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未整理の倉庫

「まっさか、だってさ臨時避難所の撤収の時に、壁に配置図張っておいてもさ、応援の奴等、全く無視。早くかたずけたいんで適当に入れて行きやがった。だから、数人どころか誰にも分らない。」

「ええ~?、じゃあ、探すなんて大変になっちゃいますよ。お客さん待たせちゃいますね。」

「だから言っただろう。事情をよく知らないで返事するなよな。うちの課長と同じだ。あいつ、出世の事しか考えてなくて、上ばっか見ているだろ。局長から言われたら何でも引き受けて来るイエスマン、お陰で下は大迷惑だよな。」

「ついこの前、次の防災対策審議会までに、家庭での意識を高め、防災対策に取り組ませるため、行政として何をすべきが具体的な方策案を作れって言われた時は、皆、目が点になりましたよね。」

「ああ、今回の災害後の対応業務でまだくそ忙しいのに、なに悠長なこと言ってんだよな。上の奴等は、暇なんだ、暇。」

 2人は、そんな職場の不満を口にしながら、比較的踏み込み易そうな右側の通路から、足下に気を配りながら奥の方へと入ってい行きます。

「T地区の仮設避難所退去って、5番目ですよね。」

「だから、まだもっと奥だよ、奥。」

 とは言っても、このギッシリ積み込まれた書類と物品の山の中を確認しながら目的のものを探し出すのは容易ではないのです。

「すみません、私が軽率に言ったことで、こんな大変な作業になるなんて、戻ってお客さんに後日連絡するということにします。」

「まだ始めて5分もたたないでそれはまずいよ。松尾ちゃん、快く返事したんだから誠意ある対応をしないと駄目だよ。」

「やっぱりそうですよね。」

「それで、今、何処の資料が見えているかい?」

「此処にはN地区のものがあります。あれ、この物品は・・・倉庫には全く関係ないものですよ。ほら、何かの記念品みたいです。」

「どさくさ紛れに、誰か自分の不用品をつっこみやがったな。N地区の応援は、青少年育成担当課だったな、後で取りに来させてやる。」

 先へ先へと進みます。

「F地区が、出てきました、確か撤収は7番目ですよ結構近いんじゃないですか?」

 それから30分は過ぎていました。職場の雰囲気は、仕事内容で全く違うものです。吉野が仕事でよく訪れている部署は、日頃から一般者の訪問も多く、しょっちゅうざわついて落ち着きが無い所です。時には、お客が職員に向かって大声で怒鳴っている時もあります。しかしながら此処は、一般客の受付カウンターも無く、整然として、皆、黙々と仕事が進められています。実に静かなものです。書庫の棚には、沢山のファイルが並んでおり、ラベルには‘市防災総合計画骨子基本構想’とか、‘緊急避難指定地域再整備検討委員会会議録’とか、やたら長い漢字の表題が貼ってあります。柱に掛けてある丸い銀色の時計の針は既に午後の3時を過ぎていました。


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