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第十六話 ワトレン

 …………はぁ。

 ミランスに連れてかれて、聞き込み調査をすることになってしまった。

 まったく。いい迷惑だよ。

 まぁ、いいさ。ここに泊めてもらってる代金みたいなものだ。


「レンさーん、もうちょっとやる気だしてくださいよ」


「お腹すいてるんだもん…………」


「なに言ってるんですか! わたしは令和のシャーロック・ホームズ、レンさんはワトソンなんですよ! しっかりしてください!」


 なんじゃそりゃ。

 そんなの初めて聞いたよ。


「レンさん。ここの人に聞いてみましょう」

 

 僕が呆れているのを見もせず、ミランスは調理室を指差した。


  コンコン


「すみませーん、ミランスとワトレンです」


 ミランスの言葉と同時に僕らは調理室に入った。

 ワトレンって……………。

 中には、不安になるぐらい青白いやせっぽちの女の人がいた。

 だ、大丈夫かな? 学校にある骸骨の標本模型そのものみたいだけど………。


「ミランス、この人は………?」


「コックさんです。見た目はびっくりですけどすごく優しいんですよ。それに、なんと5つ星を持っているんです」


 へぇ! 5つ星!?

 5つ星って最高ランクだよね?

 意外とすごい人だったんだ。

 朝のカレーもこの人が作ったってことかな?

 どうりで美味しかったわけだ。

 うなずいてる僕を置いてミランスは質問を始めた。


「コックさん、あなたがマンゴープリン盗んだの?」


 単刀直入だね。

 しかし、コックさんは首を横にふった。


「そんなことするわけないですよ。ミランス様には私がするように見えるのですか?」


「見えない」


 即答。

 まぁ、そうだよね。

 こんなガリガリの人がやるようには思えないよ。


「じゃぁ、怪しい人は見た?」


 僕が聞くとコックさんは「あー」と上を見た。


「兵士の一人なんですが……………はい……………怪しいです」


 コックさんは青い顔をもっと青くした。


「その人はどこにいるの?」


「基本トレーニング場にいます」


 トレーニング好きの兵士さんかな?

