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第十八話 犯人を言おうじゃぁ、ありませんか!

「はっはっはっは……」


 走ってる。僕は走ってる。

 ───犯人のいるところへと。


「レンさん待ってください……」


 ミランスもよろよろ走ってついてきてくれる。

 ふふっ。

 もしかしたら今ミランスより速いかも。

 そういえば、僕ってピンチのときめっちゃ足速くなるよね。

 僕の才能かな?


「ついた!」 


「れ、レンさん……ゼェゼェ………こ、ここ……です……か?」


 少し遅れてミランスがやってくる。

 荒い息をはきながら、信じがたいものを見るような目で犯人のいる部屋の扉を眺めた。


「うん」


 うなずくと同時に扉を開けた。

 そこは、廊下にあるカーペットが延長されてしいてある。

 何百何千と整列している兵士たち。

 奥に座っている王様。

 …………ここはただただ広い王座の間だ。


「失礼します」


 僕はお辞儀をして王様の前へ向かった。

 後ろからミランスがついてきてくれている気配を感じる。

 ………今回は、ビクビクせずに入れたぞ!

 心の中で一人ガッツポーズ。


「三十億円とマンゴープリンを盗んだ犯人はこの中にいます」


  ザワザワ


「ウソだろ」


「お前か?」 


「んなわけあるか!」


 兵士たちがヒソヒソと犯人探しを始めた。

 恐怖心で探している、というよりかは好奇心で探しているように見える。

 これが人間の怖いとこだよね。

 僕は兵士が黙るまでなにも言わなかった。なぜなら、

 …………はい! みなさんが静かになるまでに30秒かかりましたー。30秒は1分の半分ですよー?

 これが言いたかったのである。


「ゴホン。ではレンさん、教えてくれますか?」


 目の前にいる王様が訪ねてくれる。

 およ? 王様興味をもっていただけるなんて、意外だなぁ。


「わかりました」


  ドキドキ ドキドキ


 当たってるよね?

 今更だけど不安になってきた。

 でも大丈夫だよね。ミランスにも協力してもらったんだから。

 千葉連、自分を信じろ!


「………犯人はあなたですよね?」


 僕は一息ついた。そして、


「王様!」


 びしぃっと彼を指差した。

 周囲がざわつく。


「え? わしが犯人? なにを言っておられる?」


 王様は「?」と首をかしげる。

 周りの兵士たちが僕に殺意の視線を向けているのがわかった。

 ふん! しらばっくれても、僕には通用しないんだから!


「根拠はあんのかよ?」


 兵士から声が飛んできた。

 あるにきまってるよ!

 僕が言い返そうとすると、どこからか嗤い声が聞こえた。


「へっ!。ヘンなこと言っちゃって。こんなとんちんかんが言い返せるわけないでしょ」


「それな~! こいつが抽選でミランス様のお供になるとか、ミランス様がかわいそすぎで笑えてくるわ」


 イラッ。

 兵士たちの心ない言葉に気分を悪くする。


「ミランス様、こんなへっぽこがお供に選ばれてすみませんねぇー。ハハッ」


 いちいちイラつくなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!

 僕は兵士たちを睨み付けた。

 兵士たちはそんな僕の顔を見てニヤリとする。

 ……あぁ、わかった。

 この人たちは僕がうらやましいんだな。

 ミランスはかわいいし、優しいし、なんだかんだ言って一緒にいて楽しいし、人気者じゃないわけがないんだ。

 そんなミランスのお供になりたい人なんて星の数いるよね。

 なのにこんな平々凡々な僕が選ばれたのは………彼らにとってどんなに悔しいことだろうか。

 例えるなら…………ほら! あれだよ。

 超人気女優が一般男性と結婚するみたいな。

 ま、僕は悪くないよね。

 モテるミランスが悪いんだから。

 (※レンくんは責任転嫁をするクセがあります)


「………えぇっと、嫉妬に狂った醜い人たちはおいておきますね」


「嫉妬に狂った醜い人……………」


 僕の言葉に場が静まった。

 ふっ。やられてやーんの!


「ゴホン、では、王様。これをお聞きください」


『昨日の夜、怪しい人見ませんでした?』


『怪しい人? 怪しい男なんて見ておりませんぞ? わしは昨晩、庭の花に水やりしていたんだものなぁ』


 僕はスマホの録音を再生した。

 実はミランスが固めた声をスマホで録音したんだ。

 録音を録音するってことかな。


「これは、あなたが言ったことですよね?」


「そうじゃよ」


 王様はためらうことなくうなずいた。

 

「では、ひとつ」


 僕は王様を見つめた。

 王様は焦る表情をまったく見せていない。

 演技が上手だな。


「……昨日の夜の天気を覚えてますか?」


「えぇ……と、雨でしたかの?」


「その通りです」


 よしよし。認めてる。


「そうすると、おかしくありませんか?」


「なにがです?」


「王様は、雨の日に花の水やりって………おかしいと思いませんか?」


「はっ…………!」


 わかりやすく動揺しだす。

 ふっふっふ。

 こういう思ってることが顔にでるのもミランスに似てるなぁ。


「もうひとつは、」


 僕は王様をしっかり目でとらえた。

 絶対に逃がさない、と。


「質問を思い出してください。僕らは『昨日の夜、怪しい人見ませんでした?』と言いました」


「知っておるぞ」


「あなたは、こう答えましたよね。『怪しい人? 怪しい男なんて見ておりませんぞ?』と」


「そう、見てないのだよ」


「そうですか。では、ナゼ『怪しい人を見てませんか?』と言う質問に『怪しい()なんて見ていない』と答えたのですか? 犯人が男性だなんて見ていないのにわかったのでしょうか? それは、」


 反論すらでてこない。

 さっきまで僕を疑っていた兵士たちも、みんな王様を怪しんでいる。


「それは! 三十億円とプリンを盗んだのが………」


「プリンではなく、マンゴープリンです」


 どっちだっていいでしょ!

 僕の名場面を壊さないでおくれ!


「………えぇっと、それは! 三十億円とマンゴープリンを盗んだのが王様だからじゃありませんか?」


 王様を再度びしぃっと指差す。

 き、決まったぁぁぁぁぁぁぁっ!

 平静を装うけど、内心ニヤニヤしちゃう。

 いや、もしかしたら顔にもでてるかも。


「うぐっ……………、わしは…………してない!」


「では、しょーこあるんですか?」


 ミランスの温度のない瞳。

 呆れているのだろうか?

 軽蔑しているのだろうか?

 ただただ冷淡に王様を見てる。


「証拠は………ない!」


  ダッ


「「あっ!」」


 王様が走ってこの部屋から姿を消した。

 まったく! 往生際が悪いなぁ!

 いやー、王様が犯人だったとは……。

 わたし結構王様のこと気にいってたんですけどねぇ。残念!

 で、でも! まだ確実に犯人だと決まってないからね!

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