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ep.47 新年早々リア充を見せつけられる可哀想な奴等

クリスマスを大好きな彼女と過ごした満。


季節は巡り、いよいよ彼等は

新年を迎えるー……


冬です。

本格的に寒くなってきました。

クリスマスをみぃんなで過ごして、あれよあれよと年があけた今この時。

正月早々、僕がみているのはー……


『皆さん、あけましておめでとう! 今年も僕、YOU☆をよろしくお願いします! 聞いてください、はばたき』


「わぁぁぁぁぁぁ!! デビュー曲だぁぁぁぁ! やばい! もうこれ消せない!!」


赤羽満、高校1年生になって初めての年越し。

ご覧のようにいつもと変わらない日々を過ごしております。


冬休みは年末年始ということもあって、夏休み同様実家と寮の行き来が自由に許されている。

でも期間が短いからと言って寮で友達と暮らす人がいたり、人それぞれだ。

ちなみに僕は実家に帰っている。


見ていたのは、大晦日の夜から元旦の朝まで放送されていたカウントダウンテレビ。

僕の家は正月関係なく、夜遅くまでテレビを見ちゃいけないという決まりで、いつも録画で見てるんだけど……

毎年名高いアーティストが出演しているし、この場に多くのアイドルが出ることもあって毎年のように見ている。

もちろんペンライトや、うちわを両手に持ち、いつ出るかいつ出るかとそわそわしながらテレビの前で正座して待って……


「満~ご飯できたわよ~?」


「ごめん、お母さん! もうちょっとでYOU☆の出番が終わるから!」


「本当にアイドル好きねぇ~お母さんたち、下で待ってるからねえ〜」


下の階から、お母さんの声が聞こえる。

あまり帰らないこともあってか、両親共々僕の学校生活には興味津々だ。

それこそクリスマスの日に帰った時は、見慣れないマフラーをしていたせいで根掘り葉掘り聞かれたけど。


ご飯できた、かぁ。録画だし、また後でちゃんと見ようかな。

早くしないと、せっかくのご飯が冷めちゃうもんね!

