第六話 TKG
どこに向かっているか。
それは………………放送室だ。
僕が校内放送すれば、みんな避難してくれるかなーって思ったんだ!
…………いや! だ・け・ど!
よーくよく考えてみたら僕が「逃げてください」って言ったところで説得力ないよね……。
自分で言っておいてだけど、結構悲しい。
……まぁ、やるだけやってみようかな。
僕は静かに放送室のドアを開けた。
ギィ
放送室は窓がなく薄暗い。
壁には「絶対優勝」とか「放送部しか勝たん」とかそういう紙がはられている。
まぁ、ごくごく一般の放送室だ。
「ふぅ」
1回息を吐いて放送器具を見つめた。
一応小学生の頃、放送委員会だったからなんとなくは使える……はず……。
放送の電源は……あぁ、あった。
だけど、数年ぶりに電源を押そうとする手は震えていた。
恐怖。
その感情が僕を締め付ける。
…………うううう。
これを押したってみんな逃げてくれない。
というか、僕はみんなにどう思われるのだろうか。
きっと………………、バカだって思われるよね。
そりゃそうだよ。この状況、僕だっておかしいと思ってるもん。
あぁ、いやだ。僕は普通の暮らしがしたいのに。
もう、平々凡々な。一般ピーポーでいたい。
普通でいたい。
そんなことを考えていたら
「普通なんて存在しないよ」
先生とか親とかがそう言う大人の声が脳内で響きわたった
………………普通なんて存在しない?
ウソだ、ウソだ、ウソだ、ウソだ!
ウソつき。
きれいごとだよ!
大人たちはみんな普通じゃないってこと?
なに?
平均点 常識的 一般的
みんなそう言うでしょ?
大人は言わないんですか?
大人は普通でいたくないんですか?
平凡のなにが悪いんですか?
教えてください。
……………………はぁ。
別に、僕だって、
………僕だって頑張ってないわけじゃないんだ。
努力してないから、こうやって普通でいたいとか、そういうことを言ってるわけじゃない。
………普通でいることだって難しいんだよ。
「あぁ、もう……」
僕は絶望で頭を突っ伏した。
………………………………ら、
ぴーんぽんぱんぽーん
電源おしちゃったぁぁぁ!?
どうしよう。
えっ、とりあえずなにか言った方がいいよね?
「ここここここんにちはぁ……………………。ええと千葉です。」
声が裏返っちゃった、けど! 無言よりはましだ!
うん、えらいぞ、僕!
「校舎に野生の動物が侵入しました。今すぐ体育館に避難してください!」
放送室からだと生徒がどんな様子かはわからない。
けど、ざわざわ話す声とかバタバタ上靴で走っている音が聞こえなくもない…………かも。
ガチャ
!?
放送室のドアが開く音が聞こえる。
「なにをしてるー!」
…………………………………!!!!!!
あああああああああああああああ!
オワタ\(^o^)/
千葉連17歳、人生の終わりを悟りました。
学年主任のTKGでお馴染み
「ちかご先生!?」
が来てしまいましたぁぁぁぁぁ!
ちかご先生は数学担当の先生でして………まぁ、いろいろあります。
具体的に言うと、口を開けば怒声しかでない…………………とか、おふざけが通じない………………とか。
そして女性らしさを感じさせない怒鳴り方。
うっ、身震いがっ!
………そんなこんなでみんなに嫌われ、裏でTKGと呼ばれる始末。
まぁ、学校に1人くらいいるよね、こういう先生。
あぁ………、ヤバイぞ。
「なにをしてるって聞いてるんだ!」
「え、放送デス」
「あんた放送部? なんかのネタ?」
ちかご先生の勢いにのまれて、声も出せずにただただ首を横にふることしかできない。
さすがTKG。
「じゃぁ、今すぐやめろー!」
えええええ。困るよ。
「はーやーく!」
僕はなにもできず直立不動。
僕の好きなゲームの勇者とかだったらすぐ言い返したりしてるのになぁ。
勇者………ミランスも、かな?
ミランスも堂々と言い返す気がする。
…………………………僕は?
僕は言えない。
「千葉くん! はやく! ……………耳ある?」
イラッ。
こいつ、よく教員免許とれたなぁぁぁぁぁ。
とは思ってないけど(ウソ)!
こんな言い方はヒドイ!
でも、僕は言い返すのが怖くてうつむいた。
怖いよ。
怒られる………。もう怒られてるけど!
「言いたいことがあるなら言ってよ。迷惑」
僕は完全にイエスマンだ。
ちかご先生に従うしかないの?
………いやだ。
でも、怖い。
先生に本気で怒られるくらいなら我慢したほうが楽だ。
楽だけど………誰も、少なくともミランスはこんなこと求めてない。
じゃぁ僕は
「みみみみ、ミランスの命令です! 体育館に避難してください!」
僕はおもいっきりマイクに向かってさけんだ。
さけび声で声がかすれてるかもだけど。
でも! 責任転嫁でみんなを守る!
「ミランス?」
ちかご先生はまゆをひそめた。
「ミランスの命令なら、最初に言って!」
え?
ちかご先生はまったく、と一息ついて
「体育館に避難ー!」
とマイクに怒鳴り付ける勢いで放送した。
え?
わけワカメ。意味トロロ。とは、こういうことでしょーか?
「千葉くんも、ほら行った」
「はぁ……、どうも………」
よくわかんないけど、ミランスと合流しよう。
僕は再度廊下を走った。
こんにちは、風音です。
なんか疲れました(笑)
そーゆーことってありますよね。




