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僕の飼い主

「見た目で判断しちゃいけないよね。その点、僕は大丈夫だよ。」

「アハハハ、坊ちゃんはその点では私よりずっと大人ですよね。人は見かけによらずと云うことわざがありますが、兎もそうでした。」

「ふーん、そうなんだ。そしてあんな可愛らしい声なんだ。元気になれば、鳴いてくれるかな。」

「私なんか今でもこの姿を見ると、半ば疑ってますよ。そして、坊ちゃんがこんな巨大な飼育ケースを用意したことも驚きですよ。犬とか猫、数匹でも大丈夫ですよね。」

「そんな、僕はまだ小さいくらいだと思ってるよ。」

「へえ、どうしてそう思うんですか。」

「この子はきっと、大自然の中で育ってきているからだよ。」

「そうですよね、自然の中で暮らしてきた動物にとっては、このケースでも監禁されている気持ちかもしれませんね。”ナキウサギはペットではなかなか居ないんですよ”、獣医さんがおっしゃっていましたね。」

「そうだよね、だって絶滅するかもしれないから保護しようとしているんだよ、どうして連れて来ちゃうんだろ。そして、捨てちゃうなんて酷いよ。」

「どういう事情があったかは分かりませんが、兎にとっては本当に可哀相なことです。動物を飼う時は、ちゃんと死ぬまで愛してやることとしなければいけませんよね。」

 すると、間もなくです。

『フンフン、フンフン、良い匂いだ、フンフン、これは前に食べたことがあるんじゃないか、フンフン。』

# ガサゴソ ガサゴソ・・・

「坊ちゃん、しきりに匂いを嗅いでますよ。」

「本当?食べてくれるかな?」

#“ハムハム、美味い!、ハムハムハムハム。”

「食べてますよ、凄い勢いで、食べはじめましたよ。」

#”ハムハムハムハム、同じだ、ハムハム、美味い、ハムハム ”

「よかった、さすが先生だね、モルモットなんか喜んで食べますよって本当だったね。」

 そうして3日も経つと、兎はモフモフと飼育ケースの周りを元気よくはい回っていることになりしました。嫌な動物に会うこともなく、静かな穏やかな、言い換えれば何事も気を配る必要のない居場所なのです。

 昼には陽射しの光、夜には豊かな照明で、闇に畏れを抱かず、空調により適度な湿度と室温に保たれ、食べ物は常に美味しいものが器に備えてあります。長閑で平安な日々が淡々と流れて行き、まるで極楽浄土の世界の様です。

 そしてこれで、兎は本当のことだったと分かりました。

『ネズミさんの憧れていた所・・・だよね。此処は、君から教えてもらった以上の所かもしれない。ふかふか床でピカピカ大きな巣だし、いつでも美味しいご馳走が置いてある。嫌な奴の声や臭いもしない。時折様子を見に来る人間がいるけど、僕の飼い主なんだろうね。』


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