第十三話 玉座の間にて
大きな庭の中にはアニメでしか見たことのないような馬の形をしたバラの木とか、さっきも言ったけど、おっきな噴水とか…………。
しまいにはミランスみたいな人の銅像まであるし!
………………もう、僕がここに入っちゃっていいのか身がすくむばっかりだよ。
「レンさーん、早く来ないと怒られます
よー」
「わ、わかってるよー」
ミランスがお城の入り口にいるのに対して、僕は庭の入り口付近。
我ながら情けないよ。
ああああああああっ。
もうどうにでもなれぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!
僕はおもいっきりミランスの方まで走って行った。
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「遅かったですね」
「すみませんでしたね」
僕は生まれたての小鹿のようにガクガク震えてるのに、全く動じていないミランスを見ると、その能天気さにイライラしてしまう。
まったく! 僕の身にもなってよね。
はぁ。
……………それにしてもすごいなぁ。
今いるところは廊下なのに、レッドカーペットがひかれているし。
しかも照明が全部シャンデリアとか、どういうことでしょーか?
クリーム色の壁が、シャンデリアの光りに当てられ、キラキラ輝いている。
一定の間隔で設置されている窓からは、さっき僕がいた庭が見えるた。
下からじゃわからなかったけど、庭にある並んだ低木は花の形をつくってるみたいだ。
こんなにも豪華なのにしつこい感じが全くしないのがとっても不思議だよ。
「王様はここの部屋です」
ミランスの指差す方には僕の2~3倍くらいの真っ赤な扉があった。
…………うぅぅ。僕はここに入ったらどうなるのだろうか。
「あっ、一応言っておきますけど、お城の兵隊さんは全員ここを警備しているので、ヘンなことしたらレンさんの人生は終わりますよ」
「うぇっ!?」
最後の最後になんてことを言うんだ!
あぁぁっ。もうひたすら祈るしかない。
アーメン。
ババン
ミランスが怖じけつくことなく扉を開けた。
ワーオ。地獄への扉が開いちゃいましたよー。
扉の向こうには玉座の間ってゆうのかな?
よくゲームとかにある王様が座っている大きな部屋があった。
もう、めっちゃでかい。
教室が何百個あってもすっぽり入っちゃいそう。
部屋の両わきに兵隊がビシーッと並んでる。
その奥には冠を被った男の人が大きな椅子に座っていた。
多分王様だよね。
すごいなー。
ホント、ゲームでしか見たことない状況だよ。
ちょっとゲーマーとしては興奮してしまう。
「王様! ただいま参りましたーっ!」
元気よく王様の前へひざまずく。
ちょっ! まって!
僕も慌ててミランスの隣に駆け寄ってひざまつく。
床についた方の足がカーペットについてふかふかで気持ちいい。
僕は頭を下げた。
「ようこそ、レンさん。そしてミランス」
上から低い声が降ってくる。
意外と優しそうだ。
思わずほっとする。
「コンニチハっ! ちちちちちち千葉連です! よろしくお願いいたします!」
顔を上げて王様の顔を見る。
白髪が少し混ざった茶髪。
ふっくらした顔。
少しシワッとした頬。
ミランスと同じコバルト色の瞳をしていた。
例えるならサンタさんみたいだ。
声と同様優しそうな感じだ。
「ふぉっふぉっふぉ。元気ですなぁ。まぁまぁそう固くならなくても大丈夫ですよ」
ニコッ。僕に微笑みをくれた王様。
……………この優しい笑顔、ミランスに似てるかも。
やっぱり血は争えないんだなぁ。
「レンさん。今回は我々のためにはるばる遠いとこからありがとうございます」
僕に頭を下げる王様。
それと一緒に頭を下げる兵隊たち。
見ればミランスも下げてるし!
………………わ、わーっ!
一般ピーポーの僕が、すごい人たちの頭を下げさせてるー!
なんか申し訳なくなってあたふたしてしまう。
「い、いえ恐れ多いですよ!」
僕が急いでブンブン手と首を横にふる。
「……………ふぉっふぉっふぉ。そういう控え目なところ、わしは好きですぞ」
えぇぇぇぇ!?
なんか、めっちゃ褒められまわされてるけど、どういうこと!?
もしかして、僕を試してる……………?
どうしよう!
横にいるミランスを見ると呆れたように息をついてた。
「王様、からかうのはどうかと思いますよ」
「ふぉっふぉっふぉ。そうですなぁ、からかうのはよくないでありますなぁ」
呑気に言う王様。
その姿を見て、驚きと怒りで力がぬける。
「まぁ、全部本音じゃがな」
……………………!?
もう、なにを信じたらいいのかわかんないよ!
「レンさん、すみませんね。娘のわたしが謝ります」
「い、いえいえ。気にしてません」
なんかここにいると、ミランスがすっごく大人っぽい雰囲気だ。
しっかり者ってオーラが漂ってる。
王様の前だからかな?
それともお父さんの前だからかな?
「レンさんは…………いいんですかい? 世界平和につきあわせて」
「あっ! はい。全然大丈夫です」
僕がうなずくとミランスは不思議そうな顔をした。
「あれ、レンさん? わたしと関わりたくない、みたいなこと言って………………」
「と、いうことで王様! よろしくお願いします!」
冷や汗たらしながらミランスの言葉をさえぎった。
ミランスー! 余計なこと言うんじゃないよ!
ちょっとだけ兵隊の方からいや~な視線を感じるから。
「そうかい。それはよかった」
にっこり僕を見る王様。
ふう、なにも怪しんでない。
「そうだ! 悪いんだがのぅ、レンさんに渡したいものがあるんだよ」
「そう、なんですか?」
「そう。……………なんだがなぁ、渡したいものがまだ届かなくてのぅ」
宅配物なのかな?
「よければ、この城で泊まってまっててくれないかのぉ?」
えっ?
このお城にぃぃぃぃ?
「そ、それは…………」
戸惑う僕を見てミランスは
「遠慮しないでいいですよー」
と微笑んだ。
ミランスが言うなら………………、
「…………よろしくお願いいたします」
僕がお辞儀すると王様はうなずいた。
「そりゃ、よかった」
満足そうな表情の王様。
微笑んでいるミランス。
……………な、なにこの家族! 穏やかすぎない!?
僕はただただこの家族を眺めるだけだった。
ミランスのお父さん、めっちゃ穏やかで……………わたしのお気に入りです。
やっぱりミランスの親なだけありますね。
ああゆう人大好きです♡