 行ってみるか。


「「ありがとうございました」」


 僕とミランスはコックさんにお辞儀して調理室をあとにした。


***********************************************************


  がっちゃんがっちゃん


 トレーニング場についた。

 ここには一人男の人がいた。

 …………見るからにヤバそう。

 その人は上半身裸で、筋肉ムキムキのモヒカン男だ。

 なるほど、コックさんが顔を青くした理由がわかったよ。


「あのー、すみませーん」


「なんだい?」


 さすがのミランスも、じゃっかん引き気味だ。

 うん、ミランスの気持ち、よーくわかるよ。


「聞きたいことがあるんですが………」


「おうおう! じゃんじゃん聞いてくれ!」


「え、えぇ………と、三十億円とマンゴープリンを盗んだりとか…………しませんでした?」


「いや? オレ、そんなことしねーよ。マンゴープリンアレルギーだし。っていうか、三十億盗んだやつがいんのかい?」


 マンゴープリンアレルギーって初めて聞いたよ。


「はい。三十億円をがっつり盗まれたみたいです」


「盗んだやつ、すっげー度胸があるなぁ。オレも見習わないとだな」


 泥棒のことを見習うのはどうかと思うけど…………。


「じゃぁ、怪しい人とかは………?」


「うーん…………。見てないぜ。オレはここ最近、ずっとオレの愛おしい筋肉と二人っきりで密会をしていてね☆」


  ゾッ


 身震いがとまらないんですけど。

 …………聞いてなかったことにしよう。うん。


「あ、ありがとうございました」


 ミランスはそう言って僕を連れてここを出た。


「あの人、犯人ではなさそうだけど…………」


「別の意味で怪しいですよね」


 僕の言葉をミランスが続けてくてる。

 やっぱり…………そう思うよね。

 よくお城の兵士の選ばれたよ。


「聞き込み再開しますか!」


「ねぇ、ミランス。僕思うんだけどさ、いつ・どこで盗まれたかがわかんないと質問しづらくない?」


「確かにです! さすがワトレン!」


「褒めてるの? バカにしてるの?」


 そんな会話していると、朝の盗まれたことを報告してきた兵士がいた。


「兵士さん! 質問していいですか?」


「えっ? いいよ」


すかさず質問するミランス。

さすが勇者だ。


「盗まれたのってどこにあったものですか? そして、盗まれたのは何時ぐらいですか?」


「えぇーっとね。玉座の間にある金庫に入ってたんだよ。時間は…………よくわかんないんだ。ごめんね。でも、昨日の夜ご飯…………8時くらいまではあったと思うよ。ぼく、そこを警備してたから」


 玉座の間にあった金庫に入ってたんだ。

 …………マンゴープリンって金庫に入れるもん?


「あ、そうそう。金庫を開けられるのは王様とぼくと執事ぐらいだよ」


 …………直接的に開けられるのは3人ってことか。


「じゃぁ、ぼくは行くね」


 兵士はそう言って行ってしまった。


「う~ん。執事に聞きに行ってみますか?」


「そうだね。行ってみるか」


***********************************************************


 執事のいる部屋に行く途中。


「ミランス、なにをしておるのだ?」


 王様とばったり会った。

 相変わらずほのぼのしてる。


「犯人探しです」


「犯人探し?」


 王様、まだ知らないのかな?


「三十億円とマンゴープリンが盗まれたんです」


「えっ!?」


 王様はあまりにも衝撃的だったのか目をこれ以上ないくらい見開いている。

 そりゃそうだよね、三十億円なんて十円ガム300000000個買えるぐらいだもんね。…………ねー。


「昨日の夜、怪しい人見ませんでした?」


「怪しい人?」


 王様は僕とミランスの顔を交互に見た。


「怪しい男なんて見ておりませんぞ? わしは昨晩、庭の花に水やりしていたんだものなぁ」


 そっかぁ…………。


「ありがとうございました」


 僕たちはお辞儀して執事の部屋に向かった。

 うーん、やっぱり簡単には見つからないよね。


「「失礼します」」


「はい」


 そう言って出てきたのは執事だ。


「昨日の夜、怪しい人見ませんでした?」


 ミランスはお馴染みの質問をする。

 執事は「う~ん」と首をかしげた。


「昨日ではないですれど、あの筋肉野郎は常に怪しいと思いますよ」


 筋肉野郎…………。あいつか。

 あの人、みんなから不評なんだね。

 なんかそう思うとかわいそうな感じがする。


「他に怪しいと思った方は?」


「……………レン様とか」


 はぁ!?


「僕!?」


 なんでなんで?


「昨日の夜、なにしていたかの理由が怪しすぎます」


「そ、それは…………」


 …………ヤバい。ミランスにも不審な目で見られてる。


「どうなんですか?」


 執事の片メガネの奥がギラリと光る。


「僕は…………違うよ」


 反論したものの信憑性がない。

 悔しいなぁ。

 犯人じゃないのはホントなのに……………。


「執事。レンさんを信じよう」


 頭をフル回転させてるときに降ってきた言葉。

 ミランスが助け船をだしてくれた。

 執事も「ミランス様が言うなら………」と引いた。

 えっ! ミランスありがとう!


「その代わり、ちゃーんと推理してくださいね」


 推理するのはシャーロック・ホームズ役のミランスでは? と思ったけど黙っておいたのは言うまでもない。

 どーも、風音です!

 お元気ですか?

 風音はというと、今回はけっこう書いたので疲れております。

 ………プロから見たら少ないかもしれませんが。

 でも、頑張りました!(頑張っている人は自分で「頑張ってる」なんて言いませんよ byミランス)

 うぅ、ミランスから厳しい言葉が飛んできました~(T-T)

 まぁ………自称頑張りやさんにならないように、もっともっと頑張らないと………ですね。


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