第十二話 ミランスの正体
目をあけると廊下じゃなかった。
ヨーロッパにありそうな灰色の石畳の奥には大きな噴水。
オレンジとクリーム色のレンガでやてられた家。
もう、どこからどう見ても日本じゃない。
「ミランス……………これはっ?」
「ふっふっふー。なーんとなんと、ドルーゴーリマ王国です! 素晴らしい国ですよね?」
胸を張るミランス。
この国が大好きなのかな?
なんだっけ、こういうの愛国心って言うんだっけ。
うーん…………でも、愛国心の名言ってあんまりいいのを聞かないよね。
ミランスは悪い方向には行かないとは思うけど。
それにしても、これが異世界かー。
あんまり実感がわかないなぁ。
「でも、うん、まぁ………悪くないんじゃない」
「もう! なんでそう素直にいいって言わないんですか? レンさんの好きな……………えぇっと…………カレーもありますよ」
「別に僕はカレー、そこまで好きでもないけど」
「そんなっ! カレーは小学生の大好きな食べ物ランキング上位に入るんですよ!?」
「僕は高校生ですー」
僕のどこを見てカレー好きだと思ったんだろう?
「レンさんは食べ物だとなにが好きなんですか?」
「えっ!?」(←レンくんはAB型のため、プライバシーを探られるのがとても苦手)
「なんですか? 唐揚げですか?」
ミランスは目をキラキラさせる。
うぅっ…………。あんまりガツガツ聞いてほしくないのが本音なんだけど。
「和食が好きかなぁ……」
ボソッと答えると反応をとってもらって嬉しかったのかミランスの質問がヒートアップする。
「和食! わたし食べたことないんですよねー。なにがオススメですか?」
「普通にお寿司とかじゃない?」
「お寿司…………なんのネタが好きですか?」
「ホタテ」
「どこ産のホタテが好きなんですか?」
「北海道かなぁ」
「北海道ですかー、わたし行ってみたいんですよねー。レンさんは北海道行ったことありますか?」
「うん、一回だけ」
「へーっ! ダレとですか? …………あーっ! もしかして彼女さんとかとですか?」
「ミランス、知ってるでしょ? 僕はモテないし、友達すらいないんだから、彼女なんてできるわけがないよ」
言わせないでよ! なんか自分で言ってて悲しいから。
まぁ、別に僕、彼女ほしくないし!
……………でも、100%思ってるって言ったらウソになっちゃうけどね。
「レーンさーん! あなたにはミランスというチョースペシャルな友達がいるじゃありませんか? 忘れないでください」
「さっきも言ったけど、僕らって友達?」
「知りません。レンさんが友達だと思うのなら友達なんじゃないんですか?」
なんか急に無責任だなぁ。
「っていうか、レンさん! なに雑談させてるんですか! 早く行かないと怒られますよ」
「キミから雑談を始めたのでは…………………?」
「なに言ってるんですか? そんなごたごた言ってるヒマがあれば行きますよ」
理不尽だ。
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怒られるってダレにだろ?
余談だけど、実を言うと僕は優秀だから先生に怒られたことないんだよね。ちょっと自慢(※訂正:レンくんは影が薄いため、悪いことをしても気づかれないのです)。
「どこ行くの?」
歩きながらミランスに問いかける。
「え? そりゃ、王様のとこですよ? そんな常識も知らないんですか?」
「そうですか、知りませんでしたぁぁぁ」
僕の堪忍袋がそろそろ切れるよ?
と、言いたいとこだったけど
「どうして王様のところに?」
「どうしてって言われましても…………ねぇ」
ねぇって言われましても…………。
「あれです! 結婚が決まって親に会いに行くみたいなやつですよ」
結婚挨拶…………ってこと?
えっ、そんなー。手土産持ってきてないんだけど。
っていやいや! 結婚しないから!
「もし僕が王様に会わなかったらどうなるの?」
正直なとこ王様に会いたくないんだよなぁ。
キンチョーでフリーズしちゃう未来しか見えない。
「え? 会わなかったらですか? ………………………言えません」
「なんで?」
「それくらい大変なことになると思います。最悪…………死刑かと」
「死刑!」
よ、よかった! 異世界きてよかった!
今、すっごく安堵しております!
「あ、ここがお城です」
ミランスが足を止めた目の前には鉄の檻みたいなのがたってた。
その奥には長方形のレンガの建物の両わきとそれの上に円柱に円錐が乗っかってるお城があった。
…………文字だとわかりずらいかな?
えーっと、言うならフランスのシャンボール城みたいな。
もうまさにお城って感じ。
「じゃ、入りましょーか!」
いきいきと入っていくミランス。
僕はずんずん進むミランスをその場に立ち止まって見つめるだけ。
「どうしたんですか?」
「いや、だってお城だよ? そんな簡単に入っていいの?」
「大丈夫ですよ。わたしのお家でもありますから」
…………………………は?
ミランスの家………………………?
ゾゾッ。
ま、まさか。まさかのまさかだけど……………。
ヤな予感。
「もしかしてキミは………………王様の………………娘?」
「そーですよ?」
だからなんだ、と言わんばかりの堂々した表情。
う、ウソだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
「えっ、じゃぁ、勇者と王女をやってるの?」
「はい、そうです。あ、でもわたしには双子のお姉さまが1人いるので、そのお姉さまが後を継ぐことになってます」
ほえー。
ミランスさんよ。あなたは、もうホントに遠い存在です。
「っということでレンさん! 行きますよ!」
「う、うん」
僕は若干弱気ながらも檻の中に足を踏み入れた。
ミランスはお姫様だったんですねー(驚)!
だから、あのレンくんが絶賛するほど美人なんだねぇ。
はぁ、いいなぁ。美人って。
心底うらやましいです。
だって聞いてくださいよ! 美人の子はわたしが言っても許さないことを平気で許されてるんですよー。
あああああああっ! いいなー。
……………って言ってるけど、わたしも美人の子のことは大好きです。




