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第十四話 ミランスとベッド

 よいしょ。

 僕はベッドに寝っ転がった。

 さすがはお城のものだ。

 ふっかふかのふわふわだ。

 でも、ふわふわしすぎて反発がないわけではなく、ほどよくかたい。

 枕も同様で柔らかいけど、ほどよくかたい。

 はぁー。いいなぁ、このベッド。

 僕がいつも寝てるベッドとは大違いだよ。

 もう、世界を救う旅とかやめて、このお城で暮らしたいー(野望)!


「レンさん、ダレの部屋だと思ってるんですか?」


 ヒラヒラのフリッフリのワンピースのようなパジャマを着たミランスに問いかけられる。


「ミランスのです…………」


 そう、泊めるところがちょうど今、現在進行形で荷物置き場になってて入れなかったんだ。

 だから代わりにミランスの部屋に泊めてもらうことになったんだけど…………。

 ミランスの部屋、やばいなぁ。

 いや、ものがあっちにこっちにあるとかそういうやばさじゃなくて、高級感ありすぎる!

 だってさ、廊下と同じクリーム色の壁に小さな丸い照明がいくつかあるのに、この部屋のど真ん中の天井にでっかいシャンデリアがあるんだよ?

 部屋自体も広いよ。教室一個分くらい余裕であると思う。

 暖炉までついてるし、部屋のはじの壁が一部ガラスになっていて外が見えるし、今いる僕のベッドも天蓋がヒラヒラしててもう、お姫様感だだもれだし!

 おとぎ話から飛び出してきたって言われても疑えない部屋だ。

 うらやましいよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!

 ベッドでゴロゴロまわる。

 もちろんのことベッドのヒラヒラが揺れた。 


「あんまり暴れちゃだめですよ! この部屋のなにかを汚したら洗わなきゃいけなくなります」


 ミランスが必死に僕に言うけど、なんでそんなに必死なのか不思議だ。


「なんで?」


 ミランスの家お金持ちだし、すぐキレイにできるでしょ。


「…………修理代はわたしのお金でだすんです」


「つまり、自分のお金を節約したいと?」


「違います」


 キッパリ告げるミランス。

 意外な態度で出てきてちょっとの間言葉を失う。


「わたしのお金の収入源はお小遣い。王様、すなわちお父様からもらってます。そのお小遣いはお父様のお給料なので税金です」


「あっ」


 千葉連は察してしまいました。

 ミランスは優しいんだ。

 気をつければしなくていいような支払を払いたくないんだ。

 その払ってるお金はみんなの働いたお金だもんね。

 きっと、みんなのためになるように使いたいんだろうな。


「…………わたし、税金だけで扇子をつくりたいんです」


 は?


「みんなの血に汗にじむ努力でできた扇子をつくりたいんです! これこそ努力の結晶! すばらしい!」


 目をキラキラさせて夢を語ってますけど……………僕、ちょっとガッカリしてますよ?

 ミランスには悪いけどこっそり呆れさせてもらったよ。


 言葉を失った僕と妄想モードに入ってよだれをたらしているミランス。


  ザーザー


 それぞれ自分のことで精一杯で一瞬沈黙ができる。

 部屋には雨の音だけが響きわたった。


「雨、すごいですねぇ」


 ミランスは窓を見てつぶやいた。

 うん…………、どしゃ降りとまでは行かないけど、けっこう降ってる。


「予言では、一日中晴れだったんですけど…………」


「まぁ、日中は晴れてたし」


 予言って……………。


「ま! 大丈夫です! わたしがいれば、みなさんの心は晴れ模様です!」


 イェーイとガッツポーズを決めるミランス。

 無邪気だなぁ。


「ミランスって何歳?」


「わたしですか? 今年で20です」


「20!?」


 ウソでしょ!

 ホントに言ってる?

 僕が16だよ? どう見たって僕とおんなじかそれ以下でしょ!

 言動が子供っぽすぎるんだよ!

