼ばないんだ。

 ヘンな感じ。


「レンさん、お元気ですかー?」


「うわぁ!」


 ビックリした。

 気がついたらミランスが僕の横にいた。


「神出鬼没だよ! っていうか、さっきまで一緒にいたんだから僕が元気なことくらい知ってるでしょ?」


「えへへー。言われてみればそうですね」


 えへへーじゃないよ!

 島流しされる前に僕がドッキリ死にしたらどうするの。


「………で、レンさんは進展ありましたか?」


「あ、うん。まだ推測の段階だけど、執事と王様はグルで二人は息子さんのために盗みに働いたみたいなんだ」


「ホーホー」


 フクロウか………。


「執事もグルなんですね。結構ガッカリです。……でもいいですか? カッとなって飛び出しちゃだめですよ」


 そう言って、「はぁ」と肩を下げるミランス。

 信頼していたお父さんと執事から裏切られたようなものだもんね。

 そりゃぁ、ショックだよ。

 下手したら息子さん──ミランスのお兄ちゃん(or弟)もグルかもしれないし。

 ……ん? あれ?

 もしかしたら、重大なことに気がついたかもしれない。


「ミランスって………お姉ちゃんがいるって言ってたよね?」


「そうですよ?」


「ミランスの家族に男の子っているの?」


「はい、そりゃ…………!」


 ミランスはハッと息を飲んで急に笑い顔を青ざめた。

 う、ウソでしょ?


「わたし、お姉さましかいません」


 おぃぃぃぃぃぃぃ! どうしてそれに早く気がつかないんだぁぁぁぁぁぁっ!

 家族でしょ! わかるでしょ!

 もう驚きでなんも言えないよ。

 いやー、天然恐ろし!


「もしかしたらですけど…………お父様も気がついてないかもしれません」


「えぇぇぇぇぇぇっ!」


 家族そろってなんなんだー!

 ミランスのボケは父親譲りなのかい?

 はぁ。遺伝って怖っ!


「執事は?」


「信じたくありませんが、気づいていると思います。多分、黒幕でしょうね」


 そんな!

 執事はもう典型的な悪党じゃん。

 さてさて、どうしよう。また録音かなにかして、論破してやろうか。

 それとも、兵士たちを連れてきて幻滅させようか。


「どうする?」


 僕は隣にいるミランスに聞いてみた。

 しかし、返事がない。

 ま、まさか、あの有名な『返事がない。ただの───(以下略)』かな!?

 ………いえいえ、なんてことはあるはずもなく、ミランスは僕の横にいなかっただけだ。

 いや、もっと言うと扉の取っ手に右手をのせていた。

 おいおいおいおいおぉぉぉぉぉぉぉい!

 ヤな予感しかしないぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!


「み、ミランス! 早まるんじゃない!」


 …………残念!

 僕の想いは届かなかったらしい。その証拠に


  ドン!


 ミランスの勢いをつけて開けた扉がギコーギコーとゆれている。

 もちろん部屋の中の二人もこっちを見てキョトンとしてる。

 あーああ………。僕の頭に『END』って浮かび上がっているんですけど。


『カッとなって飛び出しちゃだめですよ』


 って言ったのダレよ! キミでしょ!?

 僕はもう見てられなくって両手で顔をおおった。

 ミランス&王様ぁぁぁぁ! とツッコミばっかりのかいでした。

 いやー、ね? 書いてて怒鳴る(?)っていうか叫ぶっていうか、そーゆーシーンが多くてなんかスッキリしております。

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