坊ちゃんは、良い子
「ええ、壁に沿ってもたれかかるように、これがひっくり返っていたんですよ。それでですね・・・コイツは、ネズミなのかな?」
「え、何か中に居るのかい?」
「ええ、ネズミだろうと思うんですけど、横たわっているんですよ。」
「ネズミ捕りを持って来たのかい、それにしても大きいよね。」
「いえ、これは小動物用の飼育ゲージですよ、でもなんでただのネズミを飼育カゴにいれているんだろう?、それに、敷地に棄てていくなんて酷い奴ですよね。」
「それで、ネズミは死んでいるの?」
「ん~分からないですね・・・動いていないようですし、死にかけているのかもしれません。」
「触ってみると分かるかな?」
「ええっ、それは駄目です、ネズミですよ。」
# トントン トントン
介護人は、少し飼育カゴの端っこを叩いてみます。
# コン コン コン
“あれ?”
「どうしたの?、どうしたの?」
「すこし動いたような感じがしますね。」
「本当に?、やっぱり触ってみてみようよ。吉野、車椅子から降りるから手伝ってくれる。」
「ご冗談でしょう、坊ちゃん、私がやりますからそのままでいてください。」
「分かったよ、でも今日は天気も良いし、とっても気分が良いんだ。だから、芝生に座りたいんだよ。ネズミ君に触るのはお願いするから、椅子から降ろしてくれる。」
「ふ~ん、今日の坊ちゃんは、いつもと違ってその気満々ですよね。」
「そうかい?、そう見える?、可笑しいかな?」
「アハハハハ、ちっとも可笑しくありませんよ、子供はそうでなくちゃ。賢くて大人しいのが良い子供だなんて、大人が都合よく勝手に決めたものですからね。興味あることはドンドンおっしゃって、ワンパクになりましょうよ。」
「ワンパクって?」
「元気過ぎることですね。」
「そういう言葉なんだ、聞いたことないな。」
「アハハハ、私がおじさん過ぎた様ですね。」
「そんなことないよ、未だ僕には優しいお兄さんだよ。」
「坊ちゃんは、良い子ですね。」
そして、ゲージの上蓋が開けられました。
“うわー ”