 高校にも入れたくらいだし……………ね。


「レンさん、なにに驚かれているんですか?」


 わけがわかんない、と首をかしげる。


「いや、衝撃的で……………」


 寿命が3年ぐらい縮んだ気がするよ。


「?」


 相変わらず不思議そうな表情のままミランスは僕に寄ってきた。

 なにか持ってきてるみたい。


「そういえば、これ、レンさんのですよね?」


 そう言ってつきだしてきたのはリュックだった。

 僕が高校に持っていってるやつ。


「あ、うんそうだよ。よく見つけたね」


「前世が犬なので!」


 ミランスの言葉はムシして、ごそごそ中身をあさってみる。

 えぇと……………。

 スマホでしょ、ハンカチ・ティッシュ、読みかけの本、水筒、5教科の教科書とノート、財布(5万入ってる)、折り畳み傘。

 うーん。役立つのかコレ? みたいなものばっかりだけど…………。


「わーっ! かわいいですね!」


 ミランスが僕のリュックについていたストラップを手に取った。

 中学生のときに修学旅行で京都に行ったときの八ツ橋をモチーフにしたキャラクターだ。


「ミランス、コレいる?」


「えっ! いいんですか!?」


 僕はストラップをとってミランスに渡した。

 ミランスはパァッと顔を輝かせた。


「ありがとうございます! 宝物にしますね! 名前は…………もちもちなので……………もっちー! よろしくお願いしますね、もっちー」


 彼女はそう言いながら八ツ橋のストラップ───もっちーに笑いかける。

 かわいいなぁ、ミランスのことをそう思ってしまった瞬間、


  ぎゅっ


 胸を優しくしぼられるような感覚におちいった。

 そして、全身が温かくなった。

 …………温かくなったどころじゃない。熱のときみたいに汗かいてる。

 うぅ………。なんか僕、最近ヘンだよ。

 そんな僕に追い討ちをかけるような出来事がおこった。


「わたし、もう寝ますね」


 ミランスはそう言って僕の隣に寝っ転がった。


「スースーzzZ」


 寝るの早いなぁ。 

 僕はミランスの寝顔を見た。

 幸せそうな顔をしてる…………。

 ふふっ、癒しだな。

 僕はミランスに布団をかけた。

 そして、ジャマしちゃ悪いなぁと思い、ベッドを出ようとしたら


  ギュッ


「待ってくださぁい……」


「えっ!?」


 ミランスが僕の腰を抱きしめていた。

 目は瞑ってるから寝てるみたいだけど…………。

 寝ぼけてるのかな?

 なにが起こってるんだろう…………。

 ハラハラ(;゜Д゜)


「レンさぁん」


 寝ぼけてるんだよね?

 ミランスの寝顔を再度見ると、いつもみたいな優しい表情をしていた。

 それに加え、あまりにも無防備な姿に『守ってあげたい』という欲求がお腹の下から沸き上がってくる。

 あ、あぅ………、そんな顔しないでよ…………。

 ミランスは寝相で僕に近づいてくる。

 うわーっ! やめてよー!

 顔がなんかめっちゃ熱いんだけど! 

 バックンバックン心臓もうるさいし。

 もしかしたら心臓の音がミランスに聞こえちゃってるんじゃ…………?

 心配になってまごまごするけど、そんなわけない! と信じてミランスを見た。

 ミランスは目を閉じて口をモゴモゴさせた。

 そして


「いつも……あり、がと……」


 あっと思ったときにはもう遅かった。

 理性が壊れたのだ。

 ミランスの頭を撫でていた。

 僕がミランスを一番に守りたい。

 ミランスには一番頼りにしてほしい。

 そんな感情でいっぱいになった。

 ミランスの頭から香るシャンプーの匂いが僕の気持ちを煽ってくる。

 あぁ…………よかった。

 勇者(ミランス)のお供になれてよかった。

 よかった。勇者のお供に………。

 勇者…………。

 …………………………………………!


「勇者!?」


 わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!

 なにやってるんだ僕!

 勇者、兼王様の娘になんてことを…………!

 真っ赤だった顔がみるみる真っ青になってく。


「あ、ぅ、うぇ、うぅー」


 どうしようどうしよう!

 もうナゼかダレからかもわからないけど、逃げなきゃと思い部屋を出た。

 うぅぅ、僕は悪くない! 無罪だ!

 ミランスがあんなにかわいいことするからだー!

 そう思い込もうとしていると、


「はい、わかりました」

 

 スタッスタッ


 ダレかの声と気配がした。

 わっ! ダレか来る!

 僕は怪しまれないよう、すぐにミランスの部屋に戻った。

 ミランスよぉー、あんなデレ方はないぞー。

 ずるいずるい!

 ミランス、あざといことやってんのに鼻につかないのがうらやましい。

 …………ミランスと入れ変わりたいです

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