録画を止め、よっと立ち上がる。すると同時に、携帯のバイブ音が鳴り響いた。

手に取るが否や、着信主をみてつい笑顔になってしまって……


「もしもし?」


『ああ、満。あけましておめでとう。今、大丈夫か?』


「うんっ、大丈夫だよ! あけまして、おめでとう! 恭弥君っ」


着信主―それは恭弥君だった。

彼も僕と一緒で、実家に帰っている。

終業式以来とはいえ、彼からの連絡は少し嬉しくも思えた。


『ところで満、初詣はもう済ませたのか? 実は今から行こうと思っているのだが……一緒にどうだ?』


「え、僕でいいの? てっきり春夜先輩と行くと思ってたけど……」


『少し色々あって……な。虹己もこれから声をかけるつもりなんだが……お前はどうする?』


そういえば、唯一虹己君だけは寮に残るって言ってたっけ。

僕達以上に家のことを話してくれないから、何でだろうとは疑問に思うけど。

初詣かぁ。そういえば、去年は受験勉強だったりで、一緒にはいかなかったっけ。


「うん、二人がいいなら僕も行きたいな! あ、でも今からお昼ご飯で……恭弥君は?」


『それなら心配ない、俺も今食べ終わったところだ。14時くらいに黄金神社に集合でどうだ?』


「わかった! じゃあまた後で連絡するねっ」


僕の言葉を最後に、わかったと通話が切れる。

画面が元に戻ったのを確認しながら、僕は1階へと走って行ったのだったー



「………さいっあく。やっぱ来なきゃよかった………」


見るからに不機嫌そうな声が、隣で聴こえる。

彼―虹己君は顔を顰めながら、はぁっとため息をついた。

約束の14時。来て早々、虹己君は文句をこぼしていた。

きっとそれは、この混み具合をみたからだろう。

さすが元旦当日ってだけあって、どこもかしこも人でいっぱいだった。


「やっぱりどこも混んでるね……どこからいこうか?」


「ならお守りから買いに行こう。あそこなら、まだ空いてるぞ」


「どーーーして元旦に、こぉんな混んでるって分かってて来なきゃいけないわけ?」


「そう言うなら、断ればよかっただろ? いなきゃいないで寂しいと言ってたのはどこのどいつだ?」


「う、うるせぇ! てか、そんなこと一言も言ってねえし!!」


やっぱり、素直じゃないなぁ。

恭弥君に言われたことを気にしてなのか、早く帰るよ! と足早にお守りのお店へと歩いていく。

社務所、とかかれたテントのところまで行き、なんのお守りを買おうかなぁとみていると……


「やあやあ~ようこそご参拝くださいました~」


聞きなれた声がする、そう思ってしまった。

顔を上げると、そこにいたのは……


「やっほ~満ちん、こうきん~あけおめ~」


「は、春夜先輩!!?」


赤と白があしらわれた袴―巫女装束を着た、春夜先輩だった。

びっくりしてつい、彼女をまじまじと見てしまう。

先輩は相変わらずにやにや笑って見せた。

「な、なんで先輩がここにいるんすか……」


「ふふふ~驚いた~? 春夜ちゃん、巫女さんデビューしちゃいましたぁ~」


「び、びっくりしました……バイトか何かですか?」


「うちの学校で一日だけなんだけど、募集してたんだ~もちろんっ、きょうちゃんにはお知らせ済みでぇす」


きょうちゃんに……?

そう言われて、なんとなく後ろをみる。

恭弥君はなぜか空を仰いでいて、僕とは目が合わなかった。

そんな彼を見た虹己君の顔は、どんどん険しくなっていき……


「………呆れた。まさかこの人見るためだけに! こんな混んでる日を選んで! オレたちを連れてきたわけ!? 一人でいけよっ!!!」


「す、すまん……家族と行くのは恥ずかしいし、参拝を一人でするのもとおもって……つい……」


「だからってオレを巻き込む必要ある!? 満君だけでもよかったんじゃ……!」


「ふっふっふっ……こうきんよ、きょうちゃんが誘ったのは春夜を見るためだけじゃないんだなぁ」


そう言われて、はぁ? と不機嫌なまま返事をする。

あっちを見てと指で左をさされるがまま、その方向をゆっくり見ると……


「は、800円のお納めで、ございます。ちょうど、お預かりします……ようこそお参りくださいました」


「ゆ…………結愛ぁ!?」


「はい……? ひぇっ!? こ、虹己君!? それにみなさんまで!! ひえぇぇ、なんでここに!」


そこにいたのはまさかの鳳先輩だった。

長い髪を白い紙で結っていて、春夜先輩とは違うよさがあって……


「いや何してんの! こういうとこ男女問わず来るのに、大丈夫なの!?」


「まあまあそんな怒らないでよ~心配なのはわかるけど~」


「そういうんじゃねえから!」


「ご、ごめんなさい……春夜ちゃんに、誘われて……少しでも克服したいと思ったから……」


虹己君が怒っているからか、彼女は体を縮こませながらも一つ一つ言葉を繋げていく。

男性恐怖症で、いつも誰かのそばについていたのに……正直そっちの方がびっくりだ。


それでも彼女なりに変わろう、って努力してるって証拠なんだよなぁ。

そう思うと、なんだかこっちまで嬉しくなって……


「すごいと思います、鳳先輩! 春夜先輩も、バイト頑張ってくださいねっ」


「あ、ありがとうござい、ます……」


「そうだきょうちゃぁん、そこからでいいから写真撮ってよ〜今なら春夜ちゃん、ピースもウインクもサービスしちゃうよ~?」


「そうだな、せっかくだし二人並んで撮ろう」


そう言いながら、恭弥君が携帯のカメラを向ける。

おどおどする鳳先輩を、いえーいとピースをしながら春夜先輩が肩を組む。

二人が並ぶと本当に様になっていて、衣装が違うとこうもかわるんだなぁ……


「あ、そうだ。僕達、お守り買いに来たんだった。何にする?」


「学業か……必勝だろうか……こんなに種類があると迷うな……」


「たしかに……虹己君はどうす……」


「ねえ、そこの巫女さん」


僕が聞くのと同時に、彼の声が重なる。

彼はまっすぐ鳳先輩を見つめていて、怒られると思ったのかはいっ! と裏返った声で返事をする。


「…………お守りで、オススメのあったらそれちょーだい………せっかくだから、お揃いで買ってやんよ……」


照れているのか、まともに彼女の顔を見ようとしない。

それでも鳳先輩は満面の笑みを浮かべ、


「はいっ、喜んで」


と返して見せた。

年が明けてから初めてみんなと過ごした初詣。

びっくりの連続だったけど、それと同じくらい楽しくて……ここに雲雀先輩も呼べばよかったなぁなんて思ったり……そんな一日でしたー……


(つづく!!)

少し、いやかなり早めのお正月ですね


三人で初詣行く図もなかなかにいいですが、

巫女になった二人もいいですよね。

是非拝みたいものです。


次回は22日更新予定。

この初詣の裏側として、あの子の話が!?

